2点ビハインドで登板、1回を1安打無失点に抑えた■ソフトバンク 5ー3 西武(17日・ベルーナドーム) 西武の内海哲也投…

2点ビハインドで登板、1回を1安打無失点に抑えた

■ソフトバンク 5ー3 西武(17日・ベルーナドーム)

 西武の内海哲也投手が17日、本拠地ベルーナドームで行われたソフトバンク戦で、8回に3番手で登板。1イニングを1安打1奪三振無失点に抑えた。16日に今季限りでの現役引退を表明した後初の登板で、西武では移籍4年目にして初のリリーフ登板でもあった。巨人時代を含め通算333試合登板中、救援は約5%の16試合に過ぎないが、この日投じた19球にはプロ19年目のエキスが凝縮されていた。

 名前がアナウンスされた瞬間、1万3258人の観客がどよめき、拍手が沸き起こった。西武移籍後、過去通算7試合の登板は全て先発で、試合途中に本拠地のブルペンからマウンドへ向かうのは初めて。「すごい拍手をいただき、スイッチが入りました。感慨にふける余裕もないくらい緊張しました」と明かした。

 今季1軍ではそれまで2試合に先発し、防御率3.72(9回2/3、自責4)。2軍での調整を経て、12日から中継ぎ要員として1軍に戻っていた。「正直言って、僕の出番はもうちょっと点差が開いている場面で来るのかなと。2点差というのは想像していなかった」と苦笑。「まさかまさかでしたが、ありがたく思いました。引退表明はしましたが、引退試合でなく、真剣勝負ができることには感謝しかありません」と話す。

 先頭の中村晃には、カウント3-1とボールが先行したが、この日最速の139キロの速球を内角いっぱいに決めて見逃がしストライクを取り、最後は外角低めのツーシームを打たせて投ゴロに仕留めた。続く三森はカウント1-2から、内角いっぱいのスライダーで見逃がし三振。代打・松田には内野安打を許するも、甲斐に外角低めのスライダーを引っかけさせて三ゴロに打ち取り、無失点でしのぎ切った。

「一番緊張したのは(先頭の)中村選手のところ。ボールが先行しちゃったんで。そこを乗り越えたら、いつも通りの気持ちでマウンドにいることができました。ランナー自体はよく出すタイプなので、慌てずにいけたと思います」と振り返る。

辻監督「見習うべきところはいっぱいある」

 改めて痛感したのは、リリーフの難しさだった。「先発はある程度準備期間があって、徐々に心も体も合わせていけますが、中継ぎは電話1本で行かなくてはならない。ジャイアンツ時代にも何度か経験させてもらいましたが、(中継ぎの)スペシャリストたちには尊敬しかありません」とこうべを垂れる。「先発とは職場が違い、スイッチの入れ方が違う。引退前ですが勉強になります」とも。今季からコーチ兼任となっているが、引退後指導者となっていく上で糧になるだろう。

「140キロに満たない真っすぐであっても、しっかりインコースに速い球を見せて効果的に使っていたし、何より低め低め。他の投手が見習うべきところはいっぱいあると思う」と感嘆したのは辻発彦監督。確かに、19球全てがベルト付近より下で、高めは1球もなかった。ボールが先行すると、簡単には手を出しにくい内角いっぱいの速球でカウントを整えた。

 エースの高橋光成投手は「内海さんには相手打者への入り方、考え方について、いろいろお話をしていただきました」と言う。具体的には「自分のスタイルを大事にするということ。チームとして試合前のミーティングで相手打者の攻略法を立てますが、内海さんはまずしっかり内角を使うことを考えていたそうです。『自分は内を攻める投手だから』とおっしゃっていました。僕も、もっと自分を知り、もっと自分のいいところを出せる投手になりたいです」と語る。

 引退試合&セレモニーは9月に改めて行われる見込みで、残りわずかな登板には、現役選手もファンも1球1球注目するだろう。内海自身「登板に向けてしっかり準備するところは、(後輩に手本として)見せられるかな。中継ぎとしての経験はありませんが、今までやってきたキャリアの引き出しを全て開けながら、なんとか乗り越えていきたい」と使命感を燃やす。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)