今週は秋のGIシリーズがひと休み。関西ではGIチャンピオンズC(12月4日/中京・ダート1800m)の前哨戦となるGI…
今週は秋のGIシリーズがひと休み。関西ではGIチャンピオンズC(12月4日/中京・ダート1800m)の前哨戦となるGIIIみやこS(11月6日/阪神・ダート1800m)が行なわれる。
過去10回(2011年~2021年。2018年はJBC競走開催のため、休止)の結果を振り返ってみると、1番人気は3勝、2着1回、3着1回。その信頼度は決して高いとは言えず、日刊スポーツの太田尚樹記者は「荒れる傾向が強いレースです」と語る。実際、3連単では2019年に40万円超え、昨年も30万円超えの高額配当が飛び出している。
ちょうどこの時期は、地方交流の「ダート競馬の祭典」JBC競走(今年は11月3日に盛岡競馬場と門別競馬場で開催された)と重なるため、GI級の有力馬がこちらに回ってくることは少ない。そうしたことも、波乱が起こる要因のひとつとなっているのだろう。
しかし今年は、オメガパフューム(牡7歳)、クリンチャー(牡8歳)といった重賞実績豊富な面々が出走。これらがその実績どおりの力を発揮すれば、堅い決着で決まる可能性もある。が、太田記者はみやこSにおけるデータをひとつ挙げて、レースの狙い目についてこんな見解を示す。
「このレースにおいて覚えておきたいのが、『休み明けは勝てない』というもの。過去10回のレースで、3カ月(12週)以上の休み明けで出走した馬の勝利はありません。2019年のインティ(15着)や、2021年のクリンチャー(6着)など、1番人気になった馬でも馬群に沈んでいます。
今年のレースでも、人気が予想される馬を含めて休み明けの馬が結構います。この点から伏兵の台頭も期待して、面白そうな存在をピックアップできればと思っています」
そうして、太田記者は穴馬候補としてブリッツファング(牡3歳)の名前を挙げた。
「前走の地方交流重賞・白山大賞典(10月4日/金沢・ダート2100m)は5着に敗れましたが、キックバックを嫌がって行きっぷりが悪く、2コーナーでムチが入るほどでした。金沢では各馬が砂の深いインコースを避けるのですが、どうもその特殊な隊列が合わなかった印象です。

みやこSでの巻き返しが期待されるブリッツファング
とはいえ、今春には地方交流重賞の兵庫チャンピオンシップ(5月4日/園田・ダート1870m)を圧勝。続く地方交流重賞のジャパンダートダービー(7月13日/大井・ダート2000m)でも、ハイペースのなかで4角先頭からコンマ2秒差の3着に踏ん張った実力馬です。巻き返しは十分に見込めます。
今回は休み明けをひと叩きされて、陣営によれば『攻め馬の感じはいい頃と同じ』(大久保龍志厩舎・山口健寿調教助手)とのこと。また、追い切り後には池添謙一騎手が、『めちゃ動きがよくて、いい時の反応の速さ。フットワークもすごくよかったです』とかなりの好感触で、状態には不安がありません。距離短縮も、コース替わりも歓迎。前走の敗戦で人気を落とすようなら馬券的な妙味も増しますから、狙い目でしょう」
太田記者はもう1頭、「大穴候補なら」とサンライズホープ(牡5歳)を推奨する。
「近走は大敗が続いていますが、管理する羽月友彦調教師によると『かわされると馬が(レースを)やめてしまっている』とか。ただ、状態は悪くありませんし、もともとGI級のポテンシャルがあると評されていた素質馬ですから、軽視は禁物です」
太田記者が言うとおり、昨秋はGIIIシリウスS(中京・ダート1900m)を快勝し、GIチャンピオンズCでも穴人気して注目された馬(結果は15着)。阪神でも過去に2勝を挙げており、スムーズな競馬ができれば、上位争いを演じる力はある。
「まずは揉まれないのが第一条件となりますが、叩き2走目でうまく立ち回ることができれば、一変があってもおかしくないと思います」
休み明けの有力各馬が先を見据えて余力を残した仕上げにあるなら、順調に使われてきた馬にこそチャンスはあるはず。ここに挙げた2頭がそのチャンスを生かして、高配当をもたらしても不思議ではない。