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 聞き慣れない病名に戸惑ったファンも多いだろう。DeNAは8月30日、三嶋一輝投手が国指定の難病「黄色靱帯骨化症」と診断され、都内の病院で「胸椎黄色靱帯骨化切除術」を受けたと発表した。

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 黄色靱帯骨化症とは、黄色靱帯が骨化して神経を圧迫するという難病。過去の現役選手では、パフォーマンスの低下に悩まされ、精密検査を受けたところ発見されたケースが多い。神経が圧迫されたことで痛みやしびれを発生させ、その部位の可動域が制限される。それらがパフォーマンス低下を招いており、投手に多いのも特徴の一つだ。

 この難病を克服し、復活を遂げた投手として名高いのが、ソフトバンクなどで活躍した大隣憲司。2013年3月にはWBCの侍ジャパンにも選出された左腕は、シーズン開幕後は腰痛に悩まされ続けた。6月に病院で診察を受け、黄色靱帯骨化症と診断された。

 このシーズンは絶望となったが、必死のリハビリで秋季教育リーグのフェニックス・リーグで実戦復帰を果たす。翌2014年7月には中継ぎで1軍復帰を果たした。その後、7月27日のオリックス戦に先発し、7回1失点の好投で422日ぶりの復活勝利を挙げた。これは日本のプロ野球選手が同症を発症後、勝利した第1号でもあった。9月のオリックス戦では完封勝利も達成。CSでも活躍し、日本シリーズ第3戦にも先発して勝利投手になるなど、チームの日本一に大きく貢献した。

 翌年以降も左肘痛などにも悩まされながら、2018年にロッテで現役引退の時を迎えるまで、1軍のマウンドに立ち続けた。

 逆に、発症後は一度も1軍のマウンドに帰ってこれなかった投手もいる。元巨人の越智大祐は2008年から中継ぎで4年連続40試合以上に登板していたが、2012年の開幕直後に両足の違和感を訴えた。診察の結果、黄色靱帯骨化症と診断され、6月末に手術。その後は必死のリハビリを重ねたが、結局1軍のマウンドに戻ってくることはなかった。

 元ロッテの南昌輝は中継ぎとして2012年から6年連続2桁試合登板を重ねていたが、2018年7月に下半身の違和感を覚え、同症と診断された。翌2019年8月に1軍復帰登板を果たしたものの、この年は4試合だけ。2020年も6試合の登板にとどまり、2021年限りで引退した。1軍のマウンドには戻ってこられたが、かつてのパフォーマンスを取り戻すことはできなかった。

 三嶋は球団を通じて「悩みに悩んだ結果、手術することを決断いたしました。自分を信じて、前を向いて、前よりももっと強くなって帰ってきます!」とコメントした。過去の例を見ても1軍復帰への道のりは決して平坦なものではない。それでも過去、乗り越えてきた選手たちの頑張りが、同症に悩む多くの人々に勇気と力を与えてきたのは紛れもない事実。再び力強いあの剛球を1軍のマウンドで響かせてくれる日を待ちたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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