近江・山田「自分の待っているボール以外には手を出さない」 讃岐が生んだ両打ちの“怪童”は左打席に立たずして甲子園を去った…

近江・山田「自分の待っているボール以外には手を出さない」

 讃岐が生んだ両打ちの“怪童”は左打席に立たずして甲子園を去った。第104回全国高校野球選手権大会に出場した高松商(香川)は18日の準々決勝で近江(滋賀)に6-7で敗れた。しかし、両打ちの超高校級スラッガー、浅野翔吾外野手(3年)は、近江の主将兼4番兼エース・山田陽翔投手(3年)との対戦を「楽しかった」と清々しく振り返った。

 力と力のぶつかり合いだった。初戦の佐久長聖(長野)戦で2打席連続本塁打を放ち高校通算アーチを66本に伸ばした浅野と、最速149キロを誇る大会注目右腕・山田との直接対決。結果は、浅野が1本塁打を含む3打数3安打1本塁打と右腕を打ち砕いた。

 圧巻は3回1死一塁で山田の146キロをとらえ、バックスクリーンに叩き込んだ今大会3号&高校通算67号弾。試合を2-2のタイに持ち込んだ一撃を近江の多賀章仁監督は「あの場面であれはかなり、私自身はすごいこたえたホームランでした」と振り返る。

 2人の対決はフルカウントから左翼線二塁打、カウント1-1からバックスクリーンへの本塁打、フルカウントから左前打、そして申告敬遠だった。山田は「狙っている球を追い込まれるまで待っていると思いました。低めの変化球は徹底的に振らない。自分の待っているボール以外には手を出さないというか。だからああやって懐が大きく見えるんだなとも思いました」と対決を振り返りる。さらに「評判通りのすごい選手。次のステージになっても対戦してみたいと思わされるバッターでした」とさっそく再戦を希望した。

県外強豪校から誘いも、幼少期からの憧れだった高松商で甲子園8強入り

 昨年12月に指導を受けたイチロー氏(現マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が「見ているからね、みんなのことを」と置いていった黒いバットは、この日も“お守り”としてベンチ入り。一塁側アルプススタンドには浅野の父・幹司さんの姿も。「最後の夏に、最高の相手、最高の投手と対戦できてよかったね。楽しみや」と息子の背中を押したという。

 高松商は浅野の憧れだった。父・幹司さんの転勤により、生まれ故郷の徳島県から隣県へ引っ越した浅野。屋島中時代は軟式野球の全国大会に出場し、侍ジャパンU-15に選出された。県外強豪校からの誘いもあったが、高松商に進学。父・幹司さんは「(息子は)もともとチアや吹奏楽などの、高商の応援が好きだったんですよ」と懐かしむ。地元の高校へ入学するように後押ししたのは、幼い息子が目を輝かせていたことを知っていたからだった。

 憧れの高松商の主将として今大会は全て右打席に立ち、打率.700(10打数7安打)、3本塁打6打点3四球2死球、出塁率.800。「もう後悔はないです」と言い切った。多くのファンが、プロの世界で“怪童”ぶりを発揮する姿を期待している。(喜岡桜 / Sakura Kioka)