連載「人間・大谷翔平の肖像」第4回 シアトル拠点のカメラマン、ステフ・チャンバースさん 米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平…
連載「人間・大谷翔平の肖像」第4回 シアトル拠点のカメラマン、ステフ・チャンバースさん
米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手は、メジャー5年目のシーズンを終えた。今季も投打二刀流でMVP級の活躍。礼儀正しく、少年のようにプレーを楽しむ姿でも、日米の野球ファンのみならず、老若男女を魅了した。なぜ、この男はそれほどまでに愛されるのか。「THE ANSWER」の連載「人間・大谷翔平の肖像」はシーズン中、さまざまな立場から背番号17を語る記事を掲載。実力だけじゃない魅力を紐解き、大谷のようなトップアスリートを目指すジュニア世代の成長のヒントも探る。
第4回は写真や動画などを取り扱う世界最大級のデジタルコンテンツカンパニー「Getty Images(ゲッティイメージズ)」に所属し、米シアトルを拠点に活動する女性カメラマンのステフ・チャンバースさん。MLBでは普段マリナーズを中心に撮影しているが、同地区ライバル球団に所属する大谷を「放課後に野球をしている子どものよう」と表現。他の選手とは異なる魅力を教えてくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部・和田 秀太郎)
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チャンバースさんは2019年にペンシルベニア州地元紙「ピッツバーグ・ポスト・ガゼット」の一員として、米報道界で最高の名誉とされるピューリッツァー賞・ニュース速報部門を受賞した実績を持つ。昨年の東京五輪では来日して活動。今年8月にはイチロー氏の球団殿堂入り式典を撮影した。
「他の誰かの人生で最も特別な瞬間を撮影することが好き」というチャンバースさん。熟練の腕前をもつ彼女にとって、被写体・大谷は大きな魅力を持つようだ。
「初めてオオタニを撮影したとき、スーパーヒーローのような存在であることに感動したのを覚えています。背が高く、力強く、表情豊か。彼はいつもフィールドで最も個性的な選手です。それが、選手としても人としても、誰もが彼に惹かれる理由なのだと思います」
マリナーズ戦でシアトルに遠征してきた大谷にカメラを向け、シャッターを切って気付いた他の選手にはない魅力もある。
「オオタニが他の選手と違うところは、放課後に野球をしている子供のように、いつも楽しそうにしているところです。そういう意味では、好感が持てますね。彼は強い競争心を持った選手でありながら、いつも冗談を言ったり、変顔をしたりしています。この2つを合わせ持ち、かつ世代を超えて活躍できるアスリートはそうそういないでしょう」
魅せられたチャンバースさん、お気に入りの大谷の写真2枚は
撮影で心がけているのは、写真を見る人と、被写体になった選手の距離を近づけられるものを撮ること。「オオタニに限らず、人物を撮影するときには、その人の感情が写真から伝わってくるような瞬間を撮るようにしています。写真を見る人がその選手のことを知っている人のように感じてほしいです」。変わらず持ち続けている信条だ。
数多く撮ってきた大谷の写真で、最もお気に入りの2枚を教えてもらった。
1枚目は、ネクストバッターズサークルでの写真。エンゼルスのチームカラー・赤が全体的にぼやけている。その中で鋭い視線を送る横顔の大谷。チャンバースさんは「彼の決意を表現し、彼の競争心を象徴するような赤がクリエイティブに捉えられている1枚」と説明してくれた。
もう1枚はマリナーズの本拠地・T-モバイルパークのブルペンで投げ込む大谷を頭上から撮影した写真。表情は収められていないが、「スローシャッター」で撮られた写真は躍動感に溢れる。「スピードとエレガンスさを表現しているので、とても気に入っています。何もない背景と色彩が、この写真を際立たせています」と“自賛”できる作品のようだ。
スポーツ現場での撮影は、予想不能な出来事を逃さず、正確にとらえなければならない。それが仕事の醍醐味でもあり、「盛り上がりの瞬間を捉えたときは、特別なものになります」と強調する。
撮影した写真はインスタグラムにも数多く投稿している。まるでその場にいるような感覚になる写真ばかり。今季投稿したMLBの写真ははほとんどが地元マリナーズ選手の印象的な姿だが、唯一“ライバル”として2度もしたのが、MLBの歴史を作り続ける大谷だった。
「彼の人柄は、気品があり、明るく、決断力があり、感謝の気持ちを持っていることが伝わってきます」
偉大なる二刀流の魅力をこう表現したチャンバースさん。大谷の姿から滲み出る人間性は、シャッター越しにでも伝わっていた。(THE ANSWER編集部・和田 秀太郎 / Shutaro Wada)