D-LEAGUE22-23、サードシーズンがは2日に幕を開け、ラウンド2がさっそく19日に開催された。ファーストシーズンの2020-21は9チームから始まったDリーグだが、シーズンごとにチームが増え、今シーズンはValuence INFIN…
D-LEAGUE22-23、サードシーズンがは2日に幕を開け、ラウンド2がさっそく19日に開催された。
ファーストシーズンの2020-21は9チームから始まったDリーグだが、シーズンごとにチームが増え、今シーズンはValuence INFINITIESを迎え12チームに。神田勘太朗COOの初期の構想によれば、この12チームが、Dリーグの完成形となる。
◆新ルール採用でさらに熾烈を増した戦いに! 円熟の時を迎えたサードシーズンが開幕
■全チーム総当り戦となったサードシーズンが開幕
前シーズンまではラウンドごとに全チームが1度ずつ演技を行い採点、最多得点チームが優勝となるコンペティション方式だったが今季からルールが変更。シーズンを通じ全12チームが総当りのリーグ方式が採用され、ラウンドごとに2チームによるダンスバトルが計6戦行われる。Jリーグで例えれば、ラウンドは「節」であり、その都度「勝ち点」が積み重なり、総当たりの11ラウンド+CYPHERラウンドに上位6チームが選ばれ、チャンピオンシップへと進む。
この新ルールにより、各ラウンドでどのチームとどのチームが対戦し、そしてどちらに軍配があがるのか、観る側にとっても勝者と敗者のコントラストが増す。よりゲーム性が加わり見応えのある闘いになった。これはむしろダンス・バトルの元の姿に近い。そしてこれにより、対戦する2つのチームのどちらがより素晴らしいパフォーマンスだったか観戦し、マッチごとの勝敗を予想することで、自分自身もジャッジの一人のように、各パフォーマンスをより深く感じている事実に気が付かされた。
そして、自身の予想と、実際にプロのジャッジが下す結果がどの程度同じものとなるか、もしくはかけ離れたものとなるのか。そのような観戦スタイルを経験することで観客の目が肥えてゆくという現象も必ずや起こる。他の競技やエンターテイメントでも同様だが、目が肥えるということは、よりそのパフォーマンスを深く愉しめること。そして今後、目の肥えた観客を沢山抱えたDリーグはさらにその強固なファン層に支えられながら発展してゆくに違いない。
そんな進化を感じさせたラウンド2の総当たりの結果は下記の通り。
【1stMATCH】Valuence INFINITIES [1-5] SEGA SAMMY LUX 「泥臭く行く」とストレートなスキルでブレイキンを打ち出したINFINITIESはそれぞれのダンサーの煌めきを見せたが、黒とシルバーの衣装を効果的に使い、妖しいうごめきとその後の爆発力で鮮烈なイメージを印象づけたLUXが勝利を飾った。
【2ndMATCH】Benefit one MONOLIZ [2-4] FULLCAST RAISERS フラメンコギターの音色に合わせ情熱的な舞で魅せたMONOLIZだったが、ワインレッドのハットに滑りのあるホワイトシャツで男臭さを全面に押し出し、最後は胸をはだけさせた大人のセクシーさで攻めたRAISERSに軍配が上がった。
【3rdMATCH】CyberAgent Legit [6-0] SEPTENI RAPTURES 毎回弾ける愉しさで会場を包み込むRAPTURESは今回もエネルギーとスピード溢れるナンバーでの健闘が光った。だが、ドラマティックな空気を創り出すことに長けたLegitの掲げた「レジスタンス」「“黒レジット”のダークな一面を見せる」というテーマが圧倒し、6-0のSWEEP勝利を飾った。
【4thMATCH】KADOKAWA DREAMS [2-4]avex ROYALBRATS LOVEをテーマにスーツ姿でフォーメーション豊かにクールで洒落たダンスを披露したDREAMSに対し、全員が老人のキャラに扮して、杖をついてよろよろと現れ、その後急にキレッキレのダンスを見せたかと思うとまた、老人に戻るというコミカルで愉しい演出で観客とジャッジの心を捉えたROYALBRATSが勝利をさらった。
【5thMATCH】LIFULL ALT-RHYTHM[4-2] USEN-NEXT I’moon 毎回、独特の世界観が光るALT-RHYTHMは今回もパーカッションの音に合わせたアグレッシブなパフォーマンスで異彩を放った。そして、可愛いだけでなく、しっかりとダンスも上手いDリーグ唯一のガールズオンリーチームであるI‘moonは、得意のシンクロ率抜群のキレの良いダンスで健闘したが、ALT-RHYTHMの放った個性的なナンバーに軍配があがった。
【6thMATCH】dip BATTLES[5-1]KOSE 8ROCKS よけいなものがない研ぎ澄まされた肉体をよりクリアに感じさせる白装束で、ある意味囚われ人のような妖しさで登場したdipBATTLESは、心に訴えるストレートなダンスで会場の空気を掴み、ダークでディープな世界観を現した。対する8Rocksは70年代のディスコとジョン・トラボルタをテーマにブレイキンとファンクを掛け合わせたポップなテーマで対抗したが、dipBATTLESの勝利となった。
総当たり戦ということで、ラウンド2の6つのMATCHを振り返ってみた。
今季は全12ラウンド。総当り戦は残り9ラウンドあり、最後にCYPHERラウンドが開催される。つまり60MATCHの闘いを終えたのちに、2023年4月23日のチャンピオンシップへと続いてゆく。今後すべてのMATCHの対戦相手はすでに22-23年度の対戦表で発表されており、各チームの闘い方も変化してゆくことになるのだろう。
即ちDリーグの全チームは、毎2週間ごとに闘う対戦相手を見据えてナンバーを用意するという新しい闘い方となる。それによって個性と個性の闘いがさらに際立ち、Dリーグ観戦の見応えをより深くしてくれることは間違いない。しかしまた、このルール改定によって2週間に一度、それぞれのナンバーを創り出し、踊り込んで試合に臨むという過酷な闘いが、闘いやすいものとなったのか、もしくはよりチャレンジャブルなものとなってしまったのか。当事者でなければ分かりようのない複雑さが増したとも言えるかもしれない。それについては、近いうちに各Dリーガーに尋ねてみたいと思っているが、まずは、すべてのDリーガーの健闘を祈りながら、ラウンド3を待ち受けたい。
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著者プロフィール
Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。