JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦、川崎フロンターレvsセレッソ大阪が10日に等々力陸上競技場で行われ、2-2のドローに終わった。この結果、2戦合計3-3もアウェイゴール数で上回ったC大阪がベスト4進出を決めた。 1週間前にヨドコ…

JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦、川崎フロンターレvsセレッソ大阪が10日に等々力陸上競技場で行われ、2-2のドローに終わった。この結果、2戦合計3-3もアウェイゴール数で上回ったC大阪がベスト4進出を決めた。

1週間前にヨドコウ桜スタジアムで行われた第1戦は、アウェイの川崎Fが前半半ばに脇坂のゴールで先制に成功したが、ホームのC大阪が後半終了間際にアダム・タガートのゴールで追いつき、1-1のドローとなった。

コロナ禍で多くの選手を欠いた中、アウェイゴールを得てのドローと最低限の結果を残した川崎F。さらに、先週末のリーグ戦では首位の横浜F・マリノスを試合終了間際の劇的ゴールで勝ち切り、今回のホームゲームに大きな弾みを付けた。多くの選手の復帰に伴い、前回対戦からは先発6人を変更。ジェジエウ、山根、登里、チャナティップが起用され、前線は右から家長、レアンドロ・ダミアン、マルシーニョが並んだ。

一方、内容は上々もホームでの初戦を勝利で飾れなかったC大阪だが、先週末のリーグ戦ではヴィッセル神戸に3-0の快勝。公式戦10試合無敗と好調を維持して敵地へ乗り込んだ。新型コロナウイルス感染で療養中の小菊監督に代わり、引き続き高橋大輔コーチが暫定で指揮を執った中、前回対戦からは山田寛に代えてタガートを上門の相棒に起用した以外、同じメンバーを継続した。

ベスト4進出を懸けた運命の一戦は立ち上がりから拮抗した展開に。戦前の予想通り、ホームチームがボールを握って押し込む時間が続くものの、C大阪も集中した守備で相手の攻撃を撥ね返してカウンター、前線からの積極的な守備で押し返す場面を創出する。

一進一退の攻防が続く中、20分過ぎには川崎Fが右CKから谷口のヘディングシュート、直後にはマルシーニョの突破から橘田のミドルシュートとフィニッシュの局面を作り出す。

対するC大阪は30分、左サイドの山中のクロスの流れから波状攻撃。ゴール右でこぼれ球を回収した松田がGKと一対一も、ここはGKチョン・ソンリョンにうまくコースを消されてセーブされる。さらに、ボックス左でボールを受けた為田にビッグチャンスも、右足のシュートはクロスバーを叩き、両チームを通じた最初のビッグチャンスをモノにできない。

互いに自分たちの時間の中でゴールをこじ開けられない我慢比べの様相を呈した試合は、前半終盤に動く。40分、川崎Fが中央での細かいパス交換から橘田、チャナティップと繋いでボックス右のレアンドロ・ダミアンにシュートチャンス。このシュートはDFのブロックに遭うも、ゴール前でこぼれ球に反応したマルシーニョが相手のゴールカバーを外すクロスバー内側直撃の強烈なシュートを叩き込んだ。

前回対戦に続きこの試合でも先制に成功した川崎Fは、さらに前半終了間際にもレアンドロ・ダミアンの完璧な背後への飛び出しから追加点のチャンスを得たが、ここはボールコントロールの乱れもあり、右足アウトで強引に放ったシュートは枠の左に外れた。

迎えた後半、1点リードの川崎Fはチャナティップを下げて脇坂、逆転突破に2点が必要なC大阪はタガートを下げて加藤をハーフタイム明けに投入。後半も引き続き拮抗した入りとなったが、前回対戦とは異なり川崎Fが追加点を奪い切る。

53分、相手陣内の左サイドに張ってジョアン・シミッチから大きな展開を受けたマルシーニョが一瞬のスピードでDF松田を振り切ってボックス付近までドリブルで運ぶ。そして、中央のレアンドロ・ダミアンにボールを預けて内側へ切れこむと、DFを引き付けた元ブラジル代表FWから絶妙なリターンパス。ボックス中央で完全にフリーとなったマルシーニョが右足の鋭いシュートを突き刺した。

ブラジル人アタッカーコンビの鮮やかな連携で大きな2点目を奪った川崎Fだが、ゴール直後に右足の筋肉系のトラブルかジェジエウがプレー続行不可能となり、車屋がスクランブル投入される。

一方、敵地でより厳しい状況となったC大阪は毎熊、為田、上門を下げて北野、山田寛、ジェアン・パトリッキと前線3枚を一気に入れ替える。さらに、奥埜を下げて中原投入と、よりリスクを冒して前に出る。だが、ゲームコントロールを優先するリーグ王者のしたたかなゲームコントロールを前に、なかなか決定機まで持ち込めない。

その後、過密日程が続く川崎Fは殊勲のブラジル人アタッカーコンビ、家長を下げて遠野や山村の投入で逃げ切り態勢に入る。このまま2-0のスコアで試合終了かに思われたが、昨季の準優勝チームがここから驚異の粘りを見せる。

90分、相手陣内左サイドでボールを受けた山中が低い軌道の高速クロスを入れると、DF谷口の前に入り込んだ加藤がダイビングヘッド。谷口の足にディフレクトしたボールがニア下に決まった。

アディショナルタイムが5分加えられたことで、これでどちらが勝ち抜けるかわからなくなると、決死のパワープレーを敢行したアウェイチームが見事に押し切る。ほぼラストプレーとなった96分、波状攻撃から右サイドの中原が入れたクロスをボックス左の西尾がゴールラインぎりぎりで折り返すと、中央で反応した山田寛が頭で押し込んだ。

そして、試合はこの直後にタイムアップを迎え、90分からの猛攻によって敵地で2点差を追いつく驚異の勝負強さを見せたC大阪がアウェイゴール数で上回り、劇的過ぎる勝ち上がりを見せた。

一方、直近の横浜FM戦とは異なり、悲劇の等々力劇場となった川崎Fは、ACL、天皇杯に続きルヴァンカップ敗退となり、残すコンペティションは逆転での3連覇を目指すリーグ戦のみとなった。

なお、4強入りを決めたC大阪は9月21日、同25日に行われる準決勝で浦和レッズと名古屋グランパスの勝者と対戦する。

川崎フロンターレ 2-2(AGG:3-3) セレッソ大阪

【川崎F】

マルシーニョ(前40)

マルシーニョ(後8)

【C大阪】

加藤陸次樹(後45)

山田寛人(後45+6)