ニトリレディス最終日 女子ゴルフの国内ツアー・ニトリレディスは28日、北海道・小樽CC(6655ヤード、パー72)で最終日が行われ、首位と2打差の2位で出た稲見萌寧(Rakuten)が3バーディー、1ボギーの70で回り、通算9アンダーとして…

ニトリレディス最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・ニトリレディスは28日、北海道・小樽CC(6655ヤード、パー72)で最終日が行われ、首位と2打差の2位で出た稲見萌寧(Rakuten)が3バーディー、1ボギーの70で回り、通算9アンダーとして逆転で大会連覇を果たした。6月以来約3か月ぶりのツアー通算12勝目。腰や左手首痛など満身創痍の状態を乗り越えた意地の栄冠だった。

 稲見は前半3番でボギーを叩いたが、6、9番でバーディーを奪って後半に突入。13番でもスコアを伸ばし、同じ最終組の山下美夢有と首位に並んだ。山下が16番で1つ落としたのを尻目に、最終18番までパーセーブ。ウィニングパットを沈めると両手を高々と上げてキャディーとハイタッチし、優勝の味を噛みしめた。

 出場選手の多くが口を揃える難コースを見事攻略。「私自身、連覇というのが初めて。そこがめちゃくちゃうれしい。ショットもパットも良くないと上位には来られない大会。ディフェンディングチャンピオンとか、出場100試合目とか、そういう記念の大会で勝てたのはうれしいです」と表情をほころばせた。

 苦境を乗り越えた優勝だった。今大会前までのトップ10数はツアー1位の14回。しかし、破竹の勢いで勝ち続けた昨季とは違い、6月初めの1勝にとどまっていた。優勝スピーチでは「今年になって調子が上がらない中で、自分の中でもすごくもがいたりして、練習と努力は報われることを証明したいと練習を必死に頑張ってきて、それがこの大会で成果が出て本当に良かったと思う」と、開幕からの6か月について実感を込めて話した。

途中棄権も経験、取り戻した女王の自信

 昨年は東京五輪で銀メダルを獲得するなど「ずっと調子が悪くない中でできていた」という1年だった。しかし、10月に腰痛を発症。そこから体調面での悩みは増していった。3月のTポイント×ENEOSゴルフトーナメントは体調不良で途中棄権。「自分の体の面で、やりたい動きがなかなかできずに悩んでいた」という。

 そこからは「一つずつ解決していこうということで、まずは体の問題を解決しよう」と体のケアに時間を割いた。「それができたので、やっと少しずつかみ合ってきた」ことで調子も上向きに。6月のリシャール・ミル ヨネックスレディスゴルフトーナメントで優勝し、沈みがちだった表情にも明るさが戻り始めた。

 2週前のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントでは第2日で左手首痛を発症して途中棄権したものの、治療と休養で復活。先週のCATレディースでは7位タイに食い込み、今週に繋げた。「今年の序盤は自分のことで精一杯だった。それがだんだん“これなら戦える”と明るい未来が開けてきた。それが表情にも出ているのかもしれない」と感慨深く復活の道のりを振り返った。

「4日間大会で久しぶりに勝ててうれしい。毎週毎週、上位で戦っていきたい」と今後を見据えた稲見。笑顔だけでなく、昨季賞金女王と五輪銀メダリストとしての自信も取り戻した。(THE ANSWER編集部)