アピールの足りなかった選手には厳しい通告…4年目甲子園の星も 日本シリーズの裏で、今季は9年ぶりの最下位に終わった日本ハ…
アピールの足りなかった選手には厳しい通告…4年目甲子園の星も
日本シリーズの裏で、今季は9年ぶりの最下位に終わった日本ハムが、急ピッチで戦力の再構築を進めている。ここまで4年目の柿木蓮投手ら10選手に戦力外通告。ベテラン金子千尋投手は現役続行を目指して退団を選択し、大砲と期待したメジャー通算56本塁打のレナート・ヌニエス内野手も退団が決定した。
さらに、阪神との間でいち早く2対2の交換トレードも成立させた。二塁のレギュラーだったこともある渡邉諒内野手と、昨季一塁の空白を埋めた高濱祐仁内野手を放出し、齋藤友貴哉投手と江越大賀外野手を獲得した。
今季日本ハムに在籍したのは、支配下69選手と育成11選手の計80人。これから育成で再契約する選手もいるとみられるが、自ら引退を決めた育成の速水隆成捕手も含め、実に15選手が戦力外を通告されたり、退団するという激動のオフだ。
新庄剛志監督は昨秋の就任後、今季を1年間の長い「トライアウト」と位置付けると宣言、全選手に1軍でのプレー機会を与えるとした。その言葉通り、今季の支配下69選手中、1軍出場がなかったのは右肘を故障していたジョン・ガント投手だけだ。他は高卒ルーキーから、38歳の金子まで、実戦の中で力を見極めた。
把握したチームの弱点…徹底した即戦力ドラフトに見える本気
清宮幸太郎内野手が自己最多の18本塁打を記録したり、ドラフト9位で入団した上川畑大悟内野手が後半、遊撃のレギュラーに定着したりと進歩を感じさせる選手も現れたが、大半は指揮官の求めるレベルにまでは達しなかったようだ。特に戦力外や退団となった選手は、現実を突き付けられた格好だ。渡邉や高濱といった、昨季は1軍でプレーしていた選手をトレードの“駒”とすることにも、ためらいはなかった。
新庄監督は、就任2年目の来季は「優勝以外いらない」と、1年目とは真逆の方針で臨もうとしている。今季はかなわなかったレギュラーの固定も進めていくだろう。20日のドラフト会議では、支配下で6選手を指名した。そのうち高校生は1人だけと、徹底した即戦力主義で、穴を埋めにかかっている。今季は打線の弱さが目立った。チーム得点はリーグ最低だ。
1位の矢澤宏太投手(日体大)はDH制の大学野球でも投打二刀流でプレーしてきた。俊足強打の外野手としての起用もあるだろう。新庄監督は、現役時代のポジションだった外野手には求めるラインも高く、可能性がある選手をさらに集めている。阪神から獲得した江越も、身体能力には定評がある。FA権を持つ近藤健介外野手の去就が決まっていないこともあり、万波中正、今川優馬といったレギュラー“候補”に終わった選手の競争相手をさらに集めている。
また、2位の金村尚真投手(富士大)は実戦力が光る右腕だ。そしてレギュラーが現れなかった二塁にはめられる即戦力として、メッツ傘下3Aの加藤豪将内野手を指名した。
来春には新球場「エスコンフィールド北海道」が開場する。記念すべきシーズンに、新庄監督の歓喜の舞いは見られるのか。少なくともその目標に“情け”なしの本気で向かっているのは間違いない。(Full-Count編集部)