出場73試合、スタメンわずか31試合でチーム2位の10本塁打■ソフトバンク 5ー1 日本ハム(21日・PayPayドーム…
出場73試合、スタメンわずか31試合でチーム2位の10本塁打
■ソフトバンク 5ー1 日本ハム(21日・PayPayドーム)
ソフトバンクは21日、本拠地PayPayドームでの日本ハム戦に5-1で勝利し、同一カード3連勝を飾った。ドラフト4位ルーキーの野村勇内野手が3回に9号2ラン、8回には球団の新人本塁打記録に並ぶ10号ソロを放ち、2度目の1試合2本塁打。3安打3打点の活躍で、離脱者続出のチームを救った。
2回にデスパイネのソロ本塁打で先制して迎えた3回だった。左前安打で出塁した今宮を一塁に置き、野村勇は打席に立った。初球、左腕・加藤が投じた133キロのシュートを捉えると、打球は右翼ホームランテラス席へと消えた。リードを広げる9号2ラン。チームに大きな追加点をもたらした。
「勇ちゃん劇場」は終わらない。8回1死での第4打席。今度は右腕・井口が投じた4球目、外角のスライダーを捉えると打球は左翼ホームランテラス席へと飛び込んだ。10号2ラン。1939年に鶴岡一人氏がマークした球団の新人最多本塁打記録に83年ぶりに肩を並べる一発に「僕なんかが、すごい光栄です」とはにかんでいた。
右投手の先発試合ではベンチが多く「苦手でもなかったんで、ちょっと悔しかった」
新人ながら、柳田悠岐外野手の16本塁打に次ぐチーム2位の10本塁打を放ち、パンチ力が魅力の野村勇。ここまで73試合の出場で、わずか149打席。本塁打率に換算すれば、柳田を遥かに上回る。にもかかわらず、スタメン出場は31試合だけ。スターティングラインナップに名を連ねるのは主に左投手が先発の時で、右投手の時はベンチスタートが多かった。
課題があったのは事実だ。藤本博史監督はこう言う。「ちょっとムラがあるのと、右投手の逃げる、速い球っていうのがちょっと対応できづらいところがある」。この試合まで、対右投手は打率.215、3本塁打、対左投手は.222、5本塁打。率には大きな差はないが、野村勇自身も「右ピッチャーのスライダーっていうのが課題」と認めた。
とはいえ、右投手相手になかなか出番のない現実に悔しい思いを抱えていたのも事実だ。「最近は打てていなかったですけど、(右投手は)そんなに苦手でもなかったんで、ちょっと悔しかった」と胸中を明かす。だからこそ、右投手の井口のスライダーを打った2本目のホームランに大きな意味がある。
右腕の井口からホームラン「右になって最後に打たないと正直意味ないかなと思った」
「左から打っていたので、右になって最後に打たないと正直意味ないかなと思った。左だから打てたんだよなみたいな感じで思われるのかなと思って、最後は絶対打とうと思っていきました」。結果で示してみせた。
この一撃で首脳陣の評価にも変化が生じた。チームは三森大貴内野手、牧原大成内野手、周東佑京内野手と二塁を守れる主力クラスが新型コロナウイルスの影響で不在に。そこの穴を埋める存在として、藤本監督は「今後は右左関係なく使っていこうかなと。右でもこうやってしっかり打てたらね、来週からアタマから使っていこうかなと思っています」と語っていた。
福岡移転後の最多新人本塁打だった1997年の井口資仁(現ロッテ監督)の8本を抜き、鶴岡氏の球団記録更新にも王手をかけた野村勇。勝負の終盤戦で緊急事態のチームで、重要なキーパーソンとなるかもしれない。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)