オリ先発陣は「長い回を計算できる投手が多く正攻法で臨める」 セ、パで連覇を果たしたヤクルトとオリックスが激突する「SMB…

オリ先発陣は「長い回を計算できる投手が多く正攻法で臨める」

 セ、パで連覇を果たしたヤクルトとオリックスが激突する「SMBC日本シリーズ2022」が22日に神宮球場で開幕する。昨季と同じ顔合わせとなった“頂上決戦”を、ヤクルト、日本ハムなど4球団で通算21年間捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「ブルペン勝負になると、ややヤクルトが一枚上」と展望した。

 2年連続日本一か、それとも昨年のリベンジか――。野口氏はまず、両軍の投手力を比較し「先発は間違いなくオリックス。ある程度、長いイニングを計算できる投手が多く正攻法で試合に臨める。ローテーションの4枚は確実でしょう」と語る。

 15勝をマークし2年連続“投手5冠”を達成した山本由伸、2年連続2桁の11勝を挙げた宮城大弥、自己最多9勝の田嶋大樹、右肘手術から完全復活の山岡泰輔と豪華な顔ぶれ。主導権を握りたい第1戦は山本が先発する。

 第5戦は今季5勝の左腕・山崎福也、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦でベンチ入りした高卒2年目の山下舜平大、7年目右腕・竹安大知ら“第2先発”を含め中嶋監督の起用法にも注目が集まる。CSでは1軍未登板の山下は“秘密兵器”として騒がれたが「日本シリーズでの先発する確率は5パーセントぐらいではないでしょうか。野手なら過去に山田哲人が2011年のCSで起用されたことがありますが…」と野口氏は口にする。

「相当な賭けになりますが、相手に情報が入っていない中で投げるのは面白い。オリックスが3勝1敗で第5戦を迎えるなら、第6戦には山本がいるので試すことはできます。ただ、仮に失敗するとシリーズ全体の流れが傾く可能性もある。昨年の日本シリーズ、今年の交流戦を負け越しているだけに相当な覚悟が必要です」

ヤクルトは「6、7回を投げる投手が鍵を握る」

 対するヤクルトはシーズンでの2桁勝利投手はいないが、小川泰弘、サイスニード、CSで復帰した高橋奎二、ベテラン・石川雅規が軸になりそうだ。加えてCSファイナル第4戦で先発予定だった2021年ドラフト1位・山下輝や高梨裕稔らが予想される。

 オリックスに比べると先発陣はやや劣る形になるが、野口氏は「6、7回を投げる投手が鍵を握る」とキーマンに田口麗斗、石山泰稚をあげる。試合終盤の8回から登板する清水昇や守護神・マクガフに繋ぐことができるかが、鍵を握るという。

「ヤクルトの先発陣が7回まで投げ切ってくれれば言うことなしですが、シーズンを見ても難しい。日本シリーズでも早めの継投策になることが予想され、田口、石山の活躍がシリーズの行方を左右するかもしれません」

 中継ぎ陣ではその他にもマクガフに並ぶチームトップの55試合に登板した木澤尚文や今野龍太、大西広樹、久保拓眞らがスタンバイ。オリックスも山崎颯一郎、阿部翔太、宇田川優希ら昨年にいなかった“新顔”が台頭し、リーグ連覇を支えた。両チームともに強力なリリーフ陣を揃えているが「シーズンを通して、継投は高津監督の方が一枚上かなと思う」と語る。

オリックスは過去の日本シリーズでヤクルトと3度対戦し全て敗退

 打撃に関しては3冠王の村上宗隆、オスナ、サンタナとポイントゲッターが揃うヤクルトが優勢。オリックスもCSファイナルステージで杉本裕太郎が4試合で打率.385、1本塁打5打点と復調の気配を見せたが「本当に完全復活なのかどうか。今季は好不調の波が激しかった。オリックスは吉田正の前後を打つ打者の状態次第。中川圭、杉本、西野らが吉田正にランナーを返す仕事をさせることができるかでしょう」と語る。

 オリックスは過去の日本シリーズでヤクルトと3度対戦(1978、1995、2021年)し、全て敗退。現役時代、昨年と涙をのんだ中嶋監督は“4度目の正直”で悲願の日本一を手にしたいところだ。

「昨年に続き面白い試合になると思います。試合の中で大きく動くのはオリックス。意表を突いた作戦など、中嶋監督の采配にも注目です。今年も予想は難しいですが、継投策を考えると4勝3敗でヤクルトを推します」

 シーズンを通して好勝負を演じてきた、高津ヤクルトと中嶋オリックス。2022年の野球界を締めくくる、頂上決戦に注目が集まる。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)