南浦和中サッカー部が関東大会3位、2019年以来の全国大会出場が決定 第53回関東中学校サッカー大会が8月7~9日まで、…
南浦和中サッカー部が関東大会3位、2019年以来の全国大会出場が決定
第53回関東中学校サッカー大会が8月7~9日まで、山梨県の富士北麓公園陸上競技場などで開催され、さいたま市立南浦和中が3位となり、2019年以来2大会ぶり2度目の全国中学校大会出場を果たした(20年は新型コロナウイルス感染拡大で実施されず)。全国大会は8月18日から5日間、32校が参加して山形県内で開催される。
埼玉県予選2位の南浦和中は、1回戦で高根沢町立阿久津中(栃木1位)を5-1で圧倒すると、準々決勝では市川市立第三中(千葉1位)に3-1で逆転勝ち。ベスト4進出により全国大会出場が決まった。
準決勝では昨夏の全国中学校大会16強の修徳中(東京1位)に1-3と敗れたものの、神立朋次監督はイレブンの努力に目を細めた。「個々の能力ではここ数年で一番劣りますが、一生懸命練習してチーム力を積み上げてくれた。そうやって出場権を取ってくれたことが何より嬉しい」と真っ黒に日焼けした顔をほころばせた。
一昨年はFW高橋伸太朗(大宮アルディージャU18)とGK嶋田晄樹(鹿島アントラーズユース)らを擁し、青森山田中や静岡学園中と互角のチーム力を誇った。昨年は升掛壮梧(柏レイソルU-18)や畑乙樹(武南高)という得点力のある両MFが在籍。しかし2年前はコロナ禍で、昨年は県大会で敗れて全国中学校大会に出場できなかっただけに、指揮官にとって今回の代表権獲得は喜びもひとしおだろう。
南浦和中は神立監督が16年4月に着任すると、短期間で埼玉の強豪へ成長。同監督は前任のさいたま市立尾間木中学で6年間指揮を執り、関東大会に4度、全国大会にも3度出場した実績がある。
赴任3年目の18年に県新人大会で3位に入り、4年目には県学校総合体育大会(学校総体)と関東大会でともに準優勝。新人大会では初優勝を飾っている。
走力備えた主将の沼尻が欠場、奮闘した2年生たち
中学チームの最大の目標は、全国中学校大会に出場することだ。達成するには、まず学校総体の地区予選を勝ち抜いて県大会に進み、決勝に駆け上がることが第一関門。さらに関東大会で、7つある代表枠を勝ち取るという道のりだ。
昨年11月の新人大会がコロナ禍で中止となっただけに、中体連同士の最後の大会である学校総体に懸ける想いは強かった。
7月の学校総体さいたま市予選では、準決勝で与野東に5-1、決勝でも土合に4-0で大勝。県大会準決勝では、昨年の準々決勝でPK戦負けした川口西に1-0で雪辱し、関東大会の出場権を獲得した。
神立監督は新チーム結成以来、1対1の強化を最優先に行ってきた。「フィジカルコンタクトを嫌がらず、1対1での強度を上げてデュエルを強くする練習を徹底しました。うちの選手は相手の肩に思い切りバチっと当てにいくので、反則を取られやすい」と激しくも正当なショルダーチャージを武器の1つにしていると説明し、「それとスプリント回数が多くなるように走力と体力も鍛えました」と話した。
その象徴が主将でボランチ、背番号10の沼尻爽汰(3年)だ。「ボールを扱う技術などは去年のチームに劣りますが、体力面では今年のほうが断然上です。うちのチームはどこにも走り負けません」と胸を張る。
ところが沼尻は学校総体後に体調を崩し、今大会には出場できなかった。チームの心臓部を欠き、2年生が4人先発した南浦和中だが、持ち味を十分に発揮して強豪2校を連破。沼尻に代わってアームバンドを巻いた左サイドバックの片桐盛(3年)は、「うちの特長はドリブルとパスですが、今年はセットプレーも大きな得点源になっています」と明かした。この言葉通り、今大会3試合で挙げた9点のうちCKから6点、FKから1点というようにMF中川璃玖士(2年)の絶妙なキックでゴールを重ねた。
「沼尻のためにも絶対勝ち抜きたかった。夜のミーティングでは、先生のスマホでビデオ通話し、試合の様子を報告しました。全国ではまず1回戦を突破したい」と片桐は意気込みを示した。
監督に才能を見出されたエースはチーム力を強調
初出場した3年前の第50回大会は、1回戦で木津川市立木津南中(京都)に0-3で完敗しただけに、神立監督は「初戦に勝ってベスト8進出が目標。実は全国行きが決まる前から、山形で練習試合を組んじゃったんです」と笑った。
監督に誘われて陸上部入部を断念した舩津貴成(3年)は、入学時167センチだった身長が182センチに伸びたばかりか、エースFWにまで成長。「ずば抜けた選手はいませんが、走り負けることも持久戦に負けることもなく、全員で攻めて守るのがうちの強み。全国から集まる強豪を相手に得意のヘディングシュートを決めたい」と抱負を語った。
明確な狙いを持った練習を繰り返し、それによって身につけた強みを試合で余すところなく表現する。神立監督が講じた処方は、チームを強化するお手本のようだ。(河野 正 / Tadashi Kawano)