創部113年の高松商史上最強打者 20メートルのネットも軽々越える打撃力 讃岐が生んだ両打ちの“怪童”が大会最注目スラッ…
創部113年の高松商史上最強打者 20メートルのネットも軽々越える打撃力
讃岐が生んだ両打ちの“怪童”が大会最注目スラッガーの座を確かなものにした。11日に行われた第104回全国高校野球選手権大会第6日目の第2試合は、高松商(香川)の浅野翔吾外野手(3年)が2打席連続本塁打を放ち、佐久長聖(長野)に14-4で快勝した。高校通算65号、66号本塁打に加え、滞空時間6秒超えの特大捕邪飛でもファンを魅了。超高校級のパワフルな打撃が生まれた背景を紹介したい。
住宅地などと隣接している同校はグラウンドが狭く、強打者が育つたびに練習環境に悩まされてきた。PL学園の清原和博氏をもしのぐ飛ばし屋だったOBの大森剛氏(元巨人、近鉄)の在籍当時には、一塁線上にあるフェンスを高さ20メートルまで延ばし、今も“大森ネット”と呼ばれる。
しかし、浅野が左打席から放つ打球はこれをも超え、道路の向こう側にあるマンションを直撃した。「本気でバッティング練習させたら危ないですよ」と、指導者も苦笑いのパワーだ。
豪快な打撃の一方で、ウクレレを奏でる繊細さも持ち合わせる主砲。佐久長聖戦では5打席全て右打席に立ったが、左打席からでも甲子園でスタンドインさせられるか。2006年春に両打席本塁打を記録した八重山商工・金城長靖内野手(現・沖縄電力)以来の快挙に期待したい。
打撃練習では長尾健司監督がバッティングピッチャーを務める
今春から浅野を1番打者に固定した長尾健司監督は、相手に最も恐れられている打者を先頭に据える利点を「一番打席が回ってくるし、(打たれれば)相手投手のショックが大きいから」と語る。期待に応えるように、浅野は香川大会では2試合で先頭打者本塁打を叩き込んでいる。
11日の甲子園初戦では第1打席、第2打席と、真上に高く上がる打球が目立った。指揮官は「スピンのかかった、投球の下面を叩くような練習が多かったからだ」と説明した。普段の練習では、今年52歳の長尾監督がバッティングピッチャーを務めている。春に学校へ伺ったときも「僕も小さいときから野球をやっていましたから、暑いのは大丈夫ですよ」と数十球を投げ終え、清々しい顔で答えていた。10日は控え選手の力も借り、入念に打撃練習を行ったという。
監督自らの身体を張った指導に浅野は「長尾監督が投げているので、集中力が途切れることはありません」と話す。長尾監督と浅野を含む選手全員で汗を流し、ベスト8だった昨夏を超える成績を目指す。(喜岡桜 / Sakura Kioka)