近江の応援はラジオで試合を聴く人にまで配慮 第104回全国高校野球選手権大会に滋賀代表として出場した近江は20日、準決勝…
近江の応援はラジオで試合を聴く人にまで配慮
第104回全国高校野球選手権大会に滋賀代表として出場した近江は20日、準決勝で下関国際(山口)に2-8で敗れ、甲子園を後にした。今春の選抜に続く決勝進出はならなかったが、昨夏から3大会連続で4強以上という快進撃を見せた。全国に近江の野球を見せつけたことはもちろん、吹奏楽部の応援曲もファンの間ではおなじみとなった。特にテンポの良いリズムで奏でられるチャンステーマ「Fire Ball(ファイアボール)」は、もはや名物応援歌の一つとなっている。
今大会も4勝のうち、3回が逆転勝ち。その攻撃を後押ししたのが「Fire Ball」だ。2018年の選抜から甲子園で演奏し始め、近年、近江が甲子園で結果を残すにつれて徐々に“魔曲”と言われるようになってきた。同校吹奏楽部の顧問で、自身も近江OGの溝口優子教諭は「魔曲になっていますね(笑)。自分の学校から発信した、みんなが頭から離れない曲というのを1曲持てるのはすごく、幸せなことだと思います」と笑顔を見せる。
応援に取り入れた背景について、溝口教諭は「この曲ならバズるんちゃうか、というのでやってみたんです」と語る。考案したのは同部の樋口心教諭。2018年から洋楽を中心とした応援スタイルに変えた中で、チャンステーマに選んだのが「Fire Ball」だった。アメリカのラッパー「Pitbull」の曲で、演奏した同年夏には17年ぶりに甲子園準々決勝まで勝ち進んだ。
「Fire Ball」が演奏されると、たちまちSNS上も盛り上がり、思惑通りバズった形に。溝口教諭は「レゲエな曲で、手拍子とか、音楽をやっていない人でも(リズムに)乗りやすいのかなと思います」と、ファンの間に浸透した理由を語る。準決勝でも、近江の吹奏楽部の演奏には球場中のファンから手拍子が送られていた。
近江の演奏は、ラジオで試合を応援している人にも配慮している。チャンステーマは2種類あり、走者が二塁にいると「Fire Ball」、三塁の時は「近江マーチ(アルプス一万尺)」を演奏する。「結構ラジオで聴いている人も多いので」と溝口教諭。運転中で中継を見られない人にも、試合の状況が分かるような構成となっているという。
「まさか自分の曲が」西川貴教さんからもエール
他にも近江の応援には特徴がある。滋賀出身のミュージシャン・西川貴教さんの「HOT LIMIT」、「WHITE BREATH」や、彦根市に本社を置くスーパー「平和堂」のイメージソング「かけっことびっこ」といった地元にゆかりのある応援曲を取り入れているのだ。
今春の選抜では4強進出の際、西川貴教さんがツイッターで「目指せ、決勝! 頑張れ、近江高校!」とツイートしたこともあり、準決勝からそれまで演奏していなかった「HOT LIMIT」を急きょ演奏。これにまた西川さんが反応したことで交流が始まり、6月末には歌番組で共演も果たした。その際、西川さんは「まさか(甲子園で)自分の曲が演奏してもらえるとは」と驚いていたという。溝口教諭は「滋賀県を盛り上げたいと思われている方なので、一緒に盛り上げられたらとお話させていただきました」と語る。
この日は「平和堂」の平松正嗣社長や、東京五輪で2つの金メダルを獲得した大橋悠依さんもアルプスに駆け付けて応援。主将の山田陽翔投手(3年)は「打席では1人なんですけど、1人じゃない気がしたり、一緒に戦っているような気にさせてくれる」と、応援の力を語っていた。
山田は試合後、アルプスに向かって一礼した後、「ありがとう!」と一言。「スタンドのみんな、ダンス部、吹奏楽部、県民の皆さんであったり、たくさん方々が応援してくださって、ベスト4という結果を残せたのはアルプスの応援があったから」と感謝した。チームは敗れたが、県民一体でナインの背中を押した。(上野明洸 / Akihiro Ueno)