大阪・吹田市の「山田西リトルウルフ」は部員130人超の人気チーム 近年、競技人口減少が叫ばれる野球界。少年野球でも合併や…

大阪・吹田市の「山田西リトルウルフ」は部員130人超の人気チーム

 近年、競技人口減少が叫ばれる野球界。少年野球でも合併や休部の話も多く聞くが、時代に逆行するかのように人気を集めるチームがある。大阪・吹田市で活動する少年軟式野球チーム「山田西リトルウルフ」は現在130人の部員を抱える。多い時には240人が所属していたこともある。人気の秘訣は、あえてルールを作らないことにあるという。

 昨年50周年を迎えた山田西リトルウルフは、“おばちゃん”こと棚原安子さんが夫の長一さんとともに立ち上げたチーム。オリックスのT-岡田内野手もここで野球を始めている。人数が増え規模が大きくなれば、もめ事や保護者の悩みも多くなるのは事実。しかし、現在82歳の棚原さんはあえてルールは作ろうとしない。

「今は野球やる人が減っているでしょ。道具も高い。野球は難しいという概念をなくさないと野球をやらないから。だから、保護者の当番とかの決まりはありません」

 人口減の理由の一つに、野球は保護者の負担が多いといわれることがある。お茶当番の時間的なものから、部費、グラブ、バットなどの道具などの金銭的な部分が挙げられる。山田西リトルウルフでは、部費は学年ごとに異なるが高くても2000円。保護者の当番の決まりもない。

部内の悩み事はその都度、82歳の“おばちゃん”が解決「相手の受け止め方が違う」

 野球チームを越えた指導をすることも人気の一つだ。棚原さんの役職は“おばちゃん”。箸の持ち方や、ユニホームの洗濯、電話の掛け方まで指導する。

 各学年ごとに監督、コーチがおり、もめ事や悩みがあればその都度解決する。おばちゃんも学年全体を見渡し、必要であれば手伝う形だ。三男でチームの総監督を務める徹さんは「おばちゃんだから安心するというのもある」と話す。

「やっぱり僕らが言うと『監督にはわからへん』ってなることもあるんですけど、おばちゃんが言うと相手の受け止め方が違う。他チームから『どうやったら人集まるんや』って聞かれるけど、真っ先に『いいおばちゃんを見つけること!』って返しますよ(笑)」

 実際に子育てだけでなく、家事や食事の作り方まで相談を受けることもあり、“料理教室”を開くこともある。「野球だけで来てもダメ。勉強だけやってもダメ。今の30代~40代の親御さんが子どもを次の世代に育てられるようにサポートすることも役目だと思うんです」と棚原さん。保護者を支えることも役目だと考えている。

 チームが目指しているのは自立。「周りがちゃんと見える子どもに。心が育っていかなければいけない」。“おばちゃん”の臨機応変な対応を見て子どもたちが自ら考えるようになる。保護者は安心してわが子を預けている。(川村虎大 / Kodai Kawamura)