3回に右翼ポール際、5回には左中間へ…2年ぶりの1試合2発■西武 3ー1 オリックス(3日・ベルーナドーム) パ・リーグ…
3回に右翼ポール際、5回には左中間へ…2年ぶりの1試合2発
■西武 3ー1 オリックス(3日・ベルーナドーム)
パ・リーグ首位の西武は3日、本拠地ベルーナドームでオリックスに3-1で競り勝った。「3番・捕手」で出場した森友哉捕手が、2020年7月30日のソフトバンク戦以来、2年ぶりの1試合2本塁打をマーク。今季はリーグトップのチーム防御率を誇る投手陣をリードで牽引している上、4番・山川穂高内野手が1人で気を吐いている状態の打線の中でも、徐々に存在感を増してきた。
まずは1-0とリードして迎えた3回。先頭で打席に入った森は、オリックス先発の左腕・宮城が投じた外角のスライダーをとらえた。右翼ポール際のスタンドに放り込む3号ソロ。「タイミングは常に真っすぐに合わせているのですが、スライダーに反応することができました。会心ではないけれど、うまくバットに乗ってくれました」と相好を崩した。
そして、5回の守りでオリックス・頓宮に3号ソロを許したその裏に、2死走者なしで宮城の初球の143キロ速球を一閃。逆方向の左中間席へ4号ソロを叩き込む。辻発彦監督が「1本目ももちろん大きかったけれど、頓宮に打たれて、その裏のホームランが向こうにとっては一番ダメージが大きかっただろうし、ウチとしても『よし、行ける』という気持ちになれたよ」と絶賛した一撃だった。森本人も「あれは自分の理想の形で打つことができました。左中間に打てるのは、自分が調子がいい時のバロメーターでもある」とうなずいた。
宮城に対しては、今季8打数5安打1四球、対戦打率.625と“お得意様”。「いや、去年は多分1、2本しか打てていない(確かに、昨季は9打数2安打、対戦打率.222)ので、むしろちょっと嫌なイメージを持ちながら打席に入っていました」と言うが、左腕を苦にしない技術はやはり超一流である。
打率右肩上がり「寒いよりは暑い方が、体が動くので好き」
今季の森は、開幕直後に自らの不注意で右人さし指を骨折し、51日間戦列を離れた。5月24日に1軍復帰した後も、打撃の調子は一向に上がらず、6月28日まで打率1割台を低迷していた。しかし「寒いよりは暑い方が、体が動くので好き。3、4月より7、8月の方が好きです」と話す通り、7月に月間打率.325(77打数25安打)と一気に巻き返し、今季打率も8月3日現在で.255に上げてきている。
森がリードする西武投手陣は今季、昨季まで4年連続リーグワーストだったチーム防御率が一気にトップに躍進。一方、かつて山賊打線の異名を取った攻撃陣はチーム打率がリーグ5位と低迷しているが、山川と森の2枚看板で機能すれば、こちらも上昇が見込める。
森はお立ち台で夏休みの子どもたちへのメッセージを求められた際、「山川さんみたいに太っていなくても、ホームランは打てます!」と笑わせたが、その後報道陣の前では「冗談ですよ。自分は山川さんにいい形でつなぐことだけを心掛けてやっているので、四球でもうれしい。とにかくランナーがいる状態で山川さんに回すことを考えています」と殊勝に話した。
この日、6日に開幕する夏の甲子園大会の組み合わせ抽選会が行われ、森の母校ですでに今春の選抜大会を制している大阪桐蔭は、1回戦で旭川大高と対戦することが決まった。「もちろん気になります。今年のチームは圧倒的ですが、しんどい試合は必ず来るので頑張ってほしい」とエールを送る。在学中に現阪神・藤浪晋太郎投手とのバッテリーで春夏連覇を成し遂げた男が、甲子園の季節に全開モードに入ろうとしている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)