フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の大会4日目、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がグランドスラムのシーンに戻って来た。といっても、彼女は自分で試合をプレーするかわりに、全仏の観客席の陰に…

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の大会4日目、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がグランドスラムのシーンに戻って来た。といっても、彼女は自分で試合をプレーするかわりに、全仏の観客席の陰になったところで姉ビーナスがストレートセットで勝つところを観ながら、切ったフルーツをつまんでいただけだったが。

 妊娠6ヵ月で、今季の残りの期間、WTAツアーから休みをとっているセレナは、選手としてではなく観客としてグランドスラム大会に在席することについて、比較的無感動だった。

「気分は普通よ。何も感じてはいないわ」

 ロラン・ギャロス(全仏)の会場を離れる前にセレナはこう言った。「これはただ、私の生活の一部なのよ」

 スポーツに通じている者なら誰であれ、セレナがドローにいないとき、テニスの大会は同じではないということを知っている。彼女は注目を生み出し、並外れた数のトロフィを勝ち獲る。すでに妊娠していた1月に獲得した全豪タイトルは、彼女にとって23番目のグランドスラム・シングルスの優勝杯だった。

 彼女はその決勝で姉ビーナスを破ったのだ。そして今、ビーナスは、セレナが戻ると誓っている2018年まで、大会にいる唯一のウイリアムズとなる。

「グランドスラム大会にきて、プレーしたり準備したりするプレッシャーがないことに、彼女(セレナ)は興奮を覚えているに違いないわ。少なくとも、興味深いフィーリングに違いない、とは言えると思うの」と、ビーナスは言った。

 第10シードのビーナスは、最後の12ゲームのうち11ゲームを取って、日本の奈良くるみ(安藤証券)を6-3 6-1で倒し、3回戦に駒を進めた。「でもセレナは、そこに立っていることがどんな感じなのか、を正確に知っている。彼女はここで多くの成功を収めてきた」。

 セレナは、2002年(決勝の相手はビーナス)、2013年、2015年と、3度全仏で優勝していた。

「どんなアスリートとも同じよ。ほかのプレーヤーを見るとき、彼らがやっていないすべてが見え、そこに出て行って、自分でやりたくなる。そういうものなのよ」と、姉妹の母オラセーン・プライスは言った。「セレナはカムバックする日が待ちきれないの。実際彼女はもう、カムバックを視野に準備し始めているのよ」。

 そう、セレナは何もせずにいるわけではないのだ。

 彼女のコーチ、パトリック・ムラトグルーは、セレナはごく最近、テキスト・メッセージで、「奇妙に響くかもしれないけど、私はコートに行くわ。タッチを失いたくないの」と知らせてきたと言った。「それは彼女のジョークだったんだが、セレナはラケット、ボールとの接触を保ち続けたがっている。彼女がカムバックを予定していることに、疑いの余地はないね」

 ムラトグルーはまた、セレナはすでに来年1月の全豪に間に合うようカムバックすることについて話している、と言い添えた。

「誰にとっても不可能であるように響くだろう。出産後、時間が短すぎるからね」

 彼女がツアーに復帰した際には、それがいつであれ、彼女のコーチを続ける予定だというムラトグルーは、こう続けた。

「でもセレナはセレナだ。セレナに適用できるルールなどない。彼女は、ほかの者とは違った身体を持っている。彼女はまた、やはり完全に非凡な意思の持ち主だ、彼女は比類なき人なんだ」と彼は言った。

「彼女には、どんな限界も見出せないし、彼女にどんな限界を課すつもりもない。なぜって、それは間違ったことだからだ。だからもし彼女が全豪オープンで、と言うなら、全豪オープンになるのだろうさ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「全仏オープン」2回戦、姉ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)と奈良くるみ(日本/安藤証券)の試合を観戦した妹セレナ(写真◎Getty Images)

Photo: Serena Williams pregnant during the day 4 of the French Open at Roland Garros on May 31, 2017 in Paris, France. ( Photo by Andre Ferreira / Icon Sport )

【ハイライト】ビーナス・ウイリアムズ vs 奈良 くるみ/ 2回戦