ア・リーグ指名打者の2強は大谷とアルバレス エンゼルスの大谷翔平投手と同じ「DH」として、今季打撃成績を競ってきたのがア…

ア・リーグ指名打者の“2強”は大谷とアルバレス

 エンゼルスの大谷翔平投手と同じ「DH」として、今季打撃成績を競ってきたのがアストロズのヨルダン・アルバレスだ。球宴のファン投票や選手間投票でライバル扱いされ、現在もともにシルバースラッガー賞の最終候補に残っている。今季は135試合に出場して打率.306、37本塁打、97打点。2019年のメジャー初昇格から安定した成績を残し続けている。

 しかし、アルバレスの才能をもともと見出したのはアストロズではなく、ドジャースだった。2016年8月に、中継ぎ右腕のジョシュ・フィールズを獲得するためのトレードでアストロズ入りしたのだ。ドジャースの地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」が、現在の大活躍を紹介、さらに当時の放出劇を振り返っている。

 キューバ出身のアルバレスはハイチに亡命、2016年7月に国際FAでドジャースと19歳で契約した。記事によれば、アルバレスはトレードの話が来た時、ドミニカ共和国にあるドジャースの球団アカデミーに所属しており、電話で連絡が来た時を「少し怖かった」と振り返っている。解雇になるのではないかと思ったのだ。そして15分後には、2キロ離れたアストロズのアカデミーに向かう車に乗っていた。当時についてアルバレスは「トレードがどういうものか知らなかった。どういう仕組みなのか知らなかった」と語っている。

 記事は「アルバレスの世界はドジャースからのトレードで揺れたが、この移籍はメジャーリーグの世界では“ささいな”ものだった。当時は重要ではなかった」と、放出を悔しさたっぷりに振り返る。

アストロズがアルバレスを獲得した裏には敏腕スカウトの存在

 ただ、その6年後にアルバレスはワールドシリーズでプレーしていた。記事は「メジャーで最も恐れられる打者の1人」と評している。マイナーA級からAAAまでを2年半で通過。メジャーデビューした2019年には、87試合で27本塁打し新人王。今季は初の球宴にも選ばれた。アルバレスのデビュー後、アストロズがワールドシリーズに進出できなかったのは、膝の手術で2試合の出場に終わった2020年だけ。完全にチームの浮沈を握る選手となった。

 アストロズのアレックス・シントロン打撃コーチは「私は彼をデビッド・オルティス(元レッドソックス)やカルロス・デルガド(元ブルージェイズ)といった打者になぞらえる。大きな場面を恐れない男だ。私が担当した中で、私が見た中で最高の1人だ」と高く評価している。

 ドジャースは2016年のトレード当時、プレーオフに向けての補強として、30歳の防御率7点台近い救援投手に声をかけた。そしてアストロズも、スーパースターを手に入れられると知って獲得したわけではない。何より、当時のアルバレスは体は大きかったが、バットに当てることに優れたコンタクトヒッターだった。

 ここで光るのが、アストロズのスカウトだったチャーリー・ゴンザレス氏の目だ。2016年にもアルバレスとの契約を進言していたが、その時は予算が合わずにドジャースとの獲得競争に敗れたのだという。

 記事はアルバレスの現在について「彼は、長くスランプに陥ることがほぼないほど優れた選手だ。ドジャースがこの姿を、6年前に想像することができれば……」と締めくくられている。(Full-Count編集部)