蹴球放浪家・後藤健生は、世界中を取材で駆け巡る。取材の対象は、サッカーだけにとどまらない。食事を含めた文化面もフィール…

 蹴球放浪家・後藤健生は、世界中を取材で駆け巡る。取材の対象は、サッカーだけにとどまらない。食事を含めた文化面もフィールドワークの対象とする。調査を進めると、日本もフランスも、ある食材でつながっていることが判明した。

■スペインでも食べられる「コンブ」

 スペイン北西部のア・コルーニャの街に行った時のことです(一般には「ラ・コルーニャ」として知られていますが、これは、いわばスペインの標準語であるカスティージャ語。現地のガリシア語では「ア」コルーニャ)。海岸を歩いていたら、現地の人たちが総出で採ったばかりの海藻を干していました。どうやら昆布のようです。

「海藻」というと和食のイメージが強いですよね。今では世界中で海藻は健康食品として親しまれていますが、ヨーロッパでも日本語のまま「コンブ」とか「ヒジキ」という商品名で売られています。しかし、ア・コルーニャでは普通に昆布を食べているようです。

 ちなみに、僕は日本人なのですが、どういうわけか海藻類が大の苦手。それで、歩いていたら昆布の臭いにすぐに反応したというわけです。

 海産物というのは、場所によって採れるものが違っているので、旅行しているとその国の、その街の独特の食材を食べるのが楽しみです(残念ながら、ア・コルーニャ名物(?)の昆布は僕はパスしましたが……)。

 そもそも、僕たちはなぜ「海藻は和食」と思い込んでいるのでしょうか?

 それは、日本という国が海に囲まれた島国で、しかも各地の海の多様性が大きいからです。日本近海には暖流も寒流も流れていますし、遠浅の海もあれば、駿河湾や富山湾のような深海も間近にあり、さまざまな海産物が採れます(「採れていました」と言うようにならなければいいのですが)。

 だから、日本人は昔からさまざまな海産物を、さまざまな調理法でたくさん食べていましたし、今では、スシは世界中で食べられています。

■「外国人はタコを食べない」?

 アフリカ大陸で誕生した現生人類(ホモ・サピエンス)は、故郷であるアフリカ大陸を出て世界中に拡散していきました。そして、雑食性のヒトという生物ならではですが、その場にあるあらゆる食材を利用してきました。当然、海の近くに住む人たちは海で採れる動植物を食べて暮らしてきたのです。

 ア・コルーニャの人たちが昆布を食べていても不思議ではありません。

 僕が子供のころ(もう半世紀も前のこと)、「外国人はタコを食べない」と言われていました。なるほど、「外人にはタコがグロテスクに見えるんだろうな」と子供心に思っていましたが、あんな美味しいものを食べないはずはありません。

 たまたま、日本に進駐してきたアメリカの兵隊が内陸育ちでタコを食べなかった。その話が広まったのかもしれません。

 スペイン料理では「タコ(プルポ)」は欠かせない食材ですよね。アヒージョの定番です。

■宮城と言えば牛タンよりも……

 2021年の夏には延期されていた東京オリンピックが開かれました。

 しかし、ほとんどの会場は無観客。そんな中で、サッカーが行われた宮城会場は観客を入れて開催されました。そのチケットを入手したので、僕は女子の日本対チリの試合を見に行きました。それ以外に、オリンピック関連の仕事があったので、大会期間中に宮城は二度訪れました。

 宮城といえば名物は牛タンでしょうか? でも、僕は仙台に行ったら、まず三陸で採れる魚介類を思い浮かべます。

 いろんな食材がありますが、何と言っても三陸独特なのがホヤです。昔は「ホヤ貝」などとも呼んでいましたが、貝ではありません。尾索動物亜門ホヤ綱に属する動物です。

 東京の酒場などでも酢の物として食べることができますが、かなり「臭い」食べ物です。しかし、産地近くで食べる新鮮なホヤは臭みもほとんどなく、独特の食感を楽しむことができます。いかにも、「海」を口に入れたという潮の香が魅力でしょう。

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