リバウ…

リバウンドで20本以上の差をつけA東京がゴール下を制圧


 10月7日、気温11度と12月並みの寒さの中、Bリーグ第2節GAME1が行われ、アルバルク東京は千葉ジェッツを迎えてホーム初戦を開催した。A東京は5シーズンを過ごしたアリーナ立川立飛に別れを告げ、リーグ全体の開幕を飾った国立代々木競技場第一体育館に帰還した。

 代々木第一は、世界的な建築家、丹下健三氏の設計の下、前回の東京オリンピック(1964年開催)の競技会場としてわずか38カ月で完成に至るという高度成長期の勢いを感じさせるエピソードも有名な建造物で、当時、世界でも例の少ない『吊り屋根方式』を用いて建設された。この体育館の魅力は、この手法が可能とした一体的な巨大空間だ。独特の吊り屋根と天井に並ぶ照明の美しさは他に類を見ない。再び『世界の名建築100選』に選ばれた第一体育館においてBリーグの試合を観戦できることも、Bリーグファンにとっては喜ばしいトピックの一つに違いない。代々木第一へ観戦に向かった際には、ぜひその巨大空間を見回したのちに、ゆっくりと吊り屋根と照明の美しさを堪能していただきたい。

 

 試合は千葉Jの富樫勇樹の鮮やかな3ポイントシュートを決めて幕開け。思わず場内にどよめく溜息。大勢の観客が詰めかけ、ファイナルさながらの雰囲気の中、スパっと決めて見せるあたりは流石である。

 しかしA東京はその後の試合のペースを完全に掌握。リバウンドで20本近くの差をつけて圧倒すると、新加入の外国籍司令塔ジャスティン・コブスが懐の深いボールキープで巧みに試合をコントロール。アレックス・カーク、セバスチャン・サイズの強烈なインサイドアタックでゴール下を制すると、注目の若手、小酒部泰暉も2本の3ポイントシュートを含む12得点を挙げて千葉Jを圧倒。A東京はファイナルスコア78−66で勝利をおさめ、クラブ主管1試合最多入場者数8919人樹立の記録に花を添えた。

新たなファンの開拓という重要な役割を担うA東京


 今シーズンから千葉Jの指揮をとるジョン・パトリックヘッドコーチは、日本バスケットボールリーグ時代の2005−2006年シーズンに、A東京の前身であるトヨタ自動車アルバルクを率いた経験もある日本バスケ界とは非常に縁の深い人物だ。パトリックHCは、試合後の会見において、16年前の日本バスケットボール界との違いを問われると「『チケットが取れないよ』というメッセージをたくさんの友人からもらったが、以前のリーグではそんなことはなかった」と笑顔を見せると、続けて「この16年で(日本のバスケットボール界は)一つのステップアップではなくて、いくつものステップを上がった感じがします」とその成長を称え、更なる発展に期待を寄せた。

 同じく会見に臨んだA東京のキャプテン田中大貴は「やっぱり、これだけのお客さんの前でプレーできるのは…。こんなにありがたいことはない。レギュラーシーズンの中の1試合かもしれないが、高まるものがあった。楽しかったです」と述べると「コート上で大声を出さないと周りの選手とコミュニケーションを取れないくらいの雰囲気でした」と掠れた声で語り、会見場の笑いを誘った。

 この試合で塗り替えられる前のクラブ主管試合の1試合最多入場者数記録は、2022年5月22日に沖縄アリーナで行われた2021−22シーズンのチャンピオンシップのセミファイナル、琉球ゴールデンキングス対島根スサノオマジック戦の8309名だった。A東京が代々木第一に本拠地を構えることで、今シーズンは何度となくこの記録が更新される可能性も高い。

 初めてBリーグを観るという新たなファンをどれだけ代々木第一に呼び込むことができるのか、A東京はリーグチャンピオンという目標以外にも、好立地を活かし新たなファンの開拓という重要な役割を担うことになる。都下の明治神宮、原宿前という交通利便性が非常に高い立地において、バスケットボールの試合が恒常的に開催されることは、新たなファン開拓という観点から、Bリーグにとっても大きなメリットとなるだろう。

 独特の吊り屋根と天井に並ぶ美しい照明の下、ファンを魅了するバスケットボールとスポーツエンターテインメントを展開し、「代々木第一でアルバルク東京の試合を見たのがきっかけでBリーグが好きになりました」と語る新たなバスケットボールファンが一人でも多く増えることに期待しよう。

取材・文=村上成

【動画】A東京が快勝した千葉J戦GAME1ハイライト