■九州ダービーは開始1分の大分の先制弾で動き出す 10月30日に行なわれたJ1参入プレーオフ1回戦では、4位のロアッソ熊…

■九州ダービーは開始1分の大分の先制弾で動き出す

 10月30日に行なわれたJ1参入プレーオフ1回戦では、4位のロアッソ熊本と5位の大分トリニータが激突した。リーグ戦では1勝1敗で、いずれも2対1で決着がついたカードである。

 試合は予想外の展開で動き出す。試合開始からわずか20秒で、大分が先制したのだ。キックオフのボールがGK高木駿まで下がり、高木が前線へ蹴り出す。そこからFW伊佐耕平、MF増山朝陽弓場将輝中川寛斗がボールに関わり、最後は伊佐がプッシュした。5月14日以来のスタメンとなった伊佐が、いきなり大きな仕事をやってのけた。

 試合はそのまま後半へ突入する。引分けなら勝ち上がれる熊本に焦りは感じられないが、残り時間は確実に削られていく。

 85分、熊本が左サイドで直接FKを得る。アンカーの河原創とMF田辺圭佑がボールのそばに立ち、河原がライナー性のボールを中央へ送る。

 大分からすれば、ゴール前にボールを入れられると何が起こるか分からないとの思いがあったはずだ。それだけに、この場面を乗り切ったのは大きかっただろう。セカンドボールをキャッチしたGK高木は、前線へ大きく蹴り出した。時計の針は86分になろうとしていた。

■相手のクリアミスを見逃さず、熊本が追いつく!

 高木の蹴ったボールは味方につながらず、熊本のGK佐藤優也にわたる。佐藤はすぐにボールを蹴り返すと、途中出場のFW粟飯原尚平がヘディングで後方へすらす。このボールを大分DFがクリアしようとするが、左足は空を切ってしまう。熊本FW坂本亘基がすぐに反応してボールを収め、ペナルティエリアへ侵入する。飛び出してきたGKをかわして左足でシュートへ持ち込み、熊本が同点に追いついた。

 大分からすれば、自分たちのミスが失点につながってしまったとの思いだろう。一方の熊本にとっては、狙いどおりの得点だった。同点弾を決めた坂本は、「スカウティングでFWが競った後は後ろにこぼれてくる、と言われていた」と語る。空中戦を競った粟飯原も、「自分が競るときは裏に走るというのがあった」と話す。相手守備陣のミスもあったとはいえ、熊本からすればしてやったりの同点弾だったのだ。

 ここから試合はさらに動き、熊本が90+2分に2点目をあげれば、大分も90+8分に追いつく。2対2で試合終了のホイッスルを聞き、熊本が11月6日の2回戦進出を決めたのだった――。

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