2022年10月5日に行なわれた『BreakingDown6』のオーディションは、初めて新国立競技場で開催された。新国立競技場内の楕円形の通路を半周した先にあるオーディション会場までの長い通路を歩く間、漫画『グラップラー刃牙』(週刊少年チ…

 2022年10月5日に行なわれた『BreakingDown6』のオーディションは、初めて新国立競技場で開催された。新国立競技場内の楕円形の通路を半周した先にあるオーディション会場までの長い通路を歩く間、漫画『グラップラー刃牙』(週刊少年チャンピオン)に登場する"地下闘技場"を思い浮かべた参加者もいただろう。



オーディションで朝倉未来(左)につっかかる、グラビアアイドルでダンサーのみらたむ

 1分間最強を決める『BreakingDown』は、総合格闘家の朝倉未来・朝倉海がスペシャルアドバイザーとして監修。喧嘩自慢や元プロボクサー、ホスト、人気ユーチューバー、セクシー女優など、バラエティ豊かなメンバーが参戦している。

 初回大会(2021年7月4日)から1年4カ月 、女性の参加や2対2のタッグマッチ、ラウンド無制限の完全決着など、新しい試みを柔軟に取り入れながらバージョンアップを重ねてきた。イベントを総合プロデュースするBreakingDown株式会社 CEO / エグゼクティブプロデューサー / クリエイティブディレクターのYUGO氏は、「テーマは人間讃歌」と語るが、1分間の戦いだけでなく、そこに至るまでの過程やその後の"生き様"も見どころとなっている。

 11月3日に開催される『BreakingDown6』のオーディションには、過去最多となる約2000人が応募。書類と動画による選考を突破した100人が、AからQまでの17グループに別れてオーディションに参加した。午前9時から午後6時まで約9時間の長丁場。一部では、朝倉海が「暴れすぎ。ヤバかった」と語るほど、大荒れとなったグループもある。オーディションの模様は、朝倉未来のYouTubeチャンネルでVol.5まで公開され、再生回数はすべて400万回を超えており、中でもVol.4は900万回超え(11月1日時点)と、注目の高さが伺える。

『THE OUTSIDER』vs『BreakingDown』の対抗戦が実現

 朝倉未来が「世代によっては刺さる」と語った今大会の柱企画が、『THE OUTSIDER』と『BreakingDown』による6対6の対抗戦。『THE OUTSIDER』は、元プロレスラー・前田日明氏がプロデュースする格闘技イベントで、第1回大会が開催されたのは2008年。「不良達ヨ、覚醒セヨ」をキャッチコピーに、暴走族やチーマーといった血気盛んな男たちが全国から集い、熱い戦いを繰り広げた。朝倉兄弟が世に出るきっかけとなった大会でもあり、『THE OUTSIDER』でチャンピオンとなったことが後の『RIZIN』出場の足掛かりとなった。

 多くの格闘技大会で解説を務め、『BreakingDown5』では審査員を務めた大沢ケンジ氏(和術慧舟會HEARTS主宰)は、「『THE OUTSIDER』のいいところを抽出して、SNS時代にうまくマッチングさせたのが『BreakingDown』で、いわば令和版『THE OUTSIDER』だ」と語る。

 Fグループでは『THE OUTSIDER』代表の中の5人が登場した。朝倉未来が「僕自身(にとっても)スター選手だった方々」というのは、 "キング・オブ・アウトサイダー"啓之輔(65-70Kg級初代・第4代王者)、"濱の狂犬"黒石高大、"ハマの勇二"高垣勇二、"三副神の人柱力"萩原裕介、朝倉未来と1勝1敗の樋口武大(60-65kg級第2代・第4代王者)。そしてもうひとり、Lグループで参加した"インテリジェンスタイガー"秀虎。秀虎は、啓之輔にKO勝利したこともある実力者である。この6人が対抗戦に臨む。

 中でも注目は、大将戦の位置づけになるであろう啓之輔vs飯田将成。BreakingDown勢の飯田は、元プロボクサーで日本ウェルター級10位という実績を持つ。『BreakingDown5』で初参戦し、日本拳法出身で『BreakingDown』の常連、にっけん君をわずか18秒でKOしたことで脚光を浴びた。

