コーチを務める父・美成さんが語るV舞台裏、ほんわかに見えて超ストイックな性格 女子ゴルフの国内ツアー・住友生命Vitalityレディス 東海クラシック(愛知・新南愛知CC美浜C)は18日、ルーキーの19歳・尾関彩美悠(あみゆ=フリー)がツア…

コーチを務める父・美成さんが語るV舞台裏、ほんわかに見えて超ストイックな性格

 女子ゴルフの国内ツアー・住友生命Vitalityレディス 東海クラシック(愛知・新南愛知CC美浜C)は18日、ルーキーの19歳・尾関彩美悠(あみゆ=フリー)がツアー初優勝を飾り、幕を閉じた。前週は同期の19歳・川崎春花(フリー)が日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を制しており、史上初の異なる10代選手による2試合連続優勝となった。尾関の父でコーチの美成さんは、その晴れ姿を見つめつつ、父子の歩みを明かした。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 表彰式後の記念撮影。関係者が「お父さんも一緒に」と促したが、美成さんは「いいから、いいから」と言い続けた。取材には応じ、今の気持ちを問うと、「うれしいだけです。良かったです」と口元を緩めた。

 尾関は祖父・惇美さん、父・美成さんがティーチングプロで、自然とゴルフクラブを握った。

「本格的に始めたのは、小1でした。小5だった上の娘と同じタイミングでした」

 当初から、尾関は「プロになりたい」と言い、ゴルフにのめり込んだ。地元の岡山には渋野日向子をはじめ、須江唯加、小倉彩愛、桑木志帆ら強いジュニアゴルファーがおり、尾関は負けん気を見せながら練習を重ねた。

「ものすごく努力するタイプで、私にやらされるのではなく、自主的に練習をしてきました。『そろそろ終わろう』と言うと、はぶて(すねて)たりもします。私は細かいことは言わないし、迷ってアドバイスを求めてきた時だけ、気付いたことを言うようにしています」

 高3で日本女子アマチュア選手権を制し、初受験の最終プロテストは2位に3打差をつけてトップ合格。順調だったが、昨年12月のツアー最終予選会(QT)では、最終日に79と崩れて58位だった。結果、今季前半戦は出場機会が限られた。キャディーを務めていた美成さんは、「あれは私のせいなんです」と振り返った。

「最終日、前の組と間があいていたので、プレーが終わっていた娘に『順番じゃないけど、先に打て』と急かしたんです。そのホールでOBを打って、そこから調子を崩しました」

努力家の尾関とユニークな父、次に目指すはメジャー制覇

 それでも、尾関は「1年目でそんなにうまくいくわけはないと思っていて、ステップ・アップ・ツアーで学んで、それをツアーの出られる試合で生かしたいです」と切り替えた。そして、6月の宮里藍サントリーレディスで初めての優勝争い。2位で最終日を迎えたが、出入りの激しいゴルフで8位に終わった。この時もバッグを担いでいた美成さんは、悔いを残していた。

「最終日最終組でしたが、私も娘も『まあ、初めてのことだから優勝は……』という感じでした。でも、終わってから『もっと、優勝を目指してネジを巻いておけば』と思いました。あれも私のせいです」

 尾関自身も、終了後には「今度、最終日最終組になったら、優勝したいです」と言っていた。約3か月を経て、有言実行。吉田優利(エプソン)との激戦を制し、栗永遼キャディーと2人で記念写真も撮った。しかし、美成さんは頑なにカメラマンの前で尾関の横に立とうとしなかった。

 そんな美成さんに、「今後、キャディーをされることは?」と問うと、「あります。次は日本女子オープンです」と返答。「一緒に勝ったら、記念写真を撮りますか」と聞くと、「まあ、そうですね。キャディーフィーをもらわんといけんですけど(笑)」とジョークで返した。

 日本女子オープンは29日に開幕する。ホンワカとした雰囲気ながら、負けず嫌いで努力家の尾関も優勝候補。そして、クールでユニークな父は、今度は悔いを残さないように心がけ、2人でメジャー制覇を目指す。

■尾関 彩美悠(おぜき・あみゆ)

 2003年6月16日、岡山・倉敷市生まれ。作陽高卒。家族の影響で6歳からゴルフを始め、高3の昨年6月、日本女子アマチュア選手権優勝。同年11月、最終プロテストに一発合格。祖父・惇美さん、父・美成さん、姉・沙綺さんと、親子3代ティーチングプロの資格を持つ。名前は、美成さんが「(彩り)鮮やかに、美しく、悠々と生きて欲しい」と命名。ルックスは「女優の小芝風花に似ている」と評判で、本人も「よく言われます」と話している。目標にする選手は、申ジエ、小倉彩愛。趣味は「寝ること」。158センチ。血液型A。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)