“怪童”と称された西鉄・中西太氏を彷彿させる注目スラッガー プロ12球団が視察し、今秋のドラフト会議で上位指名が期待され…

“怪童”と称された西鉄・中西太氏を彷彿させる注目スラッガー

 プロ12球団が視察し、今秋のドラフト会議で上位指名が期待される高松商・浅野翔吾外野手。「ドラフト1位で選ばれるくらいのバッターになりたい」と高い志を持ち、プロ志願届を提出する意向だ。夏の香川大会では「1番・中堅」として全5試合に出場。2本の先頭打者本塁打を含む3本塁打を放つなど大車輪の活躍だった。

 浅野の魅力は、清原和博氏に並ぶ高校通算64本塁打の豪打だけでなく、50メートル5.9秒の俊足、遠投115メートルの強肩も兼ね備えたバランスの良さだろう。全国屈指レベルの走攻守が揃い身長171センチ、体重84キロの鍛え上げられた分厚い身体。高卒2年目に史上最年少でトリプルスリーを達成するなどの功績を残し29歳で西鉄の監督に就任した香川県出身・中西太氏以来の“怪童”と称える人もいるほどだ。

 振り返れば異名に劣らない実力者であることが分かる。8歳から「屋島シーホークス」で野球を始め、屋島中3年時に出場した軟式野球の全日本少年大会四国大会の決勝では、左中間本塁打を放つなど主将として屋島中を初優勝へ導いた。同年、侍ジャパンU-15代表に選出され、アジア選手権では5試合すべてに出場。強肩、強打を武器に4安打5得点、打率.400、出塁率.625と活躍し、日本の金メダル獲得へ貢献している。

 進学の際には全国の強豪私立から複数の誘いを受け「県外(進学)を考えたこともあった」という。しかし、父・幹司さんから「現地(甲子園)で応援されるのは地元で頑張る選手だよ」と背中を押され、自宅から自転車で15分の距離にある伝統校・高松商への進学を決めた。そして今夏、主将として自身2度目の甲子園出場を叶えたのだ。

新チーム以降は両打席から柵越えを狙えるスイッチスラッガーへ進化

 中学時代から「身体のバランスを整えるためにフリーバッティングで打っていた」という左打ちを高校入学後から本格的に取り入れはじめ、新チームからは実戦でも左打席に立つようになった。すでに左打席でも6本の本塁打を記録。両打ちのスラッガーとして可能性を広げ、更に進化しようとする貪欲さが伺える。

 試合の中でどちらの打席に立つかは「監督の指示ではなく自分で判断している」といい、「右のサイドやアンダースローに対しては左打席に立ちます。オーバーも球が遅い相手には左に立つこともあります。(投手がどちらの腕で投げるかではなく)間が合う方で打つようにしています」と打席をスイッチする判断基準を口にする。

 実際に香川大会の準決勝では、先発した丸亀のエース右腕・中村勇翔投手に対し4打席連続で右打席に入り、7回から右投げのアンダースロー・黒木雄太投手へ継投すると左打席へ入り、観衆をどよめかせている。

 長尾健司監督曰く「飛距離が出るのは右打ち、軸がブレないのが左打ち」。右打ちの場合は、昨夏の甲子園3回戦、智辯和歌山の中西聖輝投手(青山学院大)から高校通算36号本塁打を放ったときの「今までで一番良い形だった」というスイングをイメージしながら練習している。対して左打ちは西武の森友哉捕手をイメージしつつ試行錯誤中だ。プロの世界を見据える両打ちスラッガーだが、まずは2年連続で出場する夏の甲子園で大暴れするつもりだ。(喜岡桜 / Sakura Kioka)