NEC軽井沢72ゴルフトーナメント最終日 女子ゴルフの国内ツアー・NEC軽井沢72ゴルフトーナメントは14日、軽井沢72ゴルフ北C(6679ヤード、パー72)で最終日が行われ、首位タイで出た20歳の岩井千怜(ちさと・Honda)が5バーディ…

NEC軽井沢72ゴルフトーナメント最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・NEC軽井沢72ゴルフトーナメントは14日、軽井沢72ゴルフ北C(6679ヤード、パー72)で最終日が行われ、首位タイで出た20歳の岩井千怜(ちさと・Honda)が5バーディー、2ボギーの69で回り、通算13アンダーでツアー初優勝を果たした。優勝会見では両親への親孝行を約束。双子プロとして活躍する姉・明愛(あきえ・Honda)とのエピソードも語った。

 強気が生んだ初優勝だった。前夜、就寝前は緊張よりも「ワクワクの方が大きかった」という中、3、4番で連続バーディーという滑り出し。7番パー4で今大会2つ目のボギーを叩き、スコアを伸ばしたい9番パー5では絶好の位置からの3打目をショートするミスでバーディーを奪えず。すっきりしない気持ちで後半に突入した。

 しかし、10番のバーディーで気持ちは一変。「ティーショットからセカンドまで全部振り切れてのバーディーだったので『よっしゃー、きたー!』って感じで。11番もバーディーで『これからが本番だ!』って思った」と流れを自分の手で引き寄せた。13番でもスコアを伸ばして同組のライバルたちを突き放すと、最終18番は姉・明愛、高校3年の弟・光太が見つめる中、2オン3パットでボギーとしながらも逃げ切った。

 優勝会見で出た岩井の最初の言葉は「自分でも勝てるんだな」だった。終盤のポイントとして挙げた16番パー5では「見ている人がワクワクするようなプレーをしたい」という言葉通り、2打リードがありながら果敢に2オン狙い。「ここで2オンしたらかっこいいだろうなと思っていたんですけど」とチャレンジが実らなかったことを笑ったが、「勝つには攻めるしかないので、ああいった場面でも攻めれば今後に繋がっていくと思う」と振り返った。

岩井家はトレーニングにおいても「お金をかけずに」を貫いてきた

 明愛とともに昨年6月のプロテストに合格し、ともに下部ツアーに相当する「ステップ・アップ・ツアー」で優勝した。ツアー本格参戦1年目の今季は、6月の「リシャール・ミル ヨネックスレディスゴルフトーナメント」で自己最高となる2位に入るなど、レギュラーツアー初優勝は手の届くところまできていた実力の持ち主だ。

 それでも、世間の目はどうしても「双子プロ」という部分に集まりがち。「双子でゴルフをやっていると『どちらが上(の順位)だ』とか言ってくださる方が多い。でも、それがお互いの刺激になっている。どちらかが上位でいるとお互いにうれしいけど、自分も負けないという気持ちになる。これからも2人で頑張っていきたいと思う」と姉と切磋琢磨を続けていくつもりだ。

 父・雄士さんは公務員、母・恵美子さんは看護師という一般的な家庭に育った岩井姉妹。幼少期から「そんなに欲しいものはなかった」という岩井はクリスマスの時、「“サンタさん”に唯一お願いしたのがゴルフクラブだった」と言う。その時はすでに雄士さんのクラブを振り始めてゴルフに興味を持っていた時期。父の、いや“サンタさん”の導きがなければ今回の優勝はなかったかもしれない。

 岩井家は、トレーニングにおいても「お金をかけずに」を貫いてきた。「大きい家も建てたいし、家族も旅行に連れていってあげたい。一緒にゆっくり過ごすのもいい。とりあえず両親にゆっくりしてほしい」と親孝行を誓った岩井。今回の優勝で目標だった日本女子オープン(9月29日開幕)の出場権も手にすることができた。「出場を目標にしていたので、ぜひ勝ちたいと思う」。夢はさらに広がった。(THE ANSWER編集部)