楽天の則本昂大投手が1日の本拠地巨人戦で7試合連続2桁奪三振のプロ野球新記録を打ち立てた。8回に坂本からこの日10個目の三振を奪い、2桁奪三振に到達。野茂英雄氏が近鉄時代の1991年に記録していた6試合連続を超えた。■特筆すべき則本の勝ち星…

楽天の則本昂大投手が1日の本拠地巨人戦で7試合連続2桁奪三振のプロ野球新記録を打ち立てた。8回に坂本からこの日10個目の三振を奪い、2桁奪三振に到達。野茂英雄氏が近鉄時代の1991年に記録していた6試合連続を超えた。

■特筆すべき則本の勝ち星の多さ、依然として“アンタッチャブル”な野茂

 楽天の則本投手(楽天)が6月1日の巨人戦に登板し、2回までにわずか1三振とスロースタートとなったが、3回と8回に圧巻の3者連続三振。8回、12奪三振、2失点で7試合連続2桁奪三振のプロ野球記録を打ち立てた。

 ここでは歴史に名を刻んだ則本と、それに匹敵するくらいの記録を達成した投手たちの連続試合2桁奪三振期間中の試合別詳細を振り返る。

※○は勝利投手、●は敗戦投手、―は勝敗つかず

【7試合】
則本昂大(楽天)2017年
4月19日埼玉西武戦(メットライフドーム)―8回10奪三振
4月26日千葉ロッテ戦(Koboパーク宮城)○7回10奪三振
5月3日オリックス戦(Koboパーク宮城)○8.0回12奪三振
5月10日千葉ロッテ戦(Koboパーク宮城)○9回(完封)12奪三振
5月17日北海道日本ハム戦(盛岡)○7回12奪三振
5月25日オリックス戦(ほっと神戸)○8回10奪三振
6月1日巨人戦(koboパーク宮城)○8回12奪三振

【6試合】
野茂英雄(近鉄)1991年
4月7日日本ハム戦(東京ドーム)●9回(完投)11奪三振
4月14日ロッテ戦(川崎)●8回(完投)10奪三振
4月20日西武戦(藤井寺)○9回(完投)10奪三振
4月27日オリックス戦(藤井寺)○9回(完投)10奪三振
5月4日西武戦(西武)●6回10奪三振
5月9日日本ハム戦(静岡)●8回(完投)10奪三振

【5試合】
野茂英雄(近鉄)1990年
7月30日日本ハム戦(藤井寺)○9回(完投)10奪三振
8月5日西武戦(西武)●8回(完投)10奪三振
8月11日ロッテ戦(藤井寺)○9回(完投)12奪三振
8月18日日本ハム戦(盛岡)●8回(完投)10奪三振
8月24日オリックス戦(神戸)○9回(完投)10奪三振

野茂英雄(近鉄)1993年
6月12日オリックス戦(長岡)○8回11奪三振
6月18日日本ハム戦(藤井寺)○9回(完封) 11奪三振
6月25日福岡ダイエー戦(福岡ドーム)●8回(完投)10奪三振
7月1日西武戦(西武)●8回(完投)10奪三振
7月7日福岡ダイエー戦(藤井寺)○9回(完投)13奪三振

杉内俊哉(福岡ソフトバンク)2009年
8月23日北海道日本ハム戦(ヤフードーム)○9回(完投)15奪三振
8月30日北海道日本ハム戦(札幌ドーム)○7回10奪三振
9月6日埼玉西武戦(ヤフードーム)○8回11奪三振
9月13日楽天戦(ヤフードーム)○9回(完投)11奪三振
9月20日埼玉西武戦(西武ドーム)●6.2回10奪三振

ダルビッシュ有(北海道日本ハム)2010年
3月20日福岡ソフトバンク戦(札幌ドーム)●9回(完投)13奪三振
3月27日千葉ロッテ戦(千葉マリン)―6回11奪三振
4月3日埼玉西武戦(札幌ドーム)○8回11奪三振
4月10日福岡ソフトバンク戦(ヤフードーム)○8回12奪三振
4月17日埼玉西武戦(西武ドーム)○7回10奪三振

能見篤史(阪神)2014年
5月16日横浜DeNA戦(甲子園)●8回11奪三振
5月24日福岡ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)○6回13奪三振
5月31日北海道日本ハム戦(札幌ドーム)―8回10奪三振
6月6日オリックス戦(甲子園)―7.1回10奪三振
6月14日埼玉西武戦(西武ドーム)●6回10奪三振

【次ページ】奪三振にまつわる様々記録を掘り起こす則本の凄さ

■奪三振にまつわる様々記録を掘り起こす則本の凄さ

 記録継続中の投球内容で特筆すべきは、則本の勝ち星の多さだ。奪三振の多さが必ずしも勝ちに結び付くとは限らないが、則本はその登板のほとんどでチームを勝利に導いている。

 先発投手と救援投手の分業制が進んだ現在。則本は1990年代前半に活躍した野茂より投球回で見劣りするが、その分、奪三振の割合も高くなっているのが特徴だ。ただし、野茂が6試合連続2桁奪三振を記録した1991年のパ・リーグの打者全体の三振率は14.9%で、今季の18.0%とは違いがあった。今よりも三振が多くなかった時代に記録を作ったのだから、やはり野茂の奪三振能力はずば抜けていたと言える。

 奪三振が代名詞だった野茂は新人だった1990年に27試合に先発し、そのうちの21試合で2桁奪三振(プロ野球記録)を達成した。恐ろしい割合ではあるが、現在の則本のペースであれば追い付き、追い越すことも夢ではない。

 上記の投手の通算2桁奪三振試合数は、野茂が通算134先発で達成した70試合が最多となっている。NPB在籍わずか5年でのこの記録はアンタッチャブルの領域だが、同じく今季が5年目となる則本は117先発中28試合とあって、キャリアを積み重ねれば杉内の60試合(309先発)やダルビッシュの52試合(164試合)も視界に入ってきそうだ。奪三振にまつわる様々な記録を掘り起こす則本は、これらの記録にどこまで迫ることができるか。今後の投球にも注目していきたい。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」藤原彬●文