【明治安田J1リーグ 第25節 横浜F・マリノスvs湘南ベルマーレ 2022年9月7日 19:03キックオフ】  このミ…

【明治安田J1リーグ 第25節 横浜F・マリノスvs湘南ベルマーレ 2022年9月7日 19:03キックオフ】

 このミッドウィーク唯一のJ1リーグ戦は、台風の影響で延期されていたマリノスvs湘南。湘南は3日に首位だった川崎を撃破しており、神奈川ダービーを連勝して残留に近づくか、という試合だった。

 湘南は川崎戦で、ただ勝つだけでなく「単純だが、用意してきたもの・意識していたものを出してくれた」(山口智監督)という試合内容を披露していた。受けるだけでなく相手陣内でボールを持つ、ということや、川崎の右サイドを突く、ということなど、相手が嫌がることをしながら自分たちの特長を出す、ということを実現したパフォーマンスは「どんな相手でも、どんな状況でも、これを出せればいい」(山口監督)、「自信につながる試合だった」(茨田陽生)と、チームを上向かせるきっかけとして申し分なさそうだった。

 しかし、連勝とはならなかった。

 序盤は、湘南の狙いが伝わってくる場面もあった。ボールをキャッチしたゴールキーパーの谷晃生が素早くロングキック。そのボールを、素早い攻守の切り替えで既に相手陣内まで達していた右サイドの石原広教が収めてみせた。サイドバックが不在のスペースを使うこの形からは明確な意図が感じられた。

 先日のACLでは神戸がマリノス対策を披露していた。ゴールキーパーからのロングボールを前線で収め、そこから一気に逆サイドを突く、という攻撃だ。それはサイドバックが内側に入って攻撃参加をすることが多いマリノスにとって嫌なものであり、それによる得点で神戸が同国対決を制した。

■湘南は相手の嫌がる展開を続けることができなかった

 しかし、この日の湘南は相手の嫌がる展開を続けることができなかった。マリノスはエドゥアルド岩田智輝の両センターバックがボールホルダーに対して積極的に寄せ、逆サイドを守る小池龍太が谷と石原の切り替えスピードと同じ速さで対応。湘南の攻撃は同サイドで縦パスを使いながらクロスや仕掛けまで進むか、中央を経由するか、というものになったが、その間に整ってしまうマリノスの守備を崩す術がない、という試合展開になっていった。

 コーナーキックやエリア外からのシュートという形でゴールに迫りたい湘南だったが、肝心の攻守の切り替えで勝れなくなると、谷からのロングボールが収め役不在のままマリノスに渡ることが増えたり、両サイドバックだけでなくエドゥアルドと岩田も攻撃に顔を出すマリノスに対してプレスが効かなくなってしまったり、とどんどん受け身の展開に。

 それでも、帰陣の速さやボールへの食らいつき、という守備での奮闘によってスコアレスの時間を続けていたが、56分に舘幸希のミスから先制を奪われてしまうと遂にトーンダウン。攻撃の選手が次々に投入されたものの反撃の機会をなかなか作れず、逆に追加点を奪われて万事休す。3-0というマリノスの完勝に終わった。

■次は中2日でアウェー清水戦を控えている

 完敗を喫した山口監督はこの試合を「何もないゲーム」と評した。「川崎戦とは全く違い、自分たちの意思がなかった」(中野嘉大)という内容に指揮官は「選手のマインド、姿勢、考え方がすごく気になった」「“残念”という一言だけ」としている。そこに川崎戦で得た手応えは全くなかった。

 今後の指針となるはずだったはずの、自信がついたはずの試合の直後にやってきた最悪の敗戦は、ドロドロの残留争いになることを嫌でも感じさせるが、湘南はここから蘇ることができるだろうか。

 湘南のユニフォームは、エンブレムの下に文字がある。『たのしめてるか。』というその言葉は、2015年にクラブ全体のスローガンとして生まれた。

 これは単なるEnjoying?ではない。競技スポーツにおいてそれは「没頭や無心」(当時の新体制発表会での説明)という意味を持っている。

 奇しくもこの日、勝利したマリノスのケヴィン・マスカット監督がこう語っていた。

「メンタリティーはフィジカルと同様に大事な要素だ。重要なのは、どれだけ信じて継続できるかだ。日々の練習で常にこのサッカーを強く信じる気持ちを持ってやれるのか、だ」

 その信じる力は「自分たちは好きなことを仕事にすることができている、という喜び」から生まれるという。

 我を忘れるほど強くやるべきプレーに没頭できているか、が揺らいだら、サッカーが好き、という原点に立ち返ればいい。どんなに苦しい時でも、それは信じる原動力になり、途切れかけた継続を繋ぎとめてくれる。後悔に打ちのめされてうつむいても、そこにある『たのしめてるか。』の文字が導いてくれる。

 次は中2日でアウェー清水戦だ。下を向く選手たちに、サポーターはブーイングではなくベルマーレコールを送った。「ひとりひとりの考え方や気持ちの部分で変えられると思う。2日あれば十分」山田直輝はそう言って前を向いた。残留を争う相手との直接対決、気持ちで負けるわけにはいかない。

■試合結果

横浜F・マリノス 3―0 湘南ベルマーレ

■得点

56分 西村拓真(マリノス)

70分 アンデルソン・ロペス(マリノス)

89分 ヤン・マテウス(マリノス)

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