 お互いの実力を知る者同士だからなのか、オーディションでは煽り合うこともなく、未来が啓之輔に対して「飯田さんとどうですか?」と提案すると、啓之輔は「いいねぇ」と承諾。互いの印象について、啓之輔は「強いと思いますよ」と実力を認め、前回大会で啓之輔戦を望んでいた飯田は「戦えるなら嬉しい」と語った。朝倉未来も「面白いカードですね」と期待を寄せている。

 啓之輔vs飯田将成を含め、『THE OUTSIDER』vs『BreakingDown』のラインナップは次の通りだ。

◆萩原裕介vsジョリー(『安保瑠輝也チャンネル』のメンバーで、前回はチョン・ツーウェイに判定勝ち)

◆樋口武大vs勾配ニキ(前回大会での活躍が認められ、朝倉海に弟子入り)

◆高垣 勇二vs山川そうき(少林寺拳法で全国優勝、BreakingDownで2連勝)

◆黒石高大vsこめお(BreakingDownで1勝1敗)

◆秀虎vs川島悠汰(BreakingDown全大会出場。5勝1敗)

 啓之輔は、10月27日、自身のインスタグラムに『チームアウトサイダー』と題した写真を公開。所属ジムの『TEAM YMC 栃木』で、樋口、萩原と共に練習した様子が伺える。黒石が「7年(格闘技を)やってない」と語るように、『THE OUTSIDER』勢はブランクをどこまで埋められるかが勝敗のポイントになりそうだ。

過去最悪の展開になった女性オーディション

『THE OUTSIDER』勢の他に、今回のオーディションで話題となったのが女性陣。朝倉未来が「今までで1番酷かった」、朝倉海が「女子選手ヤバすぎ。やりすぎ」と語る通り、女性Aグループは荒れに荒れた。他の参加者を蹴る、叩く、髪をつかんで椅子から倒す、パイプ椅子を投げつけるなどの大乱闘。飲酒をしてオーディションに参加したことを明かした、いーたろ(TikToker)とみらたむ(グラビアアイドル、ダンサー)が大立ち回りし、その2人と緒方友莉奈(筋トレYouTuber)がバチバチにやりあった。

 パイプ椅子などで攻撃された緒方はオーディション後、自身のSNSで半月板損傷などの怪我を負ったことを明かしている。収集がつかなくなり強制退場という前代未聞の結果となったこのグループでは、タレントの坂口杏里と"へずまの嫁"しーちゃん(YouTuberへずまりゅうの奥さん)の対決が決まった。

 大荒れのAグループとは対照的に、Bグループでは実力者同士の対決が組まれた。岩戸千晴vs和田静里奈。岩戸は、極真空手の世界チャンピオン、K-1アマチュア女子3連覇という輝かしい実績を持つ。「中学の時にいじめられた鬱憤を空手にぶつけていたら世界チャンピオンになった」という。一方の和田は、空手で全日本2連覇、全米・ヨーロッパチャンピオンと負けず劣らずの実力者。未来は「そこ試合決定で」と即決した。

 男子に話を戻すと、『BreakingDown』で最も成り上がった男、10人ニキは初の本戦出場が決定。対戦相手は、"青汁王子"こと三崎優太。対決を前に、三崎は自身のYouTubeチャンネルで1600万円を超えるジープを購入。敗けたらそれをプレゼントするという。高級車欲しさに10人ニキも燃えるかと思いきや、自身のTwitterで「贈与税めんどくさいから、なんか他のないの?」と、勝利した後のことを心配している。

"アウトローのカリスマ"と呼ばれ、『BreakingDown』常連の瓜田純士は、初参戦のラッパー・梵頭と対戦が決定。さらに、瓜田と過去に揉めた因縁があるバン仲村(『ケンカバトルロワイアル』代表)は、対戦相手に大会を総合プロデュースする立場のYUGO氏を指名。YUGO氏は、かつて総合格闘家・田村潔司氏の弟子であった経歴を持ち、今でも時々ジムに通っているという。その対決は1分無制限ラウンドの完全決着制で、敗けた側はTwitterなどを通じて1000万円を配ることが公約となった。

 試合数は今大会が過去最多(これまでの最多は『BreakingDown5』の21試合)となることは間違いない。人生が変わる1分間の戦い『BreakingDown6』が幕を開ける。