パリ2024パラリンピックまで、あと2年。パラサポWEB編集部は新シリーズ・TOP PROSPECT(=トップ・プロスペクト。「有望株」の意味)をスタートします。ここでは、パリ大会での活躍が期待されるスター候補をご紹介! ぜひ、あなたの推し…
パリ2024パラリンピックまで、あと2年。パラサポWEB編集部は新シリーズ・TOP PROSPECT(=トップ・プロスペクト。「有望株」の意味)をスタートします。ここでは、パリ大会での活躍が期待されるスター候補をご紹介! ぜひ、あなたの推しを見つけてください。
第1回は、陸上競技の視覚障がい(T13)クラスで5種目の日本記録を持つ福永凌太(ふくなが・りょうた)選手。休日はサウナで整え、わらび餅にハマっている23歳。一見、クールな印象ですが、話し出すと言葉があふれ出てくる、ポジティブな思考の持ち主でした。
アジアのナンバーワンではなく、世界一を目指して2年前、大学4年生のとき、初めてパラの大会に出場。それまでは中京大学で十種競技をメインにやっていて日本トップレベルの人たちと練習していました。大学まで健常者で一番を目指していたわけですから、新記録は少し不思議な気持ち。自分の納得できる記録を出せない限り、素直に喜べないんです。
社会人になって栄養なども勉強し、十種競技に取り組んでいた頃とは身体も変わってきました。高たんぱくの食事を心がけていて、職場で昼食を食べるときも、鯖缶や納豆を持参するようにしています。
あとは、モンブランなどスイーツも大好きなのですが、洋菓子と和菓子がある場合、和菓子を選ぶようになりました。最近は、わらび餅が好きですね。
オフは「頭をすっきり」させる!休日の午前中はもっぱらサウナです。サウナ、冷水、外気浴を2~3セット行います。疲労回復効果もあると思いますし、なにより頭がすっきりするんです。
寝る前のリラックスタイムは、読書かYouTubeを観ることが多いかな。各界でトップを極めた人の思考や言葉を知るのが好きです。単純なのですぐに影響されます(笑)
いろいろあるんですけど、『日々成長』ですかね。以前、十種競技元日本王者の武井壮さんが動画で『365日365勝! 成長とは、昨日の自分よりも今日少しでも素敵な自分になっていること。毎日が自分との勝負』とおっしゃっていて。グッときたので、以来、その言葉を大事にしています。
大舞台に姿を見せぬダークホース『持ってるな~』と思いましたね。東京パラリンピックもまだ国際的な資格を持っていなかったので断念せざるを得ませんでしたし、神戸で行われる予定だった世界パラ陸上競技選手権は2024年に延期。今秋の予定だった杭州2022アジアパラ競技大会も来年になり、(日本では記録を持っているけれど)海外ではいつまでも結果を出させてくれないなって(笑)
前向きなところも僕の持ち味です。“優勝”は僕のなかではすでに決まっていること。今年大会があったら優勝していたけれど、それが1年延びただけ、と考えています。
単調で地味な練習やつらい練習も含めて、もともと陸上競技のすべてが好きなんです。オリンピックを目指して大学に入りましたが、それが叶わず、陸上競技人生に区切りをつけて就職活動をしていました。そんなとき、離れて暮らす実家の母が「パラリンピックもあるよ」と言ってくれて、日本記録やリオパラリンピックの入賞記録を調べてみたら、メダルを狙えることがわかりました。そのとき、どんな大変なことがあっても挑戦しようと決めたんです。一度はあきらめた世界への道ですから、ワクワクする気持ちしかありません。
パラ陸上は、アジアのナンバーワンではなく、世界一を目指して始めました。その先の世界記録更新も狙っています。自己ベストを更新し続けてパリではメダルを獲りたいです。
表彰台で伝えたいことは?「目が悪くてよかった」という言葉を残したいです。
僕が挑戦を通じて伝えたいのは「可能性無限」ということ。小5で目の病気がわかってから棒高跳びや十種競技を始めましたが、ライバルに負けたときは「目が悪いから仕方ない」ではなく「僕がへたくそなだけ」と思って練習に取り組みました。
僕の場合は「目が見えにくい」というわかりやすいコンプレックスがありますが、たとえば「勉強が苦手」とか、そういうコンプレックスがある人にも、頑張る姿を通して「自分もできるかもしれない」という希望を配れる選手になりたいです。挑戦する姿をいろんな人に見ていただき、応援してもらえたら嬉しいです!
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※日本記録数は6月27日時点
text by TEAM A
photo by Hiroaki Yoda