ネーションズリーグでは初のファイナルラウンドに進出し、5位と好調を示した男子日本代表。8月26日(金)から始まる世界選手権を前に、昨年までチームを率いた中垣内祐一前監督に、今季の印象とこれからへの期待を聞いた …
ネーションズリーグでは初のファイナルラウンドに進出し、5位と好調を示した男子日本代表。8月26日(金)から始まる世界選手権を前に、昨年までチームを率いた中垣内祐一前監督に、今季の印象とこれからへの期待を聞いた
2021年まで男子日本代表を率いた中垣内前監督
ネーションズリーグ(VNL)を振り返って
「VNLでは予選ラウンドを通じて、うまくいかないセットがあっても集中力を盛り返して気持ちを切らさず、自信を持ってうまく戦えている様子が見られました。東京2020オリンピックのときもそうでしたが、メンタル的に充実しており、格下相手に取りこぼさない、きちんとしたバレーができていました。特にディフェンスで粘り強くプレーすることによって、相手のミスにもつながりますし、持ち味を出せているという印象です。
石川(祐希)選手は大黒柱らしいプレーを続けていました。特にサーブでのパワーアップは目をみはるものがあります。強いサーブを打てるのは西田選手だけではないよ、俺も打てるぞ、というくらいの気合いを感じるサーブが多く、そこにショートサーブも交ざって、安定してかなりいいサーブで相手にプレッシャーをかけていました。
西田(有志)選手は、落ち着こうとしてプレーをしているのがよくわかります。自信がついて、今までよりも戦術を持って一本一本のスパイクを打っています。そして「俺もエースなんだ、決めて当たり前なんだ」ぐらいの表情でプレーをしている、しようとしている。そういうものを感じました。
大塚(達宣)選手あたりはおそらく2人に引っ張られているのではないでしょうか。去年からずいぶん成長したイメージです。前半戦では髙橋(藍)選手も成長を感じましたが、やはり大塚選手の成長がチームの層を厚くしていると思います。
髙橋(藍)選手はイタリアでリベロなども経験したことがプラスになっているのでしょう。難しいボールもよくさばいていました。攻撃力も去年より上がっており、課題のブロックが向上すればさらによくなるのではないでしょうか。
チームのブロック戦術は、非常によくはまっています。正確な情報をもとに、積極的にオプションを仕掛けていく、という部分が課題でしたが、今季見ているかぎりはそれが結果としてよくタッチボールにつながっていると思います。
フィリップ(・ブラン)監督もディフェンスには手応えを感じていると思いますが、ブロックを何とかしたい、というところが今年の課題なのではないでしょうか。練習でもブロックには時間をかけているようです」
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大黒柱として欠かせない石川主将
石川選手や西田選手がいなければ現状、チーム力が落ちるのは当然
「VNLファイナルラウンドのフランス戦は、石川選手がいないから、要は(ディフェンスを)西田選手に絞られた、ということだと思います。
ただアクシデントがあって、石川選手や西田選手がもしいなくなったとしたら…これは現状ではしようがない部分。それだけ彼らは力を持っており、その存在は偉大である。だからこそ評価されているわけです。正直なところ、日本はそこまでの素材がどんどん湧いてくるような国ではありません。
日本は手を抜けない相手だ、ということはフランスも認識していますが、石川選手がいなければ戦力ダウンだ、ということもわかっているからガペ(イアルバン・ヌガペト)を出さなかった、いうのもあると思います。石川選手がいなかったのは残念なことではありますが、やはり彼がいなかったらチーム力が落ちる、それは現時点では当たり前かな、と思います。
それでも今季、ファイナルラウンドに行けただけでも、これは大きく評価できることです。Bチームで戦っている試合も非常によくやっていましたし、全体での底上げは進んでいると思います」
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課題のブロックも着実に進化している
世界選手権は現在地を測るうえで重要な大会
「日本は去年から同じメンバーで、技術的にも精神的にもさらなる成長過程にあるチームだと言えますが、他国は東京2020オリンピックのあとで世代交代が進み、いったんガクンと落ちているチームが多い印象を受けました。ほとんどのチームで、何人か主要な選手が出ていませんでしたし、優勝したフランスもずっとフルメンバーで戦っているわけではありませんでした。オリンピックサイクルにおける、強化のはざまに入っているチームはあると思います。
日本はよくなっており、外国は少し落ちている。結果として、日本がとてもよくなったように見えているのが実際のところだと思います。
やはり世界選手権やオリンピック予選のような大会こそ、ほんとうの戦力での戦い、“本番”になってくると思いますので、そこまでに、いかに日本のバレーを洗練させておくかがカギになってきます。
今回の成績(5位)に驚きはありません。少なくとも、それがほんとうの実力だ、とは思わないほうがいいかもしれない。例えばですが、サーブレシーブのいい選手がどんどん出てきたり、石川選手や西田選手のときだけ4枚レシーブでずっと対応されたりしたら、日本のサービスエースは少なくなってくるかもしれない。日本はVNLへの準備期間がほかの国よりも長い、という事情もありますし、今の順位だけを見て驚くということはありません。
いずれにしてもシーズンの本番という意味では、26日からの世界選手権に注目です。パリオリンピックに向けて、日本の現在地を測るうえでもほんとうに重要な大会ですので、石川選手には復帰してほしい。しっかり調整し、足りなかった部分は改善して、VNL以上のチームを完成させて乗り込んでもらいたいです」
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2021年まで男子日本代表を率いた中垣内前監督
成長著しい大塚選手