59歳・倪夏蓮はルクセンブルクを牽引 中国・成都で開催中の世界卓球は男女ともにグループリーグ(GL)が終了。日本は男女ともに無敗で決勝トーナメント進出を決めた。熱戦が繰り広げられている大会で、活躍が目立ったのがルクセンブルク女子の59歳・倪…

59歳・倪夏蓮はルクセンブルクを牽引

 中国・成都で開催中の世界卓球は男女ともにグループリーグ(GL)が終了。日本は男女ともに無敗で決勝トーナメント進出を決めた。熱戦が繰り広げられている大会で、活躍が目立ったのがルクセンブルク女子の59歳・倪夏蓮(ニー・シャーリエン)。世界ランク4位の韓国相手に2勝をマークするなどチームを牽引。同24位でグループ4番手のチームをGL突破に導いた。中国メディアはインタビュー記事を掲載。その魅力を伝えている。

 昨年の東京五輪にも出場したベテランの倪。元中国代表の実力者は、ここまで韓国戦で30歳以上年下の相手に2勝を挙げるなどGLは個人6戦5勝と大活躍。ルクセンブルクの決勝トーナメント進出に大きく貢献した。

 中国メディア「新民晩報」は、倪へのインタビュー記事を掲載した。その中で、イランチームから親しみを込めて「夏蓮おばさん」と呼ばれ、「待ってください。いっしょに写真をとってください」と頼まれていたことも紹介。「あなたは世界の卓球選手の憧れです。みんな、大好きです」との言葉もかけられていたことを伝えている。

 倪へのサインの求めが多かったため、同メディアの記者は試合後1時間以上も待って倪に取材した模様。「どうしてそんなに卓球が好きで、なぜまだ第一線で奮戦しているのか」と尋ねるといくつか理由が帰ってきたという。

 まず1つが「たくさんの人を喜ばせることができるから」。韓国戦で20代の選手2人を破った後はSNS上でも大きな話題となったこともあり、「私は試合を通してたくさんの人を喜ばせることができる。喜んでもらうことで、私は満たされる」と語ったという。

「引退できない」理由は後輩たち「もう少し力になりたい」

 また「後輩たちと力をあわせて勝ちも負けも楽しみたいから」との理由も挙げられている。娘だと思っているというチームメートに10年前「お母さんはもう歳だから、あなたたちが第一線に出なさい。いつまでもお母さんの後ろに隠れていてはダメ」と話したそうだが、力量がまだまだで焦っているとのこと。「だから引退することはできないんです。もう少しみんなの力になりたい」と話している。

 記事では「年齢とともにあちこちに年齢の痕跡があらわれ、最初の試合の前には時差にとまどい、韓国チームを破った後には一晩中眠れなくなった」と59歳の身体の変化を紹介。しかし、敗れても平常心で居られることが強みでもあると伝えられた倪はこうも語ったという。

「勝ちたいけれど、負けは恐れない。いつも言うのです。負けることも学ぶべきだと。負けることも知らなければならない。それこそスポーツの魅力です。スポーツをやっていると、ほとんどいつも辛い。人にとっては試練です。でも、だからこそ勝ったときにはうれしい」

 会場には倪へ向けられたハートマークの応援、スマートホンの翻訳ツールを使って会話を試みるファンもいるという。倪は「卓球でここまで来ることができて、とても、とても幸せです」と感動した様子で話したと記されている。(THE ANSWER編集部)