今週末から始まるテストマッチシリーズ(ルーマニア代表戦・アイルランド代表戦)へ向け、福岡県宗像市で合宿を張る日本代表に、海外から帰国したばかりの男たちが合流し、充実の汗を流している。6月5日、サニックス玄海グラウンドにリーチ マイケルとア…

 今週末から始まるテストマッチシリーズ(ルーマニア代表戦・アイルランド代表戦)へ向け、福岡県宗像市で合宿を張る日本代表に、海外から帰国したばかりの男たちが合流し、充実の汗を流している。6月5日、サニックス玄海グラウンドにリーチ マイケルとアマナキ・レレイ・マフィの姿があった。
「ツイ(ヘンドリック)も今夜合流するので、全員集まってやっとこのツアーに向けての準備、チーム作りを始められる」
 そう語るジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチの表情は嬉しそうだった。3人ともスーパーラグビーの海外チームで主力として活躍しているバックローであり、2015年ワールドカップで主将だったリーチは約1年半ぶりの日本代表復帰だ。
「リーダー陣からの要望で、彼にリーダー陣に入ってほしいということだったので、お願いをした。でも、合流したばかりなので、ゲームプランのなかでの彼の役割や仕事をしっかり理解してもらい、消化してもらってから、さらに詳しいところは話していこうと思っている。若干、彼が通常慣れている役割とかポジション等、異なったかたちでやっているので、そこに慣れてもらうということだけ。まだ100%ではないが、いい選手というのはそんなに時間はかからないと思う」

 この日の午後に公開された練習では、アンストラクチャーの場面での動きの確認や、ディフェンス、ラインアウト、スクラムなどがおこなわれ、「16分だけ息の上がるセッションをやったが、ほかの45分は強度をぐっと下げてやった」(ジョセフHC)。オーガナイズの面、戦術・戦略の落とし込みの部分があったため、そこでは強度を下げてしっかり学べるようなかたちでおこなわれた。

 2015年ワールドカップまでのエディー・ジョーンズ体制からジョセフ体制に変わり、新チームの感想を聞かれたリーチは「始まったばかりだけど、空気が違う。みんなリラックスしている。まだピリピリした感じはない。まだ、月曜日なんで」と言って少し笑った。「新鮮。はやく(試合を)やりたい。腰がちょっと痛いけど。もう歳です(笑)。同期がちょっと少なくなった。前はトンプソン ルークとかコリー(ホラニ 龍コリニアシ)とかいて、30オーバーが結構いたけど、いまは30オーバーは5人しかいない。ワールドカップの経験がある選手がワールドカップやテストマッチの厳しさを教えないといけない」

 2019年の自国開催ワールドカップへ向けて、日本代表は新しい試みをしている。そのひとつが、キックを使ってアンストラクチャーのシチュエーションを作ろうというスタイルだ。
 リーチは正直、「なんであんなにキックを多く使うんだろう」と思っていた。でも、トニー・ブラウン アタックコーチと話をして、チームがイメージしていることがわかった。いまは、おもしろい考えだと思っている。「説明を受けて納得する部分はたくさんある。テストマッチのなかでそれが通用するか通用しないか。あと2年間、変化しながら、仕上げていく」。

 6月10日のルーマニア代表戦にリーチが出場するかどうかはまだわからない。でも、「熊本のファンにどんなプレーを見せたい?」と聞かれ、一切の妥協を許さない闘将はハッキリとこう言った。
「タックルだけは外したくない。タックルは100%決めたいです」
 日本代表に、頼もしい男が帰ってきた。