Bリーグ名古屋Dの齋藤拓実が発案、名古屋市内で学生たちとイベントを開催 名古屋市の繁華街、栄にある商業施設で7月30日、…
Bリーグ名古屋Dの齋藤拓実が発案、名古屋市内で学生たちとイベントを開催
名古屋市の繁華街、栄にある商業施設で7月30日、「通りすがりの文化祭~“青春”取り戻し大作戦~」というイベントが開かれた。主催者はバスケットボールBリーグ・名古屋ダイヤモンドドルフィンズの齋藤拓実。新型コロナウイルス感染症の影響で学校行事が中止に追い込まれた学生たちに、青春の思い出をつくる場を提供できないだろうか――。プロスポーツ選手の想いから発足したプロジェクトに、地元の高校生や大学生が共感して、“真夏の文化祭”が実現した。
会場の「オアシス21 銀河の広場」には、齋藤が学生たちとともに用意したブースが並んだ。水槽の中の皿にコインを投げ込んで得点を競う「コイン危機一髪!!」、目隠しで頭や体に付けた紙風船を割り合う「暗闇バトル」、ゴムボールなどでフリースローをする「敵船を狙え!」などのミニゲームエリア。地面に広げた大きな布(キャンバス)に平和をテーマに絵を描くアートエリア。北海道や長野、沖縄の特産品を置いた修学旅行エリア。参加の記念撮影をする映えスポット。6月に2回開いたワークショップなどを経て、高校生や大学生らが企画した出し物だ。齋藤がクラウドファンディングで開催費用の約150万円を集めた。猛暑の中、午前11時から午後3時まで開催したイベントに600人近くが訪れる盛況だった。
きっかけは、あいみょんだった。
「アーティストのあいみょんさんが好きで、出演するテレビの番組を録画して観たんです」
高校生1000人とオンラインでつながって、歌を作って一緒に歌うという内容だった。作曲の過程で高校生たちのエピソードや生活の背景などが明らかにされていく。その中に、コロナ禍の影響があった。
「背景を知った上で曲を聞いたらすごく感動した。自分の学生時代を振り返った時に、バスケットがメインではあったものの、体育祭だったり、文化祭だったり、授業も含め、楽しい思い出があった。それを味わえない、経験できないと、やっぱりつらいよなあと考えて、僕も何かできることはないかなっていうところから始まりました」
今年4月のことだ。翌日、その想いをチーム最年長36歳の中務敏宏に伝えると、フロントに話をつないでくれた。
「たくみん校長」が感心した学生たちの行動力
たまたま名古屋Dは、オアシス21に「ドルフィンズポート」という施設をつくったばかりだった。行政や商工会議所などとともに、いろいろな立場から意見を出し合って新しい価値を生み出そうという「共創」の場を目指してつくったオープンスペースで、この施設を使って当事者である高校生や大学生たちと一緒に形にしてみたらどうか、とフロントスタッフから提案を受けた。タイミング良くチームメートやクラブの後押しを受けて、「みんなで創ろう青春プロジェクト!」が瞬く間にスタート。約30人の高校生、大学生が賛同して実行委員会役となり実現した。
「たくみん校長」と呼ばれた齋藤は、「バスケ部の子から話を聞くと、大会が中止になって、そのまま引退になってしまったとか、僕の時には考えられなかったことを経験している。バスケを続けない子もいるわけじゃないですか。そういうリアルな声を聞けた。プロジェクトをやって良かったと思いますね」と振り返った。また、ワークショップで学生たちとやりとりをして「みんな凄いなと思った。僕の想いを汲み取って、楽しいゲームとかいろいろ考えてくれた。ロシアのウクライナ侵攻があったので平和に関する意見も出て、それは実際に形になりました。ワークショップに参加しようとするだけでも、自分から動き出すってことで、凄いと思う」と感心していた。
「自分から何かしたいっていうのを形にしたこと自体初めて。今までそういうことを、まったくやったことはなかった。自発的に行動できるタイプではなかったと思うので、僕も一歩、新しいチャレンジができて、学生の子たちにはすごく感謝しています」
名古屋Dの浮沈のカギを握るであろう若きポイントガードは、社会に貢献したいという想いを形にすることで刺激を受けた夏休みとなった。(松本 行弘 / Yukihiro Matsumoto)