元中日外野手の滝野要さん、戦力外当日の様子や気持ちを即座に投稿 プロ野球人生の岐路に立った約6時間後、YouTubeに1…

元中日外野手の滝野要さん、戦力外当日の様子や気持ちを即座に投稿

 プロ野球人生の岐路に立った約6時間後、YouTubeに1本の動画を投稿した。「クビって言われてから食べるモンブラントースト、めちゃくちゃ美味いっす!」。10月4日に中日から戦力外通告を受けた元外野手の滝野要さん。あえて当日に自身のチャンネルを開設することへの批判は覚悟した上で、すぐさま第2の人生を歩み始めた。

 岐阜・大垣日大高時代は甲子園出場を経験し、進学した大商大でも1年時からレギュラーを担った。俊足巧打が評価され、2018年のドラフト6位で中日に入団。ただ、プロの世界で結果を出すのは難しかった。1年目は2軍暮らしに終始し、1軍デビューした2年目も10試合止まり。代走や守備固めの役割から抜け出せなかった。

 26歳になった今季、ようやく8月上旬に1昇格を果たした。チームでの立場的にも、これまでの成績的にも、あとがないのは分かっていた。シーズン残り2か月あまりで少しでも爪痕を残したいと意気込んでいた矢先、新型コロナウイルスの陽性判定を受け、離脱を余儀なくされた。

 8月下旬に1軍に再昇格したが、代打で全く結果が出ない。「体のキレが全然違いました。コロナで離脱する前まではストレートを待っていて変化球が来ても対応できたんですが……」。隔離期間を終えて体を作り直したはずだったが、感覚は戻らず。わずか10日ほどで2軍行きを告げられると、自然と“シーズン後”を覚悟するようになっていった。

「4年間だったが、ドラゴンズのために働いてくれてありがとう」

 球団代表からの言葉に、思いのほか衝撃は感じなかった。「すんなり入ってきました」。プロ野球選手にとっては、大きな節目となる戦力外の日。中には頭が真っ白になる選手もいる。前日に球団側から呼び出しの電話があり、一夜明けて指定された時間に球団事務所へ。通告を受け、待ち構える報道陣に対応する。そんな怒涛の一日を終えようとしていた夜、「ご報告」とのタイトルで“ホヤホヤの気持ち”をYouTubeにアップした。

自律神経の病気との闘い「同じ症状で悩む人たちが少しでも楽になれば」

 球団事務所に向かう車中や、通告直後に喫茶店で「モンブラントースト」を頬張る様子。戦力外の悲壮感はなく、6分27秒の映像にはむしろ明るい表情が切り取られていた。「当日にこんな動画上げてふざけんなって言われるんだろうなと」。確かに批判的な意見は一部あったが、大半は共感やエールの声だった。

「私も同じ病気と戦ってます」「病気を克服したい気持ち応援してます」

 動画の最後で触れた、自律神経の病気との闘い。最も伝えていきたいことであり、YouTubeチャンネルを開設した最大の理由だった。「僕自身、症状を人に打ち明けたことで楽になったことがありました」。寄り添ってくれる人がいるだけで、少しは救われる。「僕が発信することで、同じ症状で悩む人たちの気持ちが少しでも楽になれば」と願う。

 多くの人に届けていく手段として、YouTubeを選んだ。ただ、滝野という人間を知ってもらわなければ、いくら声を上げても無数の情報やコンテンツの中に埋もれていくだけ。「クビと言われて1か月後とか2か月後にチャンネルを開設しても、影響力は衰えている」。戦力外通告の当日なら、ニュースサイトにも多く「滝野」の文字が出てくる。だから、当日にこだわった。

 開設から約1週間がたち、登録者数は2万人あまり。すでに各方面から仕事の依頼も届いている。「まずは僕のことを知ってもらうこと。これから病気のこととかも話していきたい。ここがスタート。ファンの方々と一緒に大きくなっていきたい」。即座の転身は、強い決意の裏返しでもある。(小西亮 / Ryo Konishi)