いよいよ10月8日からクライマックス・シリーズ(CS)が始まる。パ・リーグは、昨年に続きオリックスがペナントを制したが…

 いよいよ10月8日からクライマックス・シリーズ(CS)が始まる。パ・リーグは、昨年に続きオリックスがペナントを制したが、最終戦で優勝が決まるという大混戦のシーズンだった。それだけにCSでは下位チームが勝ち上がる可能性は大いにある。そこでパ・リーグ出身の解説者3人にCSの行方を占ってもらった。



攻守でソフトバンクを引っ張るリーダーの柳田悠岐

攝津正氏(元ソフトバンク)

── 10月8日からCSファーストステージが始まります。パ・リーグはシーズン2位のソフトバンクと3位の西武が戦います。ファーストステージの注目ポイントはどこになりますか。

「CSファーストステージは超短期決戦ですので、やっぱり初戦ですよね。1戦目をとったチームが断然有利になりますので、両チームとも絶対に勝ちたい。おそらくソフトバンクは千賀滉大、西武は高橋光成が先発すると思うのですが、彼らのデキがファーストステージの行方を決めると言っても過言ではありません。言い換えれば、この両投手をどう攻略するか、そこがカギになるでしょうね」

── 打線でキーマンになるのはどの選手ですか?

「ソフトバンクは柳田悠岐でしょうね。敗れはしましたが、シーズンラスト2試合はさすがのバッティングを見せてくれました。逆方向にも大きい打球を飛ばしていましたし、状態はいいと思います。デスパイネ、中村晃の調子も上向いていますので、ここがうまくつながれば得点力は上がります。いかに彼らの前にランナーをためることができるかが重要になるでしょうね」

── 西武打線はどうですか?

「中心は間違いなく山川穂高ですが、私は前を打つ森友哉がカギになると思っています。今シーズンは本来の結果を残せませんでしたが、2019年には首位打者を獲ったほどの選手です。山川ばかりに気をとられていると、痛い目にあうかもしれません」

── ソフトバンクはレギュラーシーズンでマジック1としながら連敗して優勝を逃してしまいましたが、その影響はありそうですか。

「時間も経ちましたし、そこについては大丈夫だと思います。ただ今シーズンのソフトバンクを支えてきたリリーフ陣に少し疲れがあるのかなと......。シーズンが終わってからどこまで回復しているのか、そっちのほうが心配です」

── ズバリ、CSファーストステージはどっちが勝ち抜くと思いますか。

「先程も言ったように、第1戦をとったチームがファイナルステージに進むと思っています。ソフトバンクは本拠地で試合ができることに加え、中軸の状態が上がっている。一方の西武ですが、エースの高橋は12勝中9勝がベルーナドームで挙げたもの。この数字を見ると、ビジターは苦手にしているのかなと......。ですので、シーズンの順位どおりソフトバンクが勝ち抜くのかなと思います」

── CSファイナルステージは、パ・リーグ連覇を果たしたオリックスが相手になります。

「オリックスは絶対エースの山本由伸がいますからね。終盤戦のピッチングを見ていても、簡単にやられる姿をイメージできません。いつもどおりのピッチングをすれば、かなりの確率で勝つんじゃないかと。オリックスとしては山本で1勝できれば、アドバンテージもありますし、断然有利になるでしょうね」

── ソフトバンクは山本投手をどう攻略すればいいでしょうか。

「連打は期待できないですし、普通に攻撃していても得点は難しい。積極的に仕掛けていかないと、なかなか突破口は見出せないでしょうね。周東佑京あたりが塁に出て、どんどん走っていくしかないのかなと。それができればストレート系のボールが増えるでしょうし、バッターも絞りやすくなる。とにかくどこまでプレッシャーを与える続けることができるかだと思います」

── オリックスの不安要素をあえて挙げるとすれば?

「第1戦を山本で落として、主砲の吉田正尚がブレーキになる......。確率としては低いですが、オリックスが苦戦するとすればこのパターンかなと。それでも選手個々が自分のやるべきことをわかっていますし、去年の経験というのも自信になっている。派手さはありませんが、隙もない。いずれにしても、ファイナルステージ第1戦を山本で取ることができれば、オリックスが日本シリーズに進むと思います」



本塁打、打点の二冠に輝いた西武・山川穂高

建山義紀氏(元日本ハムなど)

── CSファーストステージの見どころはどこになりますか。

「西武に関しては、山川穂高次第かなと思っています。彼が打つとチームの勢いのつき方が変わりますし、得点力も上がる。実際、9月になって山川の調子が上がらない時にチームも勝てなくなった。それくらい、山川への依存度が高い。当然、ソフトバンクもそこは理解しているでしょうし、しっかり対策してくるでしょう。ソフトバンク投手陣と山川の対決は注目ですね」

── 西武投手陣がソフトバンク打線に気をつけるところは?

