2年後の夏に控えたパリ2024オリンピック卓球日本代表レースは第2回の国内選考会を迎える。 戦いの舞台は「2022 全農CUP TOP32 福岡大会」<9月3~4日/アクシオン福岡>。開幕前日の2日には組み合わせ抽選会が行われる。 パリ五…

 2年後の夏に控えたパリ2024オリンピック卓球日本代表レースは第2回の国内選考会を迎える。

 戦いの舞台は「2022 全農CUP TOP32 福岡大会」<9月3~4日/アクシオン福岡>。開幕前日の2日には組み合わせ抽選会が行われる。

 パリ五輪代表選考は目下、世界ランクを基準とする従来通りの方針を打ち出す国際卓球連盟(ITTF)と国内選考を重視する独自の基準を打ち出す日本卓球協会の間に齟齬があり、日本卓球協会がITTFに確認中といった状況。

 そのため選手たちの間には戸惑いも広がっているが、多くの選手がどちらに決まっても対処できるよう臨機応変に努めながら、現在発表されている国内重視の選考基準に照準を合わせ代表レースを戦っている。

 今年3月に開かれた第1回選考会「2022 LION CUP TOP32」と、選考ポイント対象だった8月の「Tリーグ NOJIMA CUP 2022」終了時点で、選考レースの女子トップは2大会優勝で75ポイント獲得の早田ひな(日本生命)、2番手は55ポイント獲得の木原美悠(JOCエリートアカデミー/星槎)という順番だ。

 さて今回、第2回選考会にあたる「2022 全農CUP TOP32 福岡大会」だが、男女各32人が出場し、全試合7ゲームマッチのトーナメント方式で争われる。大会初日は1、2回戦と準々決勝、2日目に順位決定戦、準決勝、決勝というスケジュール。

早田ひな PHOTO:World Table Tennis

 女子のパリ2024オリンピック代表選考レースは男子以上に混戦模様だ。

 選考ポイント75ポイントを獲得し首位を走る早田ひな(日本生命)は、試合の中で1本1本のポイントの「質」にこだわり全体的に競技力を上げている。自身も「フォアハンドもバックハンドもサーブ・レシーブ、ブロック、構えも全部変わっている」と豪語。

 リザーブだった東京五輪で誓ったパリ五輪出場を胸に、変化と進化を望む強い気持ちで「2022 全農CUP TOP32 福岡大会」に臨む。福岡出身の早田にとっては地元大会。地の利も味方しそうだ。

伊藤美誠 PHOTO:Itaru Chiba

 日本女子のエース、伊藤美誠(スターツ)はどうか。

 第1回選考会の「2022 LION CUP TOP32」は準々決勝で敗れ5位、「Tリーグ NOJIMA CUP 2022」も準々決勝敗退で選考レースでは35ポイントで6番手だが、実力からいえば優勝候補の筆頭だ。

 伊藤は東京五輪で混合ダブルス金メダル、女子団体銀メダル、女子個人シングルス銅メダルの快挙を達成。それまで「打倒中国」を掲げ、対中国人選手に絞った強化に全てを注いできた。

 次のパリ五輪に向けた"本気スイッチ"はようやく入ったところだが、パリ大会の代表選考レースでは一転して日本人選手に勝っていかなければならず、大きな方向転換にまだ上手くフィットしきれていないように見受けられる。今大会ではそのあたりをがどう調整してくるかに注目したい。

平野美宇 PHOTO:Itaru Chiba

「Tリーグ NOJIMA CUP2022」で準優勝し、伊藤と並ぶ35ポイント獲得で7番手の平野美宇(木下グループ)も右肩上がりに調子を上げている。

 自分の力を出し切って戦うことに集中できているようで、持ち前の超高速バックハンドに加え、フォアハンドの連続攻撃やサーブからの3球目攻撃に磨きがかかっている。

 "ハリケーン"の異名をとる平野が2022全農CUP TOP32福岡大会を席巻する可能性は極めて高い。

石川佳純 PHOTO:Itaru Chiba

 28ポイント獲得で8番手の石川佳純(全農)も力の入る一戦だ。

「2022 全農CUP TOP32 福岡大会」はパリ五輪の第2回選考会であると同時に、来年5~6月にかけて開幕予定の「世界卓球2023ダーバン(個人戦)」アジア大陸予選会出場権もかかっているのだ。

 今年10~12月に開かれる予定のアジア大陸予選会に日本から出場できるのは男女各最大5人。そのメンバーはパリ2024選考ポイントの上位5人で決まるため、世界卓球2023ダーバン出場を狙う石川は福岡で何としても結果を残したいところ。

長﨑美柚、木原美悠 PHOTO:Itaru Chiba

 これは石川に限らず、選考ポイント2番手の木原、48ポイント獲得で4番手の長﨑美柚(木下グループ)、38ポイント獲得で5番手の佐藤瞳(ミキハウス)らも念頭に置いて戦うことになるだろう。

 他にも実力伯仲の女子は、「Tリーグ NOJIMA CUP 2022」で伊藤を破って4位となり、選考ポイント20ポイント獲得で10番手の芝田沙季(ミキハウス)。

 今年2年ぶりに国際大会に復帰し中国勢を破るなど安定した成績を挙げ、選考レースでは25ポイント獲得で9番手の橋本帆乃香(ミキハウス)らが台風の目になりそうだ。


(文=高樹ミナ)

■2024年パリ五輪 日本代表選考ポイント