ゴルフ5レディス最終日 女子ゴルフの国内ツアー・ゴルフ5レディスは4日、千葉・ゴルフ5Cオークビレッヂ(6465ヤード、パー72)で最終日が行われ、10位で出た中国人のセキ・ユウティン(ミツウロコグループホールディングス)が悲願のツアー初優…

ゴルフ5レディス最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・ゴルフ5レディスは4日、千葉・ゴルフ5Cオークビレッヂ(6465ヤード、パー72)で最終日が行われ、10位で出た中国人のセキ・ユウティン(ミツウロコグループホールディングス)が悲願のツアー初優勝を果たした。1イーグル、8バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの66で回り、通算12アンダーで並んだ前年女王の吉田優利(エプソン)とのプレーオフを制す劇的V。日本の福井生まれで中国育ちの24歳が4打差を大逆転し、一時は2打差に14人がひしめく超大混戦を制した。

 プレーオフ2ホール目。4メートルのバーディーパットを沈めると、セキは力を込めて拳を握った。敗れた吉田とハグ。健闘を称え合い、グリーンから離れると途端に涙が溢れた。

「とても嬉しいです。今年は特にいろいろと変わって、成長できました。トレーニングもして、スイング改造もしました。頑張ってきて良かったです」

 首位と4打差のスタート。テレビインタビューには「優勝を目指して頑張りたい」と話していた。その強い気持ちで、前半からバーディーを重ね、13番パー5では3メートルのパットを決めてイーグル。2位に2打差をつけて混戦から抜け出した。しかし、14番のティーグラウンドでリーダーボードを見て緊張。3パットのボギーをたたき、15番では第1打のOBでダブルボギーとし、一気に後退した。それでも、セキは前を向き続けた。

「昨日の夜、1時間話したメンタルコーチに『プレッシャーに直面しても逃げずに』と言われていました。『もう無理かな。もったいない』と思いましたが、ファンの皆さんも拍手して『ユウティン、頑張って』と言ってくれましたし、その後にバーディーを2つ獲れて良かったです」

 セキは16、17番を連続バーディー。再び首位に躍り出た。プレーオフに入る前は目を閉じて気持ちを落ち着けたものの、1ホール目のティーグラウンドでは「頭が真っ白」になって右にプッシュ。3オン2パットでボギーにしたが、吉田もボギーにして救われた。ピン位置が2段グリーンの下に変更された2ホール目。バーディーチャンスをものにした。

「これで日本のシード権を獲れたと思うと嬉しいです。シード選手は夢でした。18歳で日本ツアーに出るようになって、6年目で初めてです。努力が恩返し(報われました)です」

中国賞金女王が味わった日本ツアーのレベル

 たどたどしい日本語で振り返った。福井で生まれ、両親の母国・中国に移住したのは4歳の時。7歳でゴルフを始めた。ジュニアで36勝。高校を卒業した1年目の2016年に中国女子ツアーの賞金女王に輝いた。

「私は自分のことが偉い選手で、天才だと思っていました」

 しかし、17年から日本のツアーを主戦場にすると、予選落ちを繰り返した。「自分のせいじゃない。環境に慣れていないから」と思うようにしていたが、次第に気持ちが変化していった。

「日本の選手のレベルが高いです。だから、私は何も考えずにたくさん練習することを止め、謙虚になってちゃんと考えて練習するようにしました」

 勝みなみから紹介されたトレーナーの指導を受けてパワーアップ。今年6月のアース・モンダミンカップまでは左足を少し浮かせる「一本足打法」もあり、ドライバー飛距離を約30ヤード伸ばした。その後、ショットの方向性が不安定になったことで打法変更。より深いバックスイングからのショットで飛距離を維持している。

 苦しんできたパターイップスも、グリップの握力を一定に保つことを意識して克服。「恋人もほしい」という思いも封印し、日本で優勝するためにゴルフに打ち込んできた。

「私の年齢、恋人とか彼氏とか同性の友だちとかと遊びたいとか、そういう経験もしたいのですが、ゴルフ以外ではそれも苦労のワンポイントでした。やっぱり、ゴルフ練習を頑張るといろいろと諦めないといけない。同時は難しいですから(笑)」

 苦労の末に一つの夢を叶えた24歳。「若くて力があるうちに世界一のアメリカツアーに挑戦したいです」。次の夢を問われると、「(国内)メジャー優勝です」と即答した。次週は国内ツアーの日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯(8~11日、京都・城陽CC)。この勢いで再び頂点をつかみにいく。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)