厳選!2歳馬情報局(2022年版)第20回:ポルトロッソ 日本で繁栄している血統のなかでも、とりわけ活躍馬の多い一族から…
厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第20回:ポルトロッソ
日本で繁栄している血統のなかでも、とりわけ活躍馬の多い一族から、今年も楽しみな若駒がデビューを迎えようとしている。
美浦トレセンの宮田敬介厩舎に所属するポルトロッソ(牝2歳/父リアルスティール)である。

デビューを間近に控えた良血ポルトロッソ
同馬の血筋はまさしく一級品。1983年のオークス(東京・芝2400m)を制したダイナカールからなる一族で、祖母は「女帝」と称されたエアグルーヴ。彼女は、1996年のオークスで母娘制覇を達成し、翌1997年にはGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)で強豪牡馬を蹴散らした。
そしてそのエアグルーヴも、母ダイナカールと同様に繁殖牝馬として活躍。GIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を連覇したアドマイヤグルーヴをはじめ、長距離重賞で奮闘したフォゲッタブル、海外GIのクイーンエリザベス2世C(香港・芝2000m)で戴冠を遂げたルーラーシップなどを送り出している。
その他の子どもたちも、軒並み勝ち星をマーク。しかも、ダービー馬ドゥラメンテを出したアドマイヤグルーヴを筆頭に、牝馬の子たちは繁殖牝馬となってから優秀な産駒を次々に出している。
ポルトロッソの母であるポルトフィーノも、そのうちの1頭。現役時にはエアグルーヴの子として脚光を浴び、デビュー2連勝を飾っている。繁殖牝馬としても、ポルトドートウィユなど重賞好走馬を出して、「いつか大物が出るのは」と期待されている。
ある意味、ポルトロッソはそうした期待を背負った存在とも言える。すでにデビューに向けてトレセンで調教を重ねているが、間近で見ているスタッフの感触はどれほどのものなのか。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。
「ポルトロッソについて、スタッフは『馬体を見ると、やはり良血馬の雰囲気を持っている』と話しています。『素質はありそうだし、馬の形もいい。スピードに乗った時の感触も良好』とのこと。この能力をきちんと競馬で引き出せれば、『活躍できる』と踏んでいるようです」
ただ一方で、不安要素もあるという。トラックマンが続ける。
「この一族は気性的に難しい馬が多いのですが、ポルトロッソについても『危うさを秘めている』とスタッフ。ふだんの生活のなかでも落ち着かない面を見せることがあるようで、『テンションを上げないよう、調整していく』と話しています。
とはいえ、能力を秘めていることは明らか。うまく調整していって『レースで力を出せれば、楽しみ』と、不安よりも期待のほうが大きいことは確かでしょう」
デビュー戦は、10月15日の2歳新馬(東京・芝1600m)。クリストフ・ルメール騎手が鞍上を務める予定だ。
日本屈指の"良家"の出であるポルトロッソ。その血筋にふさわしい走りをいきなり見せてくれるのか、初陣に注目である。