NEC軽井沢72ゴルフトーナメントで初優勝 女子ゴルフの国内ツアー、NEC軽井沢72ゴルフトーナメントで初優勝を飾った岩井千怜(Honda)が「THE ANSWER」の電話取材に応じた。歓喜の瞬間から殺到した祝福メッセージの一つひとつへの対…

NEC軽井沢72ゴルフトーナメントで初優勝

 女子ゴルフの国内ツアー、NEC軽井沢72ゴルフトーナメントで初優勝を飾った岩井千怜(Honda)が「THE ANSWER」の電話取材に応じた。歓喜の瞬間から殺到した祝福メッセージの一つひとつへの対応や、優勝の支えにもなった大好きなバナナのエピソードも明かした。加えて「困った人がいたら助ける」という父・雄士さんからの教えを胸に、アスリートとしてさらに大きな存在になって社会貢献していくことを誓った。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田通斉)

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 千怜は歓喜の日から一夜明けた15日、埼玉県内の自宅で双子の姉・明愛ら家族と過ごした。自身のスマートフォンには歓喜の瞬間から、祝福メッセージが相次いだという。

「優勝してからずっとスマホが鳴っていまして、200件以上のメッセージをいただきました。『ああ、優勝するとこういう風になるんだな』と思い、感謝しながら一つひとつに返信させていただきました。ただ、優勝してからの時間があっという間に感じていまして、まだ、ボーッとしています(笑)」

 試合を通し、ピンを狙う千怜の果敢なプレースタイルが注目を集めた。そして、ルーキー選手第1号のツアー優勝を達成。ネット上では、千怜の見せるさわやかで愛らしい笑顔も話題になった。

「小さい頃から、父に『たとえミスしても笑ってプレーしなさい』と言われてきました。それを今も続けている感じです」

 最終日を振り返ると、優勝争いが佳境になった後半、1人で苦笑いする場面があったという。

「私はバナナが好きで、キャディーバッグには必ず2本入れています。ハーフで1本食べて、後半にもう1本という感じですが、最終日は11番ティーで、もう1本が残っていることを確認しました。でも、よく見るとその1本は前日朝に入れていたものでした。それで、『あ~、食べられない。残念』となって、フェアウェーを歩きながら、自分のおっちょこちょいぶりを笑いました」

プロテスト合格後に「ドール」のアンバサダーに就任して芽生えた思い

 多くのアスリートが食しているバナナ。消化吸収のスピードが速く、エネルギー源になることで知られている。バナナ好きの岩井姉妹はプロテスト合格後、バナナの生産、販売で知られる株式会社ドール(本社・東京都)と契約。栄養に問題を抱える10億人をサポートすることなどを約束した「The Dole Promise」とECサイト「Dole公式ショップ」のアンバサダーに就任した。

 その際、千怜は「普段からドールさんのバナナを食べて試合に臨んでいたので、非常にうれしく思っています。そして、『The Dole Promise』を通じて社会貢献活動のサポートができればいいなと思います」などと意気込んでいた。

 千怜は明愛とともにその言葉を行動に移した。昨年から複数回にわたり、学童保育施設などを訪問して1箱13キロのバナナを差し入れ。今夏、地元の子供たちと触れ合った際にも、一人ひとりにバナナを手渡している。

「本当に子供たちが元気いっぱいで、私たちも元気をもらいました。お腹がすいていたのか、『早くちょうだい』と言ってくる子もいて微笑ましかったです。でも、私たちが、どんなプロゴルファーなのかは分かっていなかったと思いますけど(笑)」

 だが、悲願のツアー初優勝で岩井姉妹の知名度、注目度はさらに上がった。姉妹からバナナをもらった子供たちの中にも、“あっ、あの時のお姉ちゃん”と気づいた子もいることだろう。それも踏まえ、千怜は言った。

「父からも『困った人がいたら助ける』と教えられてきましたし、いろいろな社会貢献活動をしていきたいです。そのためにも、明愛と一緒にアスリートとしてもっと大きく、影響力のある存在になっていきたいです」

 姉妹は母校で弟・光太が在学する埼玉栄高ゴルフ部にもバナナの差し入れなどを行い、ドールの荒木雄介マーケティング本部長も「岩井姉妹がどれだけ努力されているかも知っていますし、その中で時間を見つけてこういう活動をされていることはうれしい限りです」と話している。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)