「ソフトバンクは9月に入って、中村晃、今宮健太、柳田悠岐のベテラン勢の活躍が目立ちました。彼らは何度も短期決戦を経験していますし、やるべきことをわかっているのが最大の強みです。そのベテラン勢に対して、キャッチャーの森友哉が彼らの狙い球をどこまで外すことができるのか。もちろん100%外すのは無理だと思うのですが、大事な局面を迎えた時にどう攻めるのかが重要になります」

── ソフトバンクは優勝まであと一歩のところまでいきながら、最後に逃してしまいました。その影響はあると思いますか。

「優勝を逃したことよりも、ソフトバンクの気になるところは、シーズン終盤になってリリーフ陣が打たれるシーンが多くなってきたことです。しかも直接負けにつながるような打たれ方をしていた。ベンチはこの投手たちをシーズン同様使っていくのか。そのあたりの調子の見極めというのはものすごく大事になってきます」

── リリーフのデキが勝敗を左右すると?

「千賀もひとりで投げきることができれば最高ですが、短期決戦はシーズンと同じような大胆な攻めはしづらくなる。そうなると自ずと球数は増えますし、完投は難しくなる。やはりリリーフ勝負になるのかなと思いますね」

── CSファーストステージはどちらが勝つと思いますか?

「ソフトバンクがやや上かなと思っていますが、本当に難しい戦いになるでしょう。初戦で山川が打って勝つことになれば、西武が優位に立つでしょうし、逆に抑え込まれるとソフトバンクがファイナルに進出するでしょう。いずれにしても初戦がすべてだと思います」

── ファーストステージを勝ち上がったチームがファイナルでオリックスと対戦します。

「オリックスはシーズン終了からCSファイナルまで期間が空きましたが、ペナントレースの流れというのはあると思います。山本由伸に関しては怒涛の勢いでチームを勝たせましたし、吉田正尚もいい働きで逆転優勝に貢献した。期間が空いたとはいえ、オリックスはスムーズに入っていけるでしょう」

── オリックスの不安要素があるとすれば?

「唯一挙げるとすれば、シーズン終盤を支えたリリーフ陣は若く、経験が浅いのでCSというプレッシャーのかかる場面でシーズンと同じような働きができるのかどうか。とはいえ、シーズン終盤もしびれるような場面で投げていましたから、そこまで心配する必要はないかもしれないですね」

── オリックスが日本シリーズに進む確率はどれくらいあると思いますか?

「大きな不安要素がないのがオリックスの強みです。勝負事なので何が起こるかわかりませんが、70%はあると思います。ここに今シーズン苦しんだ杉本裕太郎が完全復活したりすれば、一気に決まる可能性もあるのではないでしょうか」



オリックスの絶対エース・山本由伸

野田浩司氏(元オリックスなど)

── いよいよCSが始まります。ファーストステージはソフトバンクと西武で、勝ち上がったチームがオリックスと戦います。今年のCSの見どころはどこになりますか。

「個人的には、土壇場で優勝を逃したソフトバンクがどのような戦いを見せてくれるのか注目しています。シーズンの悔しさを晴らしてやろうと、いい意味で開き直れば力以上のものを発揮するかもしれない。リーグ優勝は逃しましたが、日本一のチャンスはあるわけですから」

── CSに出場する3チームのそれぞれのキーマンは誰になりますか。

「まず西武は山川穂高です。今年の西武打線に関しては、山川以外、突出した成績を残している選手はいません。山川頼みの部分が大きかった。当然、マークは厳しくなると思いますが、そのなかでどういうバッティングを見せてくれるのか」

── ソフトバンクはどうでしょう?

「柳田悠岐ですね。ソフトバンクの場合は、柳田以外にも打てる選手がいますが、やはり彼が打つとチームが乗ってきますし、相手のダメージも大きくなる。シーズン終盤はいい感じで打てていたので、その状態をどこまで維持しているか注目です」

── オリックスは誰でしょうか?

「おそらくCSファイナル第1戦を投げる山本由伸です。もはや日本のエースなのですが、京セラドームでの防御率は0.95ととんでもない数字を残しています。山本が打たれる姿というのは想像しにくいですね。それだけに打たれた時のショックは大きいですし、チームに少なからず動揺が出るかもしれませんが、いつもどおりのピッチングをしてくれれば勝つ可能性は高いと思います」

── 日本シリーズに進出するのはどのチームだと予想しますか。

「シーズンではオリックスとソフトバンクは同率だったように、チーム力の差はほとんどないと思っています。ただ、オリックスが大逆転で優勝したことで、CSはファイナルからの登場になった。日程的にも十分に疲れをとることができますし、CSファイナルの第1戦を山本でいける。もしソフトバンクが優勝していたら、オリックスはかなり厳しかったと思います。それくらいこの差は大きい。今年のCSについては、オリックスが有利なような気がします」