連覇を狙う広島が、極端な「内弁慶」状態に陥っている。27日終了現在、ホームで17勝5敗と圧倒的な強さを見せているのに対して、ビジターでは11勝14敗と負け越している。■本拠地は17勝5敗と圧倒的強さも、ビジターでは負け越し 連覇を狙う広島が…

連覇を狙う広島が、極端な「内弁慶」状態に陥っている。27日終了現在、ホームで17勝5敗と圧倒的な強さを見せているのに対して、ビジターでは11勝14敗と負け越している。

■本拠地は17勝5敗と圧倒的強さも、ビジターでは負け越し

 連覇を狙う広島が、極端な「内弁慶」状態に陥っている。27日終了現在、ホームで17勝5敗と圧倒的な強さを見せているのに対して、ビジターでは11勝14敗と負け越している。

 4月上旬の10連勝の後、5月26日からの巨人3連戦前まで、ビジターでは6カードを行ったが、2度の同一カード3連敗を含めて、全て負け越している。その一方で、ホームでのカード負け越しは1度だけで、ここまでは遠征で失速し、地元に帰って生き返るという状況が続いている。

 その原因の1つに考えられるのが、日程の問題だ。今季は3月に行われたワールド・ベースボール・クラシックの影響で、開幕が例年よりも1週間遅れ、4月と5月には7週連続で6連戦が続いた。

 日程についてはどこの球団も同じ条件、と言われるかもしれないが、カープはセ・リーグで最西端に位置し、首都圏の球団と違い、ホームゲーム以外は全て移動となり、その距離も長くなる。所在地という意味では、パ・リーグで2強と言われた北海道日本ハムと福岡ソフトバンクという両端の球団が、開幕から出遅れたことも、偶然ではないのかもしれない。

 広島に話を戻せば、今季は金曜日の勝率が極端に低い。移動日なしでの試合で、特に地元からビジターに変わった遠征初日の試合では、ことごとく負けている。そのうち広島から関東への移動が2回、広島から名古屋への移動が1回あるが、その3試合では得点が1、3、3点と、リーグ最強を誇る打線が振るわない。

■きつい移動スケジュール、主力選手は好調でもスタメン外れて体力温存

 今季、唯一の雨天中止となった5月12日の巨人戦も金曜日だったが、その傾向は顕著だった。9点差逆転など甲子園で3連敗し、神宮でも下位に沈む東京ヤクルトに1勝2敗と負け越したチームが、中止になった後の地元での2試合は打線が爆発して連勝し、まさに「恵みの雨」となった。

 チームのコンディショニングを統括する石井雅也ヘッドトレーナーは「日程を言い訳にしてはいけない」と前置きしながらも、「移動日の試合は、やはり選手には負担がかかる」と影響を否定しなかった。ポジションで言えば、遠征でも前乗りが出来る先発投手は問題ないと言う。石井トレーナーは「若い選手は多いが、年齢よりも試合で出続けている選手の方が、影響は大きいと思う。故障持ちの選手はなおさら」と続けた。

 緒方監督も、4月後半に広島から関東の遠征が続いた時期に「広島から東京と、こういう6連戦が続くのはキツい」と思わず本音を漏らしていた。今季は菊池や新井、エルドレッドの主力が好調時でもスタメンを外れることが多いが、長いシーズンを見越した選手の起用法という意味で、日程と無関係ではないはずだ。

 今季は勝負所の7月下旬から9月中旬まで、再び7週連続での6連戦が控えおり、金曜日は全て移動日の試合となる。リーグ連覇に立ちはだかる壁は、セ・リーグの5球団や交流戦だけではない。長距離移動も含めた苦手のビジターの克服がペナントを占うカギになりそうだ。

大久保泰伸●文 text by Yasunobu Okubo