社会人野球のエイジェックで投手コーチを務める小林雅英氏が分析「プロ野球ドラフト会議 supporeted by リポビタンD」が20日、東京都内のホテルで行われ、支配下で69人、育成で57人が指名された。異例の9人の“ドラ1公表”で、抽選も…

社会人野球のエイジェックで投手コーチを務める小林雅英氏が分析

「プロ野球ドラフト会議 supporeted by リポビタンD」が20日、東京都内のホテルで行われ、支配下で69人、育成で57人が指名された。異例の9人の“ドラ1公表”で、抽選も2選手。それも2球団ずつだった。解説者の見解はどうなのか。日体大から東京ガスを経て、ロッテや巨人、メジャーでもプレーした小林雅英氏(現・社会人エイジェック投手コーチ)は「場の荒れない、各球団狙い通りになったドラフト」だったと総括した。

 ドラフトの答えは5年後に分かると言われている。社会人チームのコーチを務めている小林氏は今回の指名選手の中にはオープン戦などで実際に見た選手も多かったという。「各球団とも理想に近いドラフトになったのではないかと思います」。理由は事前に1位を公表したのが9球団すべてが順当に交渉権を獲得できたこと。競合も2選手でそれも2球団。外れた阪神、ロッテも大きく軌道修正するほどの展開にもならなかった。ウエーバー順も分かっていたため、最後まで大きな波乱はなかったと見る。

 そんな中、各球団の狙いははっきりしていた。来季の戦力を獲得する「即戦力型」、高校生中心の「育成特化型」、オフの補強への手応えを感じさせる「補強期待型」の3つに分類される。即戦力の獲得で弱点の強化を狙った球団は、日本ハム、DeNA、西武、楽天、ロッテ、中日、ヤクルトの7球団。育成特化型だったのがオリックス、ソフトバンク、広島の3球団。「補強期待型」が巨人、阪神の2球団といった印象を受ける。

「即戦力型」の1つである日本ハムについては、上位で即戦力の投手(日体大・矢澤、富士大・金村)を獲り、3位で加藤豪将内野手を獲得。戦力の底上げができたと見る。「加藤選手は(日本ハムのウイークポイントである)二塁の定位置を取れる可能性がある。多田野くんとか村田透くんとかメジャーを経験した選手を受け入れる土壌もあるし、いい活躍ができるのではないか。あとは加藤くんがどう溶け込んでいけるか。マイナーでやっていた時よりは日本ハムの方が環境はいい。ハングリー精神をどこまで持ってやれるのかがポイントになりますね」と語る。

戦力整うヤクルトに少し見える“余裕”、阪神、巨人はトレード、FAに自信?

 2年連続日本一を目指すヤクルトについては「1位の吉村(貢司郎)くんは、組み立てて長いイニングを投げるより、短いイニングで出力を上げて出す方が向いているのではないかと思う」と先発ローテよりもセットアッパー向きかもしれないと分析。3位の澤井廉外野手(中京大)、5位の北村恵吾内野手(中大)は強打者タイプ。「でも、ヤクルトにはそのあたりの選手は内野も外野も日本人、外国人にいるため、いきなりチャンスが多くあるとは考えにくい。レギュラー陣にどれだけ刺激を与えられるか」と少し他の球団よりも戦力の“余裕”が感じられるが、競争を激しくさせることでチーム力アップになるかもしれない。

 育成特化型は文字通り、来季に向けた戦力補強ではなく、近い将来に1軍の戦力になれる選手たちを指名。オリックス1位の曽谷龍平投手の白鴎大とはエイジェックがオープン戦を行っており「綺麗なフォームで故障しないような投げ方をしている投手」と高く評価。ただ、オリックスの左の投手陣は「ライバルが多いと思う」とまずは戦える体力づくりが鍵となる。曽谷については「まずはシーズンに対応できるフィジカルですね」と解説した。

 そして気になる「補強期待型」の2球団。阪神は4人の高校生を指名。こちらも育成型に近いが「先日の2対2のトレードで日本ハムから獲得した渡邉諒内野手も含め、現在の戦力に自信があるから、そこまで即戦力に走らなかったのではないか」と見る。巨人も5人という少なさでドラフトを終えている。高校、大学、社会人とバランスが取れている。「1位の浅野くんも即戦力ではないですし、他の選手もすぐにローテーション入り、レギュラーにというのは現在の戦力を見ても考えにくい。この後のFA補強を見据えての指名のように見えます」とそれぞれの球団に特色のあったドラフトになったと振り返った。(Full-Count編集部)