フランス・パリで開催された「全仏オープン」(5月28日〜6月11日/クレーコート)の大会8日目、男子シングルス4回戦。 6度のマッチポイントで、第20シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)は第5シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ…

 フランス・パリで開催された「全仏オープン」(5月28日〜6月11日/クレーコート)の大会8日目、男子シングルス4回戦。

 6度のマッチポイントで、第20シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)は第5シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)に対し番狂わせを演じるという、彼のキャリア最大の勝利まであと一歩というところに迫っていた。

 カレーニョ ブスタは自己初のグランドスラム準々決勝進出まであと一歩、全仏優勝歴9回のラファエル・ナダル(スペイン)に対する"究極のテスト"の場をセットアップするまで、あと一歩というところにいた。

 そして、その6度のいずれでもカレーニョ ブスタはとどめを刺すことができず、最終的に彼は7度目のチャンスでボレーのウィナーを決め、ラオニッチを4-6 7-6(2) 6-7(6) 6-4 8-6で下すことに成功したのである。

 この試合は4時間以上かかった。その激しい4時間の試合のあとで25歳のカレーニョ・ブスタは泣いた。「内部に感じていたプレッシャーを解放するために」泣いたのだとのちに説明している。

「僕は苦しんだが、同時に楽しんだ」とカレーニョ ブスタは言った。彼はどのグランドスラム大会でも、これまで3回戦を超えたことはなかった。「もちろん、もし勝ったなら、よりいっそう楽しめる」。

 火曜日に彼がナダルと対戦するとき、この日ほど楽しめないだろうというのが大方の予想だ。ナダルは同日に、第17シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)を6-1 6-2 6-2で圧倒し、クレーコートでの5セットマッチの戦績を99勝2敗に向上させた。

 この勝利でナダルは、全仏オープン準々決勝進出の回数を11回とし、ロジャー・フェデラー(スイス)が持つ記録と並んだ。これは1968年に始まったオープン化以降の時代で最多記録となる。

「僕は今、準々決勝に進んだ。僕は健康で、いいプレーをしている。それが僕にとって重要な唯一のことだ」とナダルは言った。「そのほかのことはどうでもいい」。

 この日のより遅い時間帯には、前年度優勝者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第19シードのアルベルト・ラモス ビノラス(スペイン)を7-6(5) 6-1 6-3で破り、ナダルとフェデラーとタイの11回目の全仏準々決勝進出を果たした。

 ジョコビッチは最初のサービスゲームを落とし、まとまりのないテニスで第1セットを取るのに1時間15分をかけた。

 試合後のオンコート・インタビューで元選手のファブリス・サントロ(フランス)に、新コーチのアンドレ・アガシはこの試合をどう思っただろうかと聞かれたジョコビッチは、「彼が第2セットと第3セットだけを見て、第1セットは見ていなかったことを願うよ」と自虐的ジョークを交えて言い、それから真面目になって、「彼が僕のコーチになってくれたことは、名誉であり喜びだ」と話した。

 ジョコビッチは次のラウンドで第6シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と対戦する。ティームはホレイショ・ゼバロス(アルゼンチン)を6-1 6-3 6-1で破った。ジョコビッチとティームの顔合わせは昨年の準決勝の再現であり、そのときにはジョコビッチがストレートセットで勝っている。

 話をカレーニョ ブスタに戻せば、彼はラオニッチに対し、第5セットで5-4とリードし、キープすれば勝利というサービスゲームの最中に、3度に渡り勝利まであと1ポイントというところにいた。最初のマッチポイントでは、ラオニッチが逆をついてフォアハンドのウィナーを決め、2度目はカレーニョ ブスタがフォアハンドをアウト。3度目はカレーニョ ブスタがフォアハンドをネットにかけた。

 4度目のチャンスは7-6からのゲームで訪れた。しかし、昨年ウィンブルドンで準優勝したラオニッチは、簡単にはあきらめなかった。

 4度目のマッチポイントでカレーニョ ブスタは、バックハンドをサイドに外した。5度目はラオニッチがバックハンドでウィナーを決め、6度目はカレーニョ ブスタのフォアハンドがコートを割った。そして、彼は7度目をものにした。

「僕は可能な限り踏みこたえたよ」とラオニッチは言った。

 土曜日に31歳となったナダルはロラン・ギャロス(全仏)での10度目のタイトルを追っているだけでなく、15度目のグランドスラム・タイトルも狙っている。そうなれば、フェデラーの最多記録まであと3つと迫ることになるのだ。

 ナダルが最後にグランドスラム大会で優勝してから、すでに3年が経った。これ以前に彼が獲得したグランドスラム・タイトルは2014年の全仏オープンだ。

 今大会の一週目を通し、ナダルは20ゲームしか落としていない。グランドスラム大会で準々決勝に進む過程で、ナダルがこれよりいい数字を出したのは一度だけだ。彼は2012年の全仏オープンでの一週目4試合を通し、19ゲームしか落とさなかった。

 ナダルはカレーニョ ブスタに対し、3勝0敗の対戦成績を誇っている。そのため、ある者は4度目の対戦結果は見えている、と思っているかもしれない。

「もし僕が自分にはチャンスがないと思うなら、プレーしないだろう。だからもちろん、自分にも勝つチャンスはあると思っている」とカレーニョ ブスタは言った。「ラファはこのサーフェスで史上最強の選手かもしれないし、現在いいプレーをしている。でも、僕はトライするよ」。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「全仏オープン」4回戦で第5シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)を破った第20シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)(写真◎Getty Images)

Photo: PARIS, FRANCE - JUNE 04: Pablo Carreno Busta of France celebrates victory in the mens singles fourth round match against Milos Raonic of Canada on day eight of the 2017 French Open at Roland Garros on June 4, 2017 in Paris, France. (Photo by Adam Pretty/Getty Images)

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