本田望結インタビュー前編フィギュアスケーターとして、俳優として、そして高校3年生として忙しい日々を送っている本田望結さん(18歳)。インタビュー後には、「スケートの話をしていたら練習に行きたくなっちゃった!」と言うほど、フィギュアスケート愛…

本田望結インタビュー前編

フィギュアスケーターとして、俳優として、そして高校3年生として忙しい日々を送っている本田望結さん(18歳)。インタビュー後には、「スケートの話をしていたら練習に行きたくなっちゃった!」と言うほど、フィギュアスケート愛に溢れる彼女。スケーターとしての近況を聞きました。



本田望結さん

アイスショーで号泣したワケ

ーーインタビュー前編ではフィギュアスケートのお話を伺います。最近ではアイスショー「プリンスアイスワールド」(以下、PIW)に出演されていました。いかがでしたか?

本田望結(以下、同) PIWは本当に大好きなアイスショーで、去年からは全公演に出演させていただいています(出演は2016年から)。去年から新たな試みとして、私がPIWメンバーの方々と一緒に踊っています。今年は、『世界に一つだけの花』でメンバーの皆さんと一緒に滑らせてもらっているんですけど、横浜公演の時は振付けをカウントで覚えていました。

 でも、東京公演の時には振りが馴染んでいたので曲を聴きながら滑ろうと思って。そうしたら初日の1公演目で滑りながらみごとに号泣してしまいました。その公演はテレビ収録も入っていて、放送されたらいろいろ誤解を招いてしまいそうだなと少し怖かったです(笑)。

 小さい頃から知っている曲なので歌詞はわかっていたつもりですが、日々、いろいろなことがありながら過ごしているなかで、『世界に一つだけの花』の歌詞と見に来てくださった皆さんが振ってくれたペンライトの光とか、拍手してくださる表情とか、パッて横を見たらPIWメンバーの皆さんがニコッと笑ってくれたり、そのなかで自分が元気に滑っていることを感じた時に気づいたら涙が出てきてしまいました。舞台袖に行った時には涙が止まらなくなっていて、スタッフさんにティッシュをもらって。それが今回の東京公演で一番印象に残っています。

ーーソロでは自ら作詞・歌唱されている『Dilemma』を披露されましたね。

 振付け自体はMV(ミュージックビデオ)撮影での踊りがあるんですけど、それを氷上でできるように(振付師の)宮本賢二先生がアレンジをしてくださいました。意外とスケーターのみんなからも「この曲誰が歌っているの?」とか「K-POPな感じでいいね」と言ってくださる時もあって、「実は私です」と恥ずかしながら言うと皆さん褒めてくださいます。スケーターの皆さんから褒められるとすごくうれしいです。少しずつアレンジを加えたり、会場の空気や時間で雰囲気も変わるので、それに合わせて踊るのはすごく楽しいです。


姉・真凜の表現とは「逆を攻めたい」

ーー望結さんのスケートは、表現に対してプロ魂を感じるのですが、そういうふうに思い始めたのはいつ頃からですか?

 小さい頃からお芝居をさせてもらっている分、表現力は一番じゃないといけないと思ってやっています。それだけでは表彰台に上がることも予選を通過することもできないんですけど。最近、ジャンプやスピンは私より上手な人がたくさんいるし、正直、私はそういったレベルに通用する技は持っていません。ただ、表現に正解は絶対にない。ジャッジや見ている人の心を動かす表現だけは諦めたくないと、シニアに上がったくらいから感じるようになりました。



ーー姉の真凜さんもすばらしい表現技術があるスケーターですが、望結さんはまた違う魅力がありますよね。ご自身の武器はどんな部分だと思いますか?

 姉は身体を使った表現が上手で、私は身体というよりは顔だったりそういった部分が強くなってしまうんですけど......。姉は強い演技をしていてもどこか少し柔らかさが残っていてそれが本田真凜らしさだと思うんです。私は逆に、たとえば、真っ白な衣装で『白鳥の湖』のような曲をやってもどこかブラックスワンになっちゃう(笑)。

「やってやるぞ!」という気持ちが表に出ちゃうのが小さい頃からの私の特徴で、そこが私らしさなのかなとも思っています。姉は氷に乗った時の重心が下じゃなくて上にある感じが本田真凜らしさだな、と今回アイスショーで毎公演、姉の演技を見ながら分析していました。姉の動きは本当に世界を見ても唯一無二で、マネしようとしてもできないから私は逆で攻めようと思います(笑)。

スケートと芝居が両方あって「私」

ーー現在の望結さんにとって、スケートはどういうものですか?

