現在豪州U-18代表コーチを務める元阪神オクスプリング氏が日本時代を回顧 わずか1年で退団も、日本への感謝は忘れなかった…

現在豪州U-18代表コーチを務める元阪神オクスプリング氏が日本時代を回顧

 わずか1年で退団も、日本への感謝は忘れなかった。2006年に阪神に在籍し、現在は母国・オーストラリアのU-18代表コーチを務めるクリス・オクスプリング氏。今月、米フロリダで開催された「第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」にも参加した。助っ人右腕としてはNPBで目立った成績を残せなかったが、16年前の記憶は今でも覚えている。日本代表に勝って銀メダルを獲得した2004年のアテネ五輪の思い出も振り返った。

 多くのファンの胸に刻まれているのは、日本と死闘を繰り広げたアテネ五輪の準決勝。オーストラリア代表のエースだったオクスプリング氏は、6回2/3を投げ5安打無失点5奪三振の好投を見せた。後に阪神で同僚となるジェフ・ウィリアムス投手に繋ぎ、完封リレー。初の“オールプロ”で挑んだ日本代表を1-0で下した。

 オーストラリアにとっては初のメダル獲得で「日本代表と対戦できたことは、今までの人生の中で一番の体験。プレッシャーを感じたが、対戦できたことは生涯忘れることのできない」と感慨深げに振り返る。

 五輪での好投後、翌2005年にはパドレスでメジャー初昇格。2006年に阪神に移籍し、開幕ローテを勝ち取るも、16試合登板で4勝3敗。防御率5.12と結果が残せず、1年で退団した。それでも、阪神での経験は「本当に楽しかった」と誇りに思っている。

矢野、金本、赤星らの名前を挙げ「とてもプロフェッショナル」

「素晴らしい体験だった。選手、コーチは素晴らしかった。甲子園では球場そのものやファンを含め、たくさんの楽しい思い出がある」

 印象深い選手は「たくさんいますよ」。中でも、最初に挙げたのは、矢野燿大・現阪神監督。「ヤノを凄く尊敬していた」と語り、現在監督を務めていることを伝えると「本当か!」と驚きの声を上げた。他にも金本知憲氏、赤星憲広氏、鳥谷敬氏、今岡誠(真訪)氏らの名前を挙げ「とてもプロフェッショナルだった。全員素晴らしいチームメートだった」と尊敬のまなざしだった。

 引退後、2019年に世界野球プレミア12の代表コーチなどを歴任。今回のU-18W杯では、オープニング(予選)ラウンドで日本とも対戦した。結果は0-10のコールド負けだったが、若き選手たちの指導に情熱を注いだ。母国の野球発展のために、日本での経験は糧になっている。(川村虎大 / Kodai Kawamura)