女性で構成される「ハニーズ」に加え、性別問わないパフォーマーを募集 各球団が趣向を凝らし、さまざまな演出で試合を盛り上げ…

女性で構成される「ハニーズ」に加え、性別問わないパフォーマーを募集

 各球団が趣向を凝らし、さまざまな演出で試合を盛り上げる球場内エンターテインメント。球場を華やかに彩る女性パフォーマーの存在は日本のプロ野球ではおなじみの光景となっている。一方、ソフトバンクの本拠地PayPayドームにはダイナミックなアクロバットでスタンドを沸かせる3人の男性パフォーマーがいる。今回の試みは日本のプロ野球界では初。性別の垣根を超えて募集・採用に踏み切ったのはなぜなのか、具体的な活動内容やメンバーはどんな人なのか。気になるアクロバットパフォーマーについて2回に分けて伝える。

 福岡ソフトバンクホークス「マーケティング本部 マーケティング企画部」の稲永大毅さんはアクロバットパフォーマーを取り入れることになった経緯や狙いを次のように語る。「これまで(オフィシャルダンス&パフォーマンスチームの)ハニーズが行ってきた球場内でのダンスパフォーマンスは、広いグラウンド上ではどうしても一角のみでのパフォーマンスとなってしまっていました。スタンドのお客さんは全方位にいて遠い距離から見るので、よりダイナミックで立体感のあるパフォーマンスにできればと思い、アクロバットに特化したメンバー募集の検討を始めました」。

 ソフトバンクには女性メンバーで構成される「ハニーズ」が存在し、ホームゲーム開催時にはダンスやMCで球場を盛り上げ、ファンにはおなじみの存在として確立されていた。そこに、より楽しんでもらえるエンターテインメントを創作するため、性別を問わない形でアクロバットパフォーマーの追加を決定。毎年のオフシーズンに行われる「ハニーズ メンバーオーディション」で、2022年度はハニーズ部門とアクロバットパフォーマー部門の2部門で募集した。

 12球団で初めて性別を問わずパフォーマーを募集したことについて「アクロバットの技能を特徴にした募集で、あくまでも技能が素晴らしい方を採用したかったので、そこに性別を分ける理由はありませんでした。パフォーマーに関してだけではなく、『一度来場した方が楽しくなければ2回目はない』と考えているので、来場時に最大限楽しんで帰ってもらうためにどれも手を抜きません。エンタメを最大化するには僕らが頑張るだけではなくて、いい人材・いいパフォーマーにも集まってもらうことも重要で、12球団でパフォーマーに対するギャラも最も高く設定しているんです」と稲永さんは語る。

3月2日にアクロバットパフォーマーTAKA・Koba・ASAHIがお披露目された

 男性パフォーマーはプロスポーツ界では既に取り入れられていることだったので「少し遅れているくらいなのかな」(稲永さん)という感覚だったという。メンバーオーディションは福岡だけではなく東京でも開催した。書類審査、1次審査、最終審査を経て、合計119人の応募者の中から、ハニーズは継続メンバー8人・新メンバー6人・復帰1人の計15人、初代アクロバットパフォーマーには3人の男性が選出。総勢18人の“新生”ホークスパフォーマンスチームが誕生したのだった。

 オフシーズン中の基礎トレーニングや各種レッスンを終え、今年3月2日にPayPayドームでアクロバットパフォーマーTAKA・Koba・ASAHIの3人がお披露目された。試合開始前の球場外特設ステージで行われる「FAN!FUN!STAGE」でのパフォーマンスから、グラウンドでのオープニングダンス、オンユアマークス、選手登場時の花道での盛り上げ、試合中のイニング間イベントの盛り上げや参加者のアテンドなど、出演シーンは多数。アクロバット以外にもダンスを披露する場面も多く、ダンス未経験だったメンバーはとても苦労してお披露目の日を迎えたという。

 アクロバットパフォーマーのお披露目から数か月経った今、来場者からはどのような声が届いているのだろうか。

「毎試合行なっている来場者アンケートでは『男女混合の目新しさが見ていて楽しい』『アクロバットがすごい』『サービス精神が旺盛。目の前でバク転してくれたり、ファンサービスが嬉しい』などの声が届いています。コロナ禍の現在、規制退場を行っていますが、退場待ちのお客さまが“ただ待つだけ”になる状況を避けたかった。そこで、待ち時間の気持ちを少しでも楽にしてもらうため、アクロバットパフォーマンスをお楽しみいただき、時にスタンドからのリクエストに応えたりもしています。全パフォーマーは最後の1人のお客さまが帰るまでグラウンドに立ちお見送りをしているんです」

「男性が入ったことでパフォーマンスに幅が広がった」

 パフォーマンスの内容については、「チアリーディングの“スタンツ”とよばれる、人を持ち上げたり飛ばしたりする高さが出る技は、経験者でない限りいくらダンススキルがあっても挑戦すること自体難しい。しかし筋力のある男性がパフォーマンスチームに入ったことで、そういったダイナミックな技にも挑戦することができ、組織的なパフォーマンスに幅が広がりました」と稲永さん。数か月で着実に進化を遂げていることがうかがえる。

 スタンツは派手で見応えのあるパフォーマンス。常に怪我と隣り合わせの技がほとんどだ。チーム全員の呼吸が合うことが成功の絶対条件のため、活動を続けながら深まっていくチームワークで、シーズン後半のパフォーマンスはどのように進化しているのか楽しみだ。

 アクロバットパフォーマーの今後目指していく姿、来季の展望について稲永さんは次のように語る。「今シーズンも折り返し地点を迎え、ここまでの反省点として、お客さまにパフォーマンスを“見てもらう”ことに特化しすぎたところがありました。見て盛り上がるだけではなく、一緒に盛り上がることにも注力すべきだなと感じています。お客さんが『楽しそう!』『一緒に盛り上がりたい!』と思うきっかけ作りとして、まずアクロバットで目をひいて、気持ちをひいて、そこから一緒に盛り上がる雰囲気につなげていければと考えています。魅せるパフォーマンスから、一緒にやるパフォーマンスへ。アクロバットパフォーマーには遠いグラウンドとスタンドをつなぐ大事な役目を担ってほしいと思っています」。

 最後に読者にメッセージを送った。「ホークスのエンタメは12球団でナンバー1という気持ちで日々運営をしています。それはホークスが一番であればいいということではなく、パ・リーグ及びプロ野球がさらに盛り上がることを願い、そのために一番を走っていきたいという気持ちです。他の球団のファンの方もホークスのパフォーマンスやエンタメを見ていただいて、自分の応援する球団と比較しながら、今度自分の応援する球団ではこんなことやってほしい! という声をあげたり、より一層応援することで野球界全体が盛り上がっていけば嬉しいです」。これからもどんな施策で試合を盛り上げ、どのように球場内エンタメを進化させていくのか、期待せずにはいられない。(「パ・リーグ インサイト」池田紗里)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)