 私をつくってくれたものです。スケートに限らずお芝居もなんですけど、ふたつのことをやるのは中途半端だなとか、どっちかに絞ったほうがよいかと考えた時もあります。それは小学校から中学に上がる時、中学から高校に上がる時、今まさに来年、大学生になりたいと思っているので切り替えの節目ではあるんですけど、フィギュアスケートがなかったら今の私じゃ絶対ないし、逆にお芝居に出会えなくてスケート一本だったらそれもまた絶対に私じゃない。

 スケートができて、お芝居をさせてもらってる、すべて奇跡のような、必然のような人生を歩めているなと思うんです。大好きなスケートを諦めたほうがいいのかなと考える時期もたくさんあったけど、続けさせてくれる両親にも、その時に「やりたい!」と決めてくれた私にも「ありがとう」と伝えたいです。これからどんなことがあってもスケートとお芝居は諦めず、未来の私が今の自分に「ありがとう」と言ってくれるような生活をしたいと思っています。



ーー今季の初戦に向けて取り組んでいること、プログラムについて教えてください。

 試合に出たいという気持ちがあるので、周囲の皆さんの協力のもとでスケジュールを考えています。初戦は(10月の)東京ブロックになるのかな? 練習時間をたくさん確保できるわけではないので、練習できる時間を大切にしたいです。元気に笑顔で滑れることがどれだけ幸せなのかというのを大きくなるにつれてより強く感じているので、リンクで滑れる楽しさを忘れないようにと思いながら練習に取り組んでいます。

 今季のプログラムはまだ決めていないんですけど、過去に使ったプログラムをもう一度やってみてもいいんじゃないかなと思います。今滑ったらきっと大人の女性っぽくなるし、雰囲気が違うものになるのではと考えています。

「競技者と言える選手に戻れるように」

ーー過去のプログラムの再演は面白そうですね! 今一番やってみたいものは何ですか?

 (中学時代に滑ったショートプログラム曲の)『天国への階段』! とてもカッコよくて、本田望結的にナンバーワンのプログラムだと思っています。当時はまだ子どもだけどその時なりの強さが出ていてかっこいいと思うんですけど、今やるとまったく違う大人の感じが出ると思います。今シーズンかはわからないけど、試合か、アイスショーでもいいからもう一度滑りたいです。

ーー最後に応援している方にメッセージをお願いします。

 このことを考えると涙が出そうになっちゃうんですけど、スケートファンの皆さんは本当に優しいなってすごく思います。片手間とか中途半端って言われてもおかしくない自分を褒めてくださったり、頑張れって言ってくださるのがうれしくて。姉や妹がファンの方のメッセージをスクショして送ってきてくれたりするんですけど、それを見ても、なんて優しいんだろうと思うし、こんな私のことを応援してくださって本当に優しい方ばかりだなと思っています。

 正直、ジャンプなどの強みみたいなものが全然ない自分なのに、全体的な表現を皆さんすごく見て覚えていてくださるので、そこは私も追及していきたいです。それに、やっぱり表現者ではなく競技者としてひとつ上のレベルまでいくというのはまだ諦めていないので、もう一度、皆さんに「試合を頑張るから応援してください!」と、心から言えるような自分になりたいと思っています。そのためにはいろいろ工夫しなきゃいけないので、また競技者と言える選手に戻れるように、応援してくださる方に応えるためにも頑張ります!



インタビュー後編につづく

【プロフィール】
本田望結 ほんだ・みゆ 
2004年6月1日、京都府生まれ。オスカープロモーション所属。ドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ系)や映画『コドモ警察』など数多くの作品に出演。女優業と並行してフィギュアスケーターとしての活動も続けている。日本テレビZドラマ『ばかやろうのキス』(毎週土曜、14時30分〜15時放送)に出演中。