2019年大会より(写真/石塚康隆)    いよいよ「NBA JAPAN GAMES 2022」が目前に迫っている。八村塁擁するワシントン・ウィザーズを2019年より公式特派員として追いかけ続けるザック生馬さんに、ジャパンゲーム…

2019年大会より(写真/石塚康隆)

 

 いよいよ「NBA JAPAN GAMES 2022」が目前に迫っている。八村塁擁するワシントン・ウィザーズを2019年より公式特派員として追いかけ続けるザック生馬さんに、ジャパンゲームズの裏事情や、ウィザーズの日本語版公式SNSの運営についてなどの話を聞いた(取材は8月31日)。インタビューの第2弾は、NBAジャパンゲームズの開催に関する裏話を紹介する!

 

インタビュー第1弾はこちら

 

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

 

ーーインタビュー第1弾では、日本語版公式SNSの運用についてなどのお話を伺いました。ここからは現時点でのチームの動きについてお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか?

 

 はい。実はチームとしてはまだ動いていなくて、本当に動き出すのはトレーニングキャンプ開始の日です。今の時点では今年のキャンプ開始日がいつなのかは知らされていないのですが、去年を例に挙げると9月の最終週にメディアデーがあって、その翌日からキャンプインでした。多くの選手たちはその3週間くらい前から現地入りして自主練習をしていることが多いですね。もちろん、すでにワシントンD.C.入りしている選手もいます。

 ただ、キャンプまでの期間は選手組合の協定もあり、ヘッドコーチが選手に指示を出したり、戦術面のコーチングをしてはいけないんです。だから選手たちはアシスタントコーチなどと自主練習をしていることが多いですね。選手によってワシントンD.C.に残っている選手もいれば他の場所でやっている選手もいます。新加入のタージ・ギブソン選手はロサンゼルスでミニキャンプやりたいと言っていましたし、ポルジンギス選手はラトビア代表で、デニ・アブディヤ選手はイスラエル代表でプレーしています。八村選手もLAでトレーナーのオリン・シンプリスさんの下でトレーニングを続けているようです。

 

ーーとなると、本当にチームが活動を開始してすぐにジャパンゲームズを迎えることになるのですか?

 

 そうなんです。ジャパンゲームズはぶっつけ本番みたいな感じになると思いますね。試合が9月30日(金)と10月2日(日)にありますが、チームが来日するのは9月28日(水)の予定です。来日してたった2日で試合をして、2試合目が終わったらさいたまスーパーアリーナから直接空港に向かい、アメリカに帰国。だから10月2日のうちには日本を発って、(時差の関係もあり)10月2日中にアメリカに到着するという日程で、滞在はたったの4泊5日なんですよ。

 

ーーまさに超弾丸スケジュールですね(驚)

 

 そうなんです。ウィザーズにとっては2018-19シーズンにロンドンに行ったとき以来のグローバルゲームで、アジアに来るのはブレッツ時代の1979年以来だと思います。レオンシス会長も今回の来日は「チームにとって本当に光栄なことで、絶対に逃がせないチャンス」と言っていました。ただ、同時にレギュラーシーズン以降の戦いが一番大事なことなので、ジャパンゲームズをいかに効率よく、体調を崩さず、ケガなく戦って、その後のキャンプと残りのプレシーズンに臨むかは難しいチャレンジだと思いますね。

 しかもウィザーズのプレシーズンゲームは日本開催の2試合を除くとあと2試合だけで、ワシントンD.C.でのホーム開催はありません。だからバタバタした状態でレギュラーシーズン本番に向けた調整をしていくことになるので、そういう面でも今年はチャレンジになります。また、西海岸から来日するウォリアーズに比べて時差も移動時間も長いので、その中でどうやってビッグショーを見せつつ、シーズンに向けて調整していくかも気になる部分ですね。

 

ーー日本語版アカウントでは、どんなコンテンツを出していく予定ですか?

 

 実は僕らもイベントの全てに立ち会えるかが、まだ分からない状況なんです。WNBAからワシントン・ミスティックスの選手も何人か来日予定という話も聞きましたが、現時点で確定しているのはJr.ウィザーズというキッズ向けのキャンプのコーチ陣として、トップチームのコーチと何人かの球団OBが来るということ。具体的にはジョージ・ミュアサンさんが来る予定のようです。

 これがプレーシーズンではなくオフシーズンのイベントでチームや選手が来日するのであれば、じっくりと時間が取れるのですが、今回はプレーシーズン2試合のためだけに来るイメージなので、選手は試合と練習以外に参加する時間が取れないと思うんです。ただ、僕らとしてはJr.ウィザーズのキャンプは一つのコンテンツにしていきたいですね。

 また、ウィザーズはアメリカの首都を本拠地にしているので、大使館も多くて日本の在米大使の方にコメントをいただくこともあります。なので、今回は逆に日本にあるアメリカ大使館の在日大使の方にビデオメッセージをもらうとか、そういうことも話し合っていますね。

 

ーー球団として、ウィザーズでは試合以外の取り組みなどはあるのでしょうか?

 

 ジャパンゲームズの中日に当たる10月1日にスポンサー契約を発表したリクルート社とスポーツビジネスセミナーを開く予定です。これはオンラインでも参加可能なもので、リクルート本社でテッド・レオンシス会長とビジネス部門からジム・バン・ストーンさんが登壇します。それは貴重な機会なのかなと思います。

 ウィザーズやウォリアーズの日本語アカウントもそうですし、日本でもBリーグの各クラブがたくさんのコンテンツを作っていますよね。それに携わりたいと思っている人はたくさんいると思うので、球団側がそこにかける予算をもっと上げてくれれば人を雇えますし、より良いものを作れるはずです。見てくれる人はたくさんいてニーズもあるので、こういったセミナーを通じてスポーツビジネスあるいはスポーツコンテンツ作りがもっと広まればいいかなと思っています。そういうことについて、ウィザーズのトップが話してくれのはすごく貴重な機会だと思いますね。

 

ーー注目してもらいたい選手は誰ですか?

 

 注目は何といっても八村塁選手。日本でウィザーズのユニフォームを着て戦う姿を見るのが、ファンにみなさんが一番楽しみにされていることではないかと思います。特に注目してほしいのが八村選手の3Pシュート。昨季は3P成功率を44.7%まで上げて、すごく効率良い新たな武器になりました。ダンクや派手なプレーはもちろん、3Pシュートにも注目です!

 それと、ベンチプレーヤーにも注目してほしいと思います。ロスターで14、15人目の選手だったとしてもNBAプレーヤーです。彼らがどれくらいすごい選手なのかを期待して見てほしいです。

 

ーー選手以外の部分ではどうでしょうか?

 

 そうですね。少しマニアックですが、両チームのヘッドコーチを見てほしいです。ヘッドコーチって中継ではサイドラインに立っている姿以外はあまり見られないので、せっかく生で見るならヘッドコーチがいつどんなテンションで、どういう指示を出しているかに注目してもらいたいです。

 ウィザーズのウェス・アンセルドJr.ヘッドコーチについては、インタビュー中は落ち着いた口調で話すジェントルマンなのですが、実はすごい声を出すんです。例えば「KP!KP!KP!」ってポルジンギス選手に「ロールしろ」って指示を出したり(笑)。チームによってカラーも違うのでウォリアーズのスティーブ・カーHCはどんな感じなのかも気になりますよね。そういうのは生でしか見られない部分だと思うので、ぜひ注目してみてほしいです!

 

●インタビュー第1弾はこちら