松本は優勝がかかった鷹相手に7回92球5安打無失点と好投した■西武 3ー1 ソフトバンク(1日・ベルーナドーム) パ・リ…

松本は優勝がかかった鷹相手に7回92球5安打無失点と好投した

■西武 3ー1 ソフトバンク(1日・ベルーナドーム)

 パ・リーグ3位が確定している西武がクライマックスシリーズ(CS)に向けて自信を深めている。短期決戦を勝ち抜くには、先発投手の充実が近道。西武は松本航投手が1日、勝つか引き分けで優勝決定だったソフトバンクを相手に本拠地ベルーナドームで7回無失点の快投を演じた。高橋光成投手、今井達也投手に続いての好投だった。

 スピードガン表示で見る限り、松本のストレートは140キロ台中盤がほとんどだが、この日は相手先発で160キロ近い球速を誇る千賀に負けず劣らず、打者を押し込んでいた。両チーム無得点の4回に1死一、二塁のピンチを背負うも、デスパイネをカウント0-2から145キロの真っ直ぐで空振り三振に仕留めた。

 続く中村晃にはファウルで粘られながら、カウント3-2から147キロで一飛に打ち取った。味方打線が栗山巧外野手の適時打で先制点をもぎ取った直後の5回2死二塁で周東を空振り三振させたのも、外角高めのボール気味の148キロ速球だった。

「絶対に負けたくなかった。今シーズンのベストピッチだったと思います」と笑みを浮かべた松本。7回92球で5安打無失点。8回からは最優秀中継ぎ投手のタイトルがかかっている水上由伸投手、平良海馬投手に登板機会を与えるため降板したが、まだまだ余力もあった。

辻監督「何か少しずつ、つかみつつあると思う」

 これまでは、慎重になり過ぎて制球を乱し、辻発彦監督から「もっと自分のストレートに自信を持って、大胆に投げればいいのに」と苦言を呈されることが多かった。指揮官はこの日の松本を「あいつの長所はスピンが効いてスピードガン表示以上に感じさせる真っ直ぐです。一生懸命投げたら、そう感じないのですよ。今日のようにある程度リラックスしたフォームで、パチッと腕を振れて指にかかった時に、素晴らしい球が行く。何かそういう部分で少しずつ、つかみつつあると思う」と称賛した。

 9回に守護神の増田達至投手が柳田に同点ソロを浴び、松本の今季7勝目は消えたが、延長11回に山川穂高内野手がサヨナラ2ランを放ち、胴上げ阻止に成功。CSへ向けてもソフトバンクに嫌なイメージを植え付けた。

 開幕前から先発3本柱として期待されていた高橋、今井、松本が揃って調子を上げ、さらに今季10勝(1日現在)のディートリック・エンス投手、與座海人投手も控える。ファイナルステージも含めて先発ローテを組むことが可能で、ロースコアの展開になりがちな短期決戦で強みを発揮しそうだ。

 辻監督就任後、2018、19年にリーグ連覇を果たしながら、いずれもCSで苦杯をなめ、日本シリーズに進めなかった。指揮官は「3位でCSに行ったことがないから、どうなるかわかりませんが、負けてもともと、気楽に、そして勝ちにいきます」と笑った。挑戦者の立場となった獅子は、実に不気味だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)