フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の大会5日目、女子シングルス2回戦。 第12シードのマディソン・キーズ(アメリカ)が手術によって治したはずの左手首に異変を感じ始めたのは、第1セットも終…

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の大会5日目、女子シングルス2回戦。

 第12シードのマディソン・キーズ(アメリカ)が手術によって治したはずの左手首に異変を感じ始めたのは、第1セットも終盤に入ったときだった。それが、彼女がこの大会で勝ち取る最後のセットとなった。

「試合が進むにつれ、どんどん悪くなっていった。言うまでもなく、何とか第2セットを切り抜けられるよう願っていたのだけれど」と、キーズは言った。「でも第3セットに入ったときには痛みが強くなっていた」。

 世界ランキング290位の予選勝者に相対していながら、痛む手首の問題を克服することができず、こうしてキーズはペトラ・マルティッチ(クロアチア)に6-3 3-6 1-6で敗れたのである。

 キーズはマルティッチより31本も多い、51本のアンフォーストエラーをおかした。彼女は最初、自分が困難に置かれていることを対戦相手に気づかれないようにするため、メディカル・タイムアウトをとるのを避けようとしていたが、最終的に第2セットのあと、トレーナーを呼ばざるを得なくなった。

 キーズは右利きだが、両手打ちバックハンドを打つために左腕を使う。彼女はオフシーズンの間に手術を受けていた。

 コートサイドでトレーナーが彼女の手首を診察している間、キーズの頬を涙がつたった。彼女は試合の残りでわずか1ゲームしか取ることができず、ウィナー5本に対し、アンフォーストエラーは14本に及んだ。

「私は、ややパニックに陥り始めていた。そして言うまでもなく、それは試合の真っ最中に感じたいものではなかった」とキーズは言った。「対処するのが容易なことではなかったわ」。

 2015年全豪オープンと2016年リオ五輪の準決勝進出者であるキーズは、この故障の手術から回復するため、今年の最初の2ヵ月を棒に振っていた。

 また復帰後の彼女は、なかなか調子を戻すことができず。全仏オープン前には4連敗し、今季クレーで1勝もあげることができないまま、ロラン・ギャロス(全仏)に到着した。

「明日、医者に診てもらうわ」と、キーズは手首について言った。「何が起こっているのか、医師たちが解明してくれるよう祈っている」。

 イリノイ州で生まれた22歳のキーズは、現在フロリダを拠点としている。彼女は、手首には構造的に悪いところは何もない、と繰り返し医師に言われ続けてきたのだと言った。

 ところがここにきて、いくつかまだ傷を残す細胞組織があり、そのために、彼女が振り遅れたり、奇妙なバウンドのボールを無理して打ったりした際に、ときどき手首に痛みや違和感を覚えるという問題が持ち上がった。

 それが、対マルティッチ戦でも起きたのだ。ハードヒッターのマルティッチは、パリで2回戦に進んだ者の中でもっともランキング低い選手だった。

「私の身体のたった1ヵ所以外のすべてが、とてもいい感じだというのは、すごく歯がゆいことだわ」とキーズは言った。「本当に、本当に歯がゆい。フラストレーションを感じるわ」。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「全仏オープン」2回戦で、予選勝者のペトラ・マルティッチ(クロアチア)に敗れた第12シードのマディソン・キーズ(アメリカ)(撮影◎毛受亮介/テニスマガジン)