男子7人制ラグビーの世界最高峰サーキット、ワールドラグビーセブンズシリーズで、ケニアが悲願の初優勝を遂げた。4月16、17日におこなわれたシンガポールセブンズ(今季第8ラウンド)で決勝に進み、総合ランキング首位のフィジーを30-7で下した…

 男子7人制ラグビーの世界最高峰サーキット、ワールドラグビーセブンズシリーズで、ケニアが悲願の初優勝を遂げた。4月16、17日におこなわれたシンガポールセブンズ(今季第8ラウンド)で決勝に進み、総合ランキング首位のフィジーを30-7で下した。

 1999年から始まったワールドセブンズシリーズの歴史で、優勝カップを獲得したのは、昨季のロンドン大会を制したアメリカに続き10か国目(ニュージーランド、フィジー、オーストラリア、南アフリカ、イングランド、アルゼンチン、フランス、サモアも含む)。

 ケニアは2009年のアデレード大会(オーストラリア)で初のカップファイナリストとなり、2013年のウェリントン大会(ニュージーランド)でも決勝に進んだが延長戦でイングランドに敗れていた。今回、3度目の頂上決戦に臨み、序盤から主導権を握って歓喜の瞬間を迎えた。

 ケニアはワールドカップ・セブンズで2回(2009、2013年)ベスト4入りしているアフリカの希望。ワールドシリーズで初優勝を遂げ、今年8月におこなわれるリオデジャネイロオリンピックの金メダル候補に名乗りを上げた。

 シンガポールセブンズは準決勝から劇的だった。
 フィジーはシーズン総合優勝を争う南アフリカと準決勝で対戦し、互いに世界最高峰のセブンズスキルでシンガポールの観衆を熱狂させた。
 7点を追う立場だったフィジーは残り1分で、激しいキックチェイスの末に同点につながるトライを奪った。そして、延長突入かと思われたが、リスタートのキックオフボールを確保して一気にゴールへ持ち込み、26-21で逆転勝ちした。

 ケニアはアルゼンチンと対戦し、15-12で、こちらもドラマチックな逆転勝利。
 後半5分過ぎにケニアが同点に追いつき、12-12で迎えたフルタイム直前、敵陣10メートルライン付近でペナルティを得ると、ショットを選択し、ケニアスポーツ界の英雄であるコリンズ・インジェラが長いペナルティ・ドロップゴールを決めて、カップ決勝進出となった。

 そして、フィジー対ケニアのファイナル。
 開始20秒、ケニアがブレイクダウンのターンオーバーから先制すると、4分にはスクラムから右へ展開し、コリンズ・インジェラがタックラー2人をひらりとかわして追加点。ワールドセブンズシリーズ通算2位の最多トライスコアラーであるインジェラは7分過ぎにも、ゴール前のPKからタップして自らタテへ突っ込み、パワフルに壁をぶち破ってグラウンディングした。
 接点でも激しくファイトしたケニアは敵陣でプレーし続け、前半終了前に4トライ目を挙げ、20-0で折り返す。
 フィジーは後半2分過ぎにようやく1トライを返したが、ケニアはディフェンスの集中力も高く、流れを変えさせなかった。そして7分、21歳の新たなスピードスターであるネルソン・オユーが自陣深くから飛ぶように左サイドを駆け抜け、チームは終盤にもトライを追加し、大きな歴史をつくった。

 男子の今季ワールドセブンズシリーズは残り2ラウンド。次は5月13~15日にパリ(フランス)でおこなわれる。

<ワールドセブンズシリーズ 2015-16 第8戦 シンガポール大会>

▽カップ準々決勝
・フィジー 19-14 オーストラリア
・南アフリカ 12-7 ニュージーランド
・アルゼンチン 12-7 サモア
・ケニア 28-7 フランス

▽カップ準決勝
・フィジー 26-21 南アフリカ
・ケニア 15-12 アルゼンチン

▼カップ決勝(優勝決定戦)
・ケニア 30-7 フィジー

▼3・4位決定戦
・南アフリカ 28-0 アルゼンチン

▽プレート準決勝(5~8位)
・ニュージーランド 31-7 オーストラリア
・サモア 21-7 フランス

▼プレート決勝(5・6位決定戦)
・サモア 26-21 ニュージーランド

▽ボウル準々決勝(9~16位)
・イングランド 26-17 ウェールズ
・スコットランド 26-19 カナダ
・ポルトガル 14-7 日本
・アメリカ 24-5 ロシア

▽ボウル準決勝
・スコットランド 19-14 イングランド
・アメリカ 26-0 ポルトガル

▼ボウル決勝(9・10位決定戦)
・スコットランド 14-10 アメリカ

▽シールド準決勝(13~16位)
・ウェールズ 24-22 カナダ
・ロシア 17-15 日本

▼シールド決勝(13・14位決定戦)
・ロシア 24-7 ウェールズ