木村沙織×田村保乃(櫻坂46)対談 中編元バレーボール女子日本代表で2012年ロンドン五輪銅メダリストの木村沙織さんと、櫻坂46の田村保乃さんが対談。田村さんは小さい頃から大学までバレー漬けの日々を送り、尊敬する人として木村さんを挙げていま…

木村沙織×田村保乃(櫻坂46)対談 中編

元バレーボール女子日本代表で2012年ロンドン五輪銅メダリストの木村沙織さんと、櫻坂46の田村保乃さんが対談。田村さんは小さい頃から大学までバレー漬けの日々を送り、尊敬する人として木村さんを挙げています。中編は、今から10年前の2012年ロンドン五輪バレーボール女子の話。木村さんが日本代表で活躍する様子を田村さんは固唾を飲んで見守っていたと言います。当時の思い出を語り合いました。


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「あんなに鳥肌が立つ試合はなかなかない」

ーー田村さんはロンドン五輪バレー女子日本代表の試合に夢中になっていたそうですね。

田村保乃(以下、田村) 私が高校生の頃でした。高校時代はケガしてばかりだったので、携帯電話のテレビでずっと試合を見ながら、病院に通っていたのをよく覚えています。

木村沙織(以下、木村) そうだったんですか!

田村 3位決定戦の韓国戦の時も試合を見ていたんですが、時間になったので病院に入らなきゃいけなかったんですけど、本当に最後の最後、いい場面になって......きゃー!行けー!って(笑)。

木村 (笑)。

田村 ずっと試合を応援してました。

木村 よかった。勝てて。

田村 すごかったです。もうあんなに鳥肌が立つ試合はなかなか見られることはないだろうなって思いました。あの瞬間をちゃんとリアルタイムで見られたことがすごくうれしいです。

木村 病院はちゃんと行ってくださいね(笑)。

田村 はい(笑)。そのあと興奮したまま病院に入りました。



ーー木村さんがロンドン五輪で印象深い試合は?

木村 そうですね。私は、一番はやっぱり中国戦になります。

田村 私もよく覚えています。全部見ていたし、リアルタイムでも見て録画でも見ていました。自分の試合前にも絶対にイメージトレーニングとしてロンドン五輪の試合をはじめ代表戦だったり、Vリーグのプレーを見るのが好きでした。

木村 録画までして見るんですか?

田村 しました! 何回も見ました。

木村 ......何が楽しいんですか?(笑)

田村 (笑)。何が楽しいんだろう、バレーが本当に好きだったので、こんなプレーができるんだとか感動したり、全部楽しかったです。

木村 このボールを拾うんだ!とか?

田村 はい! もう興奮!って感じです。

木村 へーすごい。録画していたんですね。私は自分の試合を見たことないです(笑)。

田村 私も自分の試合は見たくなくて一回見ればいいやという感じです。もう何か嫌なところばっかり目についちゃって。

木村 あー。

田村 自分以外の方がプレーしてる姿を見るのが大好きです。

木村 それはバレー部時代ですか?

田村 今も大好きです。バレーから離れてから、もうできないなと自分で感じるのが嫌なので、自分がプレーするのはちょっと気が引けるところはあるんですが、たまに番組の企画とかでやらせていただくとやっぱり楽しいです。

木村 バレー、大好きなんですね。

田村 バレーに出会えてよかったです。

バレーにもアイドルにも必要な団結力

ーーでは、田村さんがロンドン五輪で一番印象に残った試合は?

田村 やっぱり3位決定戦。他の試合もそうですけど日本の団結力が印象的です。世界を見てもあれだけ団結しているチームはなかなかないんじゃないかなと見ていて思いました。みなさんがコートの中で祈って手をつないだ際の表情だったり、あの空気感は本当に素敵で。しかもそれが自分の国のチームですごく感動しました。

木村 そうか、団結力ですね。チームスポーツの魅力ですね。



田村

 そうですね。バレーをやってきて、個人スポーツの選手の気持ちがわからないので、逆にひとりで戦っている方も本当にすごいなと感じます。

木村 引退してからいろんな競技も見ますが、私はやっぱりチームスポーツが好きです。バスケットボールとか。団結力であったり、見えない力でみんながひとつになることによってチームが強くなったり、見ていてすごく感動もします。アイドルもそうじゃないですか?

田村 確かにそうですね。櫻坂46もメンバーがたくさんいるので、私の気持ち的にはバレーをしていた時と同じような感覚です。

木村 そうですよね。ひとりがうまく踊っても、みんながきれいにそろわないと。

メダルの裏側にあった「おにぎりパワー」

ーー試合以外に、ロンドン五輪の思い出を教えてください。

木村 ロンドン五輪の時、マネージャーさんと栄養士の方が毎日、試合や練習のあとにおにぎりを用意してくださいました。オリンピック村の食事は各国のご飯があるので、いろいろ食べられるんですけど、食べやすい小さめのサイズに握ってくれたおにぎりが本当に美味しくて。それがとても印象に残っていて、長い連戦のなかですごいパワーをもらっていたなって思います。

 五輪のメダルって、選手分しかもらえないんですよ。監督にもスタッフの分もない。そういう方々も含めたチームのみんなで戦っているということで、表彰式が終わってからすぐ栄養士さんやマネージャーさんやスタッフの方にメダルをかけて、写真撮ったのをよく覚えています。


田村

 そんなことがあったんですね。テレビで見ているだけではわからないので、これを聞けたことが貴重だなと思いますし、やっぱりそういう人と人とのつながりがあったからこそのあのすばらしい試合だったんだなと思いました。


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後編のテーマは、ふたりの近況や現在開催中のバレー女子世界選手権で活躍する現日本代表について。木村さんの今の暮らしや田村さんが注目しているバレー選手などについてお聞きしました。

後編につづく 

撮影協力/TBS

【profile】
木村沙織 きむら・さおり 
1986年生まれ、東京都出身。2003年、アジア選手権で代表デビュー。2005年、東レアローズに入団。2012年ロンドン五輪で銅メダル獲得。2012年に世界最高峰リーグであるトルコの「ワクフバンク」に移籍し、ヨーロッパチャンピンズリーグ優勝を経験。2016年リオデジャネイロ五輪でキャプテンとしてチームを牽引した。2017年に引退。現在は、元バレーボール選手で夫の日高裕次郎氏とカフェ・バーを営みながら、マルチに活動している。

田村保乃 たむら・ほの 
1998年生まれ、大阪府出身。幼少期にバレーボールを始め、大学途中までプレー。2018年、坂道合同オーディションに合格し、欅坂46(現・櫻坂46)の2期生としてアイドル活動をスタート。2021年には自身初の写真集『一歩目』(小学館)を発売。櫻坂46通算3枚目のシングル『流れ弾』ではセンターを務めた。