サッカーにおいて、監督に欠かせない素質とは何か。知識や戦術といった論理的なものはもちろんだが、選手の心を動かす力も必要…

 サッカーにおいて、監督に欠かせない素質とは何か。知識や戦術といった論理的なものはもちろんだが、選手の心を動かす力も必要だろう。バレンシアのジェンナーロ・ガットゥーゾ監督が、その力量の一端を見せている。

 選手時代、ミランではチャンピオンズリーグを2度制し、イタリア代表としてもワールドカップ優勝を経験した。だが、ガットゥーゾは高い技術や戦術眼といったものよりも、闘争心あふれるボール奪取といった面で評価された選手だった。その姿は、日本では「闘犬」などと紹介された。

 ミランで長くプレーしたが、最後はスイスのシオンでスパイクを脱いだ。そのシオンで選手兼監督として指導者の道へ入ったが、半年ももたずに解任の憂き目に遭っている。

 その後の歩みも、決して平たんな道を行くものではなかった。成績不振による解任、あるいはクラブとの衝突と、選手時代と変わらず、自分の本能を信じて熱く突き進んできた。これまでのところ、ナポリを率いて獲得したコッパ・イタリアが、指揮官として唯一のタイトルだ。

 だが、ほぼ途切れることなく指導者の道を進んできたことは、ガットゥーゾ自身の情熱と、彼の熱意に惹かれるクラブの存在を証明している。今シーズンからは、スペインのバレンシアに招かれている。

 今季のバレンシアは現在、リーグ戦6試合を終えて3勝3敗で9位につけている。悪くはない成績で、先週末もセルタに3-0で勝利している。

 それでも情熱的な指揮官は、満足などしてはならない、といった様子だ。ラ・リーガのツイッター公式アカウントは、その様子を逃さずとらえている。

■「我がメンター」

 試合後のピッチに、ガットゥーゾ監督が踏み入っていく。ともにDFであるティエリ・コレイアとガブリエウ・パウリスタに厳しい表情でにじり寄ると、身振り手振りを交えて、おそらく問題があったであろうプレーを指摘していく。よく見ればG・パウリスタのユニフォームは大きく破れており、彼らも必死に戦ったことがうかがえる。

 無失点で勝っているのだし、何も説教しなくても…。見ている人がそう思った瞬間、ガットゥーゾ監督はもうひとつの顔を出す。言うことは言ったとばかりに言葉を止めると、2人を頭を抱いて、胸に引き寄せたのだ。

 この動画は、ラ・リーガのスペイン語版、英語版、日本語版などで公開され、3万回以上再生されている。ラ・リーガのツイッター公式アカウントでは、「他にいない。カリスマ的」との言葉を添えて動画を投稿。同様の思いを込めた投稿が、ファンからもなされている。

「我がメンター」
「イタリアの方程式が機能している」
「どのチームが好きな人であろうと、この男を好きにならずにはいられない」

 熱い男のアメとムチ。バレンシアの今シーズンの戦いぶりが楽しみだ